幽霊が見えるからって慣れてるわけじゃない!!

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last updateÚltima atualização : 2025-12-05
Idioma: Japanese
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 「その能力を人に役立てられると信じています」  母から言われた最後の言葉、それがいつまでも心に残っていた。 普通の高校生である『藤堂真司』は、幼い頃から人には見えないモノ[幽霊]が見えていた。    しかしそれらの事を誰かに言った事はない。だからこそ真司は、出来る限り『普通』であり続けようと静かに暮らしていく。 しかし平穏な暮らしは突然崩れる。数少ない理解者だった最愛の母が突然亡くなってしまった。最期を迎える直前に真司へ最後のメッセージを胸に刻みつけ、成長していく真司だが、出会う[幽霊]との関りが少しずつ変化をもたらしていく。   霊感を持ってしまった少年のドタバタ青春ラブコメディ。

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Capítulo 1

第1話 霊感体質ですがなにか?

Selene's POV

It’s dark. I cannot see Garrick's free hand, but I hear the clinking of his belt buckle.

He’s my father. He whips the leather implement from his trousers and throws it away, snapping the end against my bare belly in the process.

 A hoarse yelp escapes my lips.  “No…! what are you doing? You’re drunk! Get out!”

His claws dig into the papery flesh of my neck, and a strident zip fills the air as he unfastens his pants.

A bolt of panic breaks through my consciousness as he began trying to wrench my legs apart. The thunderstorm roars over Garrick's heavy breathing, the perfect soundtrack to my agony.

Tears stream from my eyes as I kick and thrash against him. But nothing frees me from his hold.

Since my mother died eight years ago, my insane father has held me prisoner, poisoning me with wolfsbane every day.

I keep waiting to die, going to bed each night feeling so certain I won’t live to see the sun rise in the morning. But my wolf Luna died first. She’s gone. I lost her, my only friend and hope.

I haven’t had any food or water since yesterday, but I don’t know why I bother hanging on. What’s the point of surviving if I’m only going to live alone in this filthy cell?

When I see the hard rod of flesh between my father’s legs, terror washes over me. There’s no way that thing will fit inside of me, it will be pure agony.

He keeps wrenching my legs apart no matter how hard I scream and kick, but then my anger overcomes my fear.

I don’t care why he’s doing this to me, I won’t let him. I won’t just lie here and take it.

I reach desperately for his face, trying to scratch his glowing eyes. With a vicious jerk Garrick smashes my head into the floor, dazing me enough for him to temporarily release me so he can paw at my underdeveloped breasts with both hands.

His claws rip into my skin, dragging over my chest and down my stomach. I try to scream, but no sound comes out. Garrick emits a deranged cackle, jamming his fingers between my legs and forcing them inside me.

“No!" I just barely summon my voice, my shriek coming out as a whisper. "You can't do this, I'm your daughter! Don’t’ you care what my mom would think of you?"

Garrick freezes, a look of surprise breaking through the drunken haze of his thoughts. He blinks: once, twice. Shaking his head, he scoffs, "You stupid girl, I'm not your father."

"What?" I’m shocked. His words struck me hard.

He didn't release me, but he was distracted enough to delay his assault. "Your father was some mongrel from another pack." Garrick snaps, "Your mother got herself knocked up by a married man and had to flee in disgrace."

“I was in neutral territory when I found your mother groveling, penniless in a gutter. I saved her worthless life and brought her here. I married her, adopted her bastard and gave her a home. She owed me everything! And what did I get in return?" He demands, spittle flying from his fangs.

“Nothing. She never let me so much as put a finger on her! I did everything I could to prove my love but she could never look past the fact that I'm an Omega." He sneers at me, "You're just like her. A Volana – but unlike her, you are mine." He looks so crazed I fear he might transform completely. "And you don't get to say no!"

He lunges toward me, covering my body with his own. Adrenaline spikes in my blood and my fingers close around the neck of the whisky bottle by my side.

“Go to hell! You’re sick!”

Pang! I smash the heavy flagon over his head, clenching my eyes shut to protect them from the raining shards of bloody glass. Garrick slumps over me in a heap, his weight crushing the air out of my lungs.

It takes all my strength to roll his big body off me, but I manage. I find my feet, stumbling towards the door.

----

I take off into the night, my mind grappling for any location that might be safe. I do not pause to gain my bearings or orient myself, my only thought is to put as much distance between myself and Garrick as possible. I move as quickly as I can, staggering into the road and forcing cars to screech to a halt so I may pass.

I do not go unnoticed. Startled looks and concerned expressions greet me on all sides. Then, like a vision from a dream, I see a face I recognize approaching in the lamplight.

I've dreamed of Bastien Durand many times over the last eight years. He looks much older than I remember, but there's no mistaking his rugged features. Tall, broad, with dark blond hair and a chiseled jaw; it's easy to see why I imagined myself in love with him as a child. He's the Alpha's son and heir, and he's coming towards me now with a concerned expression on his face.

Bastien's silver eyes glow in the darkness, his palms outstretched in placation as he comes toward me. Lightning strikes with a loud crack, and the eerie illumination transforms his handsome face into something truly sinister.  His men fan out around me, and all of my girlish fantasies disappear.

This is a massive Alpha wolf approaching me, another man who wants nothing more than to harm me. When he nears, his deep voice sends shivers down my spine and his placating words fall on deaf ears, "Easy little wolf."

Just before his fingers make contact on my skin I lash out defensively. He blocks my first strike, clamping his hands around my arms, but he seems reluctant to use any true force. His hesitance saves me, as I wrench away from him, hitting and kicking until I'm free and taking off at a sprint.

For one blessed moment I think I might have a chance – then I hear his voice, as thunderous as any storm. "Catch her." Bastien orders. "Now."

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第1話 霊感体質ですがなにか?
   霊感があるって人前で自慢げに話す人がいますけど、あれってホントなのかな? 普通に生活するには、視えても得はないのに……いや得どころか良いことなど一つもないのに。  それに視えている人間は人前では本当のことを言わないと思う。 それはなぜか。 それまで友好的に築いてきた繋がりが終わりを告げ、告白した後に変な関係になりたくないし、気まずい空気にはしたくないから。 それが、それまでの生活や友達関係を特に守りたいと思っている人なら、なおさらその想いは強くなるだろう。 俺には……そんな事たぶんできないと思う。 それが良い事なのかどうなのか結構な頻度《ひんど》で考えるけど、結局の所、その自問に対する答えは今まで出なかった。    これから先も、出ないかもしれないと俺は思っている。もしかしたら出なくてもいいのかもしれない。 だから俺は人との繋がりをなるべくは絶ってきた。話しかけられたりすれば返す事はするし、何かを誰かと一緒にやらなくてはいけない事などは断ることは無いけど、それ以上は踏み込まない。踏み込ませないという体を取り続けている。    下手に仲良くなって詮索されたくないし、俺はあまり他人《ひと》に興味がわかない。 その成果はもちろん学校生活に影響を及ぼし、友達と言えるようなクラスメイトはできたことが無い。いつも顔見知り以上知り合い未満。 そのまま大人になっていく。それでいいと思っている。 いつか、この考えの変わる日が来るのかは分からないけど、俺は俺のままでいられればいい。      たとえ、人でないモノが視《み》えるこの世界の中でも、俺は俺のままがいい。  このまま一人でも構わないと思っていたんだ。 あの時、あの場所までは――。『こんにちはシンジ君』 色白で卵型の可愛い顔をした女の子が話し掛けてくる。年齢的には高校二年生の俺と変わらないくらいだ。彼女は俺を目の前にして、腰を下ろした。  現在、学校の授業の真っ最中である。『今日は晴れて気持ちいいよね』 彼女は普通に話し掛けているが、状況は普通じゃない。俺は窓際の席にいて、その窓のほうに顔を向けている。つまり、彼女が俺の正面にいるということは、窓の外から話し掛けてきている状態なのだ。  ちなみに、ここは三階建て校舎の二階。梯子でも使わなければ俺の正面にいるなんてできな
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第2話 そして関係の始まり
  『ねぇ、ちょっと、聞いてる? もしもーし』 そんな事口にしながらふわふわと俺の周りをまわっている。――人の周りをぐるぐる回るなうっとうしい! こういうやつもたまにいるから、なるべく目線を合わせないようにしてんのに! 心の中でぼやきながらも何もなかったようにして伊織と話をしながら買い物に行こうと歩を進める。 その間も周りをふわふわしながらギャーギャー言っているようだが、まったく相手をせずに……いや、やっぱり多少は気になってしまう。  小さい頃も何度かそのモノ[幽霊」たちの言う事を聞いてあげたり相談に乗ってたりしていたからだ。おかげでほんの些細《ささい》な事から事件になりそうになったことまである。いや、確か一回新聞にニュースとして取り上げられたことがあったような気がするが……まぁ今はいい。  そんなことばかりしていて気づいた事がある。むやみやたらとそのモノたちの言う事、頼みごとを聞いてはいけないということだ。大半はろくなことがない。『こら、ちょっと話ぐらいききなさいよぉ。ゴメンきいてもらえないかな?』『ね? お願いします!』 回り込んできたそのモノがペコっと腰を折るくらいに曲げて懇願してきた。 「ッ!!」  歩みを止めて額に手をあてて考え込んでしまう。 そんな俺を少し離れて歩いていた伊織が少し横を通り過ぎて不思議そうに顔を覗き込んでくる。「お義兄《にい》ちゃん?」  つくづく俺は俺が嫌になる。守りたい大事なもの存在が近くにいるのにそのモノの話を聞いてあげたいと思ってしまっている自分に腹が立つ。 でもここで無下にしてしまって、伊織にもしもがあってはそれこそ自分が許せなくなるだろう。「ん? あぁ、ちょっと寄りたいトコがあるから、悪い伊織、先に店に行っててくれないか?」「あ、うん。それは大丈夫だけど、お義兄《にい》ちゃんこそ大丈夫? なんか顔色良くない感じがするけど」
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第3話 アイドルのカレンという事
    買い物をする間、伊織の周りをふわふわ回りながら難しい顔したり、急に喜んだりしながらもカレンは大人しくついてくるだけで伊織はもちろん俺にも話しかけてくる事はなかった。 正直ほっとした。カレンと話してるところを見られたら、誰もいないところを見ながら独り言を話している危ないやつだと思われるのはまず間違いない。 俺たち家族に関係ない周りの奴らにどう思われてもいいが、一応なついている? 義妹《いもうと》の伊織には外面だけはいい兄貴でいたいと思っている。「お義兄《にい》ちゃん、すぐに作り始めるから少し待っててくれる?」 いつの間にか家に着いていて、更にいつの間にかすでにリビングに立っている。買い物してたって記憶はあるけど、帰ってきたっことが全く覚えてない。でもしっかりと両手には買い物袋を持っている。 ――あれ? マジでいつの間に帰って来たんだっけ……?「お義兄《にい》ちゃん聞いてる?」「お? おお、聞いてる聞いてる。ま、まぁ急がなくていいからな、うん。あ、手伝うことがあったら言ってくれ。なんでもやるからさ」「えぇ~? でもお義兄《にい》ちゃん何にもできないでしょ~?」 くすくす笑いながらキッチンへと向かう伊織。たしかに何もできないけど、少しは兄らしいことをしたい。『シンジ君て義妹《いもうと》ちゃんには優しいんだね』 真横に突然現れたカレンに思わずビクッとする。「おう? 俺は誰にでも基本的には優しいんだよ」ビックリしたことを悟られないように、ちょうど入ってきた伊織に顔を向けて会話を始める。「なぁ伊織、セカンドストリートって……何かしってるか?」「え? なに? お義兄《にい》ちゃんにセカンドストリートに興味あるの?」 ちょっと、情報が欲しいから知ってるならば教えてもらおうかと思っただけだったが、意外と食い気味に上体を俺の方に寄せてきた。対面に座っている伊織の顔が今は目の前にある。 ――う
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第4話 妹がアイドルに?
『どうするの? これから』 今は自分のうちの近くの駅近くにある小さな公園のベンチに日差しを避けるように腰を下ろしている。 少し歩き疲れた俺が休んでいいか? とカレンに声をかけて座ったのだ。「うん、動ける範囲で聞いて分かったこともあるし、それに……少し気になることもあるんだ。だから今日はもう家に帰ってもう一度確かめたいことがある」『何かわかったの?』「まだ、確信があるわけじゃないんだけど」 手に持っていたペットボトルの水を一飲みする。そして、出会って話した人たちの会話を思い出していた。 気になっていたのはカレンとアイドルグループの娘が話していた、同じグループの娘との会話。「齋藤さんがね、あ、齋藤さんっていうのはうちらのマネージャーの一人なんだけど、あの子たちに彼女たちのマネージャーさんが言ってるのを聞いたらしいんだ。その内容というのがね、近々大きいとこでライブするって決まったこの大事な時に勝手にいなくなって迷惑かけるなって。本人からの連絡あったら直ぐに知らせろってすんごい怒鳴ってたみたい。だけど大きいとこでライブとか、うらやましいよねぇ」「ねぇ~」 という会話。――どこが……とは言えないけど何か引っかかるんだよなぁ そう思いながら一つため息をついた。『ありがとうシンジ君』「な、なんだよ急に」『だって、今考え込んだり、悩んだりしてるのって私のためでしょ?』――その通りです。どっかの誰かさんが憑《つ》いてきて居座るもんだから、早く出ていってほしいからがんばってるんです。カレンの顔を見てそんな言葉を言おうと思った。『ありがとう』 言いながら胸の前にクロスされた腕に顔を隠してうつむいているカレン。 思った言葉は言わずに飲み込んだ。 それはこの時カレンが泣いてると思ったからだ。カレンだってなりたくて[幽霊]になったわけじゃない。だからつらいことはつらいのだ。 泣きたい時だってあるさ。そんなっことは十分に理解できる。ただ何もしてやれ
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第5話 墜ちる心
 暗闇の中に沈んでいる感じがする。 私はカレン。つい最近まではどこにでもいる中学生だった。それなのに今は毎日が目まぐるしく変わる。知らない人に毎日のように逢うし、一日が24時間だなんて信じられないくらい、一日中動き回って「疲れた」なんて言葉ですら言えない環境に結構なダメージを負っている。 ホントにいいのかな? アイドルで居たいのかな? このままでほんとにいいのかな? もう……わかんないや……。 そんな自分で自分じゃない感想が自然に頭をよぎるほど、今の私の周りは変わってしまた。 |その日は初めてマネージャーと喧嘩した。 いつも素直に聞いていられた言葉もこの日は信じられなくて何を言われても嘘にしか聞こえていなかったのだ。「カレン君だけでソロデビューしないか?」 私だけに向けられたその言葉。初めは何を言われてるのかわからなかった。 小学生の時にテレビで見たアイドルの女の子たちがすごいキラキラして見えて、私は夢中になったそれから毎日歌の練習して踊って、繰り返し同じ番組を見て同じように踊れるくらいになった。でも、憧れてはいても現実的な夢ではないと幼い心にもわかってはいたのだ。  うちは裕福とは言えない家庭だったからだ。  お父さんはいないし、お母さんは毎日遅くまで仕事をしてきて朝も早くからでかけていく。それが私とまだ幼い弟のためだと知っているから、甘えることもできなかった。 中学進学を控えていた私に母が言う。「カレン、アイドルになりたいならやれるだけやってみなさい。後悔はやった後にすればいい。まずはいい学校に入ってそれからね」 ホントに嬉しかった。アイドルになる事が嬉しかったんじゃない。お母さんが私を見ていてくれたことが嬉しかったんだ。それから苦手な教科も先生に聞いたり、友達から教えてもらったり、少ないおこずかいを使って参考書も買った。 桜が奇麗に咲いて、風が良い匂いを鼻に残していく頃に、お母さんの笑顔を見ることができた。もちろん学校に受かったことも嬉しか
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第6話 みまえる
   ガガーン、ガコン―― コーン、コーン―― 扉を開ける音が反響するが気にする事はない。ここは個人で借りている倉庫だし、人が住んでるところからはだいぶ離れている。そばに別の倉庫があるが人が出入りしているのを見かけたことはない。 そろそろアイツに水分と食料を与えておかないとまずい。「めんどくせぇなぁ」 コッコッ 締め切ったまま3日も開けていない思いドアノブに手を伸ばす「カレンはここにいるんですね?」 驚いて後ろを振り向く。後ろから入る光に目が慣れてないせいでよく見えてないが、声には聞き覚えがある。しかもそんなに前じゃない。「もう……やめませんか、都築さん」「な、なにを言っているのかね? 君は……確か二日前の……」「藤堂です。藤堂伊織の兄の。まぁ、伊織しか見てなかった、女の子にしか興味のないあなたには名前なんてどうでもいいんでしょうけどね」 昨日、カレンを後ろに憑けたまま、また事務所へと来ていた。1度用事があって面接をしている妹がいることで訪れる理由はどうとでもなる。 またここに来る理由、それはもちろん|彼《・》のことについてだ。「すいませんちょっとお尋ねしますが、もし義妹《いもうと》がこちらにお世話になるとしたらどちらの方が担当になるんですかね?」「ん~そうだなぁ?状況にもよるけど都築じゃないか?アイツ女の子売り出すことに今は燃えてるからな」 事務所に居た男性の職員さんが答えてくれた。今までこの事務所に何度かお邪魔してきたけど、会った事の無い人だ。もしかしたら誰かのマネージャーさんなのかもしれない。「そうですか……ちなみになんですけど、都築さんてこの辺りにお住まいなんですか?」「いや、確か郊外の工場の息子とかで、ここには毎日通ってるはずだけど?」 めんどくさそうな顔をしながらも一応は答えてくれた。顔は全くこちらを向かないままでではあるが。「なんで?」とか聞かれた
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第7話 大人のチカラ
 ――めっちゃ遅くねぇぇぇぇ~!? つか緊張感台無しだしぃぃぃぃ~!! 心の中で叫んでいた。 ようやく部屋からカレンの姿がなくなった頃、都築が無造作に転がっていた鉄パイプを手に持った。「知られちゃってんなら一人も二人も同じだからなぁ……。ぼうずぅぅぅ消える前に参考までに一応聞いといてやるよぉぉぉ。何でわかったんだぁぁぁ?」「わかったわけじゃない。確信があったわけじゃない」「ならなんでだぁぁぁぁ?」 ――やべぇぇ~、マジでこのままだとやられる3秒前みたいなかんじ? つか、あの人もまだこねぇし、クソッ!!こいつ、もう駄目だ。後ろのヤツにほとんど飲み込まれてやがる!!「はじめは、ただの違和感だった。この1週間のあんたたちの行動や言動を聞いて、なんか違うなって思っただけだった。でも義妹《いもうと》を連れて行ったあの日俺はあんたの背にいる|ソ《・》|イ《・》|ツ《・》」が見えた。そしてあの言葉」「あのことばぁぁぁ?」 焦点が合わなくなった眼が血走り始めている。「あんた言ったろ?すぐに見つかってもうすぐ帰ってくるって」 ぴくっと少し上体が揺れる。 時間稼ぎをしたい俺はさらにまくしたてた。「あれは、あれは生きていることを知ってるし、いる場所も知ってるから出た言葉だろ? それに、周りの人が言ってた。あんた、カレンがいなくなって連絡も取れなくなったのに全然探すそぶりもしてなかったってな!」 そこまでをいっぺんに話したからさすがに息切れした。はぁ、はぁと荒い息をする。こういう時の俺ってほんとに情けない。「んん~、頭の回る子は嫌いじゃないねぇ。どうだい? きみ、俺とくまないかぁぁ?」「ぜったいにお断りします!!」 ばばぁ~ん!!っていう効果音が聞こえてくるようにめっちゃカッコよく決めてみたつもり。「ただ、どうしてカレンの記憶が駅で消えたのかが分からない」「あぁ、それは簡単さ。マネージャーが話があるって言ったら、普通疑いなく付いてくるさ。そこを眠らせたんだよ」
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第8話 ゴスッ!!
  「被害者発見!! 被害者発見です!!」「意識はないようですが、無事です!!」 その言葉を聞いてようやく安堵した。 一つため息をついて、ようやく外に出ようと振り向こうとしたが足が動かない。そのうえ震えている。強がってはいたものの、俺はやっぱりビビっていた。 ――ああぁ~!! びっくりしたさ!! 相手大人だし!! こっちは俺一人だし!! カレンいたけど幽霊だし!! それにアイツ鉄パイプとか持ち出してるしぃぃぃぃ~!! てなことを考えていたら、警察の方が後ろから支えてくれた。 付き添われる形で倉庫から出たのはおそらくその10分後くらいだったんじゃないかな。 すでに規制が張られているその下をくぐり警察車両の集まっている方へと誘導される。ちょうど救急車からストレッチャーが出されて倉庫の方へ向かうところだった。これから車の中で事情聴取されるのだろう。「あれ?」 俺は場面に似合わない声を上げる。いや正確には上げたらしい。記憶にない。 歩いた先の車の前に、ヘッドライトでよく顔が見えなかったが、腕を組み足を広げた(言うと怒るからあんまり言えないけど決して長くはない)見慣れたシルエットが見えたから。「や、やぁ、とう……」 ゴスッ!! ッっ!! その場にうずくまる俺。うん、殴られた。マジなヤツ。「な、なにすんだよ!! 俺は子供だし情報提供者だぞ!! 功労者なんだぞ!!」「はっはっはっは。何を言ってる。だからこの位ですんだんだぞ!! 父の愛だと思え!!」 ゴスッ――まさかの二発目きた~~!!「ほらっ乗れ」「わかったから押すなよ!!」 無理矢理に後部へと押し込められると「良くやったな……さすが俺の息子だ」 っと、小さなほんとに小さな声で父さんは言ってくれた。 これには俺もジンと来て「うん」と頷いた。 それからその場で事情を聴かれたのだが、その間に
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第9話 伊織って心配性?
  正確に言うと『会う』なんて事はもう難しくなったといった方がいいか。 ニュースを皮切りに報道による相乗効果も相まって、カレンの加入しているグループ[セカンドストリート]は一躍有名になり今ではトップアイドルとしての位置をつかみそうな勢いになっている。 報道によると、マネージャーの逮捕をきっかけにしてカレンの脱退やソロへの転身なども噂されていたようだが、事務所ならびにカレン本人によって否定され、グループは更に結束を固めたらしい。 カレンを監禁していたマネージャー都築恭司は、あれから割とすぐに話しすらできなくなったらしく、今は何を聞いても意味の分からないことを言っているらしい。「精神鑑定に持ち込まれるなぁ」っと父さんがぼやいているのを聞いた。 都築恭司を蝕んだモノ、それは[欲]というものだと思う。 思うって表現したのは、俺自身がそう断定できるほど知っているわけじゃないからだ。強い欲は表裏一体だと思う。いつもその想いにそれ相応の範囲で応えることができているうちはどうってことないが、応えられなくなった時、対処を間違えたら落ちていくのは簡単なのだ。「お義兄ちゃん? そろそろ起きてこないとホントのにまずいよおぉ?」 都築はまさにその落ちていく方だったらしく、初めのころはカレン達と共に頑張っていたが、売れ始めた時から[強欲]というモノに憑かれ始めたのだろう。それが暴走した結果が、今回の事件へと繋がった。俺はそう思っている。 それを止められなかった事を悔しいと思う。最後の瞬間、どうにかこちら側に戻らせることができなかったのかと、いつもこういう時に思ってしまうのだ。 俺にはまだ、年齢も知識も経験も、体格さえもまだまだ足りないのだと、考え込む日々が続いていく。 「お義兄ちゃんってば!!」 ばた~ん!! 勢いよく開かれた部屋のドアから制服姿の伊織が駆け込むように入ってきた。さすがに俺もビクッとなって我に返る。「起きてるなら返事くらいしてよ! もう!! 心配するじゃない!!」 学校
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第10話 できた絆
それから二つの季節が過ぎて――。 通学する背中に冷たい風に桜の香りが交じり始める頃、俺は第二希望の高校に何とか引っ掛かり無事に進級することができた。 街中から聞き覚えのある声とともに、軽快なメロディーが流れているが歌っている子が誘拐されていたなんて事自体がなかったかのように、世間では語られることはない。 最近では毎日のお馴染みの顔になりつつある。 俺ももうあまり思い出すことはなくなっていた。そもそもカレンは彼女が言う通り死んでいなかったわけでつまりは[生き霊]だったわけで、自分の危機を無意識に飛ばしていただけ。元に戻っ時に[生き霊]だったほうの記憶はほとんどの人は残らない。だから今のカレンは俺を知らないことになる。 俺だけがあの時のカレンを知っているのだ。「シンジ、はよ!!」「ウス」「はよー」 今のクラスメイト達にあいさつをされる。今の俺は少し暗いけど平凡なクラスメイトくらいの感じでなじんできている。同じ中学卒の奴もいるけど、別段前の俺のことを持ち出すわけでもなく、ただただ平和で平凡な毎日が過ぎていくだけ。高校生生活はそんな感じでスタートした。 そんなある日、なんか朝からスカッと起きた。「あれ? お義兄ちゃんが起こされる前に自分から起きてくるなんて‥‥やりとか雹とか降ってきそう」 なんて、少しだけ身長が伸びた伊織に朝からからかわれた。家族との関係はそんなに変わらないけど、伊織との義兄妹としての距離は少し縮まったような気がする……よね?   「え~ここはこの公式を当てはめてだな……」 嫌いだった数学の授業もこの日はなぜか楽しかった。『シーンージ、ク~ン』「どうりゃ~」 突然の絶叫が教室にこだまする。 先生はもちろんクラスメイト達も一斉に視線の集中砲火を一転に集中する。そう俺だ!!――だって、だってさ、机から頭だけ出てきたんだもん
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