そして、昼休み。 私は貴子と二人で屋上にいた。 天気は快晴。爽やかな風が通り過ぎていく。 晴れ渡る青空に、突然貴子の雄叫びがこだまする。「えーーー! キスうっ!」 「しーっ! 大声で言わないで」 私が人差し指を口にあて、貴子をきつく睨む。「ごめん、だってあまりに急展開で。さすがの私もビックリよ」 キャーキャーと声を上げながら喜ぶ貴子。「なんで喜ぶかな」 私はあきれ顔を向けた。すると、貴子は自信ありげに胸を張った。「だって、そりゃあ、ねえ。 それで、ヘンリーを見ると気まずくていてもたってもいられないと」 うんうんと貴子が満足そうに微笑んでいる。 本当に貴子はいつも楽しそうでいいな。「まあ……そうかな」 「それは、恋だね! あんたキスで恋に落ちたんだよっ」 名探偵にでもなったかのように、貴子は私に人差し指を向けビシッと決めポーズをする。 はあ、始まったよ。また貴子劇場。妄想爆発。 私はあきれつつ、曖昧に返事をしておく。「……あ、そう。それはいいんだけどさ。 ヘンリーと気まずいのが嫌で、どうにか普通の状態に戻れないかな?」 想像していた反応と違ったことが気に喰わないのか、貴子は不満げな表情をする。「本当に流華は鈍いんだから……。ま、いつか自分の気持ちに気づくでしょうよ。 あんたはヘンリーに恋に落ちたのよ、キスで覚醒したの!」 貴子は一人で妄想劇を繰り広げているのだろう、空を見上げ何か物思いにふけている。 口出しすると面倒そうだ、こういうときは放っておくのが吉だと知っている。 私は貴子が落ち着くまで待つことにした。 「ま、気まずいのはお互い辛いだろうし、いいこと教えてあげる」 妄想に満足したのか、私に向き直った貴子はまたビシッと私を指差した。「今日の夜、ちょうどこの学校で肝試し大会があるのよ。それに二人で
Terakhir Diperbarui : 2025-06-25 Baca selengkapnya