静まり返る別荘の内部に、コソコソと5人の男たちが入って来た。「ヒュ〜、マジで金持ちってスゲーなっ」その興奮した声に、隼斗を裏切った男が厳しくシッ!と注意した。だが確かにドアを潜った瞬間から、彼らにとってそこは別世界だった。広々としたキッチン、大きなダイニングテーブル、そこを過ぎて入ったリビングは、自分の住む部屋よりも広かった。壁に掛かる絵もどこかで見たことがあるような物で、きっと想像もつかないほど高いんだろう。インテリアは言うに及ばず、置いてある物、目に入る物全てが高級品に見えた。チッ!男は呆然とした後、凄まじい嫉妬心に駆られて思わず舌打ちをした。その時、「見物は済んだか?」「!!」カチッー暗闇に小さな火が灯り、ジジ…と紅点がついてふぅ~っと息を吐き出すと同時に、煙草の匂いが漂い出した。「誰だ!?」男が鋭く問うと、その影になっていた人物が可笑しそうに嗤った。「他人の家にコソコソと入り込んだネズミのくせに」「ー!」言葉が発されると同時に、パッと明かりが点いた。そして男たちは驚愕した。いつの間にか、数人の黒服の男たちに囲まれていたのだ。「……」さっきまで遊び感覚で興奮していたチンピラたちが顔を青褪めさせ、途端に狼狽え始めた。「お、おいっ、どうすんだよっ」「なんだよ、これ!」「話が違うじゃねぇか!」「……」男は、目の前でソファに座って優雅に足を組み、煙草をふかしている人物を見つめた。「最初から分かってたのか?」その問いに怜士が「そうだ」と答えると、男はまたチッ!と舌打ちした。「女か?……いや、隼斗だな!?隼斗…あの野郎…!裏切りやがったな…っ」「……」怜士は男がぶつぶつと文句を言っているのを聞いて、その図々しさに呆れていた。一方希純は、怜士の斜め前に座って事の成り行きを見ていたのだが、この男たちの様子に苦笑せずにはいられなかった。自分はなんでこんな小物を、あんなにも恐れていたんだろう…。美月のことを思うあまりこんなにも卑小な輩に好き勝手されそうになっていたなんて、彼の自尊心がひどく傷つけられたような気がした。「真田さん、この者たちをどうするんですか?」尋ねると、怜士は煙草を咥えたままちらりと視線を寄越した。「君はどうしたいんだ?」「私は……」希純はくっと唇を噛み締めた。そして怜士を見つめる
Last Updated : 2025-10-13 Read more