「わ〜っ。もしかして、僕の女神さまですか!?」美月は目の前でその瞳をキラキラとさせている男の子の言葉に、パチパチと瞬きした。如月尚は楽しそうにくすくすと笑い、その男の子、真田准(さなだじゅん)6歳の小さな頭を撫でた。「そうよ。よくわかったわね?」そう言うと、彼は心外だ!とでもいうように「当たり前だよ!彼女は僕の女神さまだよ!?わからなくてどうするの!?」と力説した。美月には何がなんやら訳がわからなくて、親友の袖を引いた。「どういうことなの?」その困惑した表情に、尚は悪戯っぽく笑って言った。「つまりね、彼は、あなたのファンなの」「ファン?」益々訳がわからない。自分は大学を卒業してすぐに希純と結婚した。公の場で何かした憶えなどないのだ。「人違いじゃー」「違いますよっ」言いかけると、すぐに否定された。「人違いなんかじゃありませんっ。ずっとあなたに憧れてたんですから!あなたは僕の女神さまです!」そう言い切りながら、准は嬉しくてニコニコが止まらない。美月はとりあえず、この話は後で尚に訊こうと思い直し、曖昧に微笑った。「すみません、先生。この子はどうもあなたに対して想い入れが強くて…。ご不快でしたよね」美月の困ったような笑みに准の父親で、聖人の兄である真田怜士(さなだれいじ)が口を開いた。彼は真田家の当主で、真田グループ総帥だ。希純は佐倉グループの社長ではあるが佐倉家の〝次期後継者〟というだけで、佐倉家当主は彼の父親だ。その違いがこんなにも貫禄に現れるものなのか…。美月は感心した。でもー希純と比べてもおそらく数歳歳上なだけでこれほどの権力を持つ男の子供が、こんなに純粋培養っぽい子でいいのだろうか…。美月がそう思っていると、それを察したかのように、怜士が彼女を見て淡く微笑んだ。「いつから来ていただけますか?」そう問われて、美月は姿勢を正した。「準備もありますから、できれば週明けからでいいでしょうか?」「わかりました」怜士は頷くと、美月に手を差し出した。それが握手を意味していると気付いて、彼女も慌ててその手を出した。大きな掌に包まれて少し居心地の悪い気持ちでいると、そこに小さくて可愛い手が加わった。「よろしくお願いしますっ。美月先生!」彼の目は相変わらずキラキラしていて、美月はその可愛らしさに思わずニッコリと
Terakhir Diperbarui : 2025-07-06 Baca selengkapnya