「でも、臥龍岡先生が折笠先生の愛人なら、鈴木君は……。二人はお互いが折笠先生の愛人だって、知っていたんでしょうか?」 さっきから晴翔の顔が引き攣っている。 きっと晴翔にとっては理解できない次元の内容なんだろう。 「折笠先生に複数の愛人がいるのは理研の頃から有名だけどね。お互いが知っていたかは、わからないけど。少なくとも臥龍岡先生は知っていたんじゃないの? じゃないと、鈴木君を利用できない」 さらりと言ってのけた理玖を眺めて、晴翔が信じられない顔をした。 「それって鈴木君を恨んでたから利用したんですか? それとも、いっぱい愛人作る折笠先生が憎くなって殺しちゃった?」 晴翔の発想がどろどろの愛憎劇に傾きかけている。 「むしろ、臥龍岡は本気で折笠を愛してはいなかったんじゃないでしょうか? RISEのリーダーとしてDollのリーダー折笠の懐に入り殺害するための愛人偽造では?」 國好の解釈も國好らしいというか、大変作為的だ。 「栗花落さんは、どう思います?」 どうせなら全員の意見を聞いてみようと思った。 突然、話を振られて栗花落がビクリと背筋を伸ばした。 「俺っすか? んー、どうだろうなぁ……」 栗花落が困った顔で笑う。 その顔が引き攣っているように見えた。 ひくりと変な呼吸をしたように見えたが、呼吸を飲み込んで、栗花落が口を開いた。 「……純文学の作家さん、っすよね……。愛しているから殺した、みたいな話っすかね。臥龍岡がRISEなら上からの命令も、あったでしょうけど。殺したら自分だけの存在になる、みたいな感じ、とか?」 晴翔と國好が二人揃って同じように不可
Last Updated : 2025-07-28 Read more