「10月は吹奏楽の季節‼」 そう言って、颯爽と鴻上先輩は現れた。「リョウ君、吹奏楽のコンクールに助っ人で参加して‼」――リョウってなんか吹奏楽の楽器出来るのか?「仕方ありませんね、今回だけですよ。楽器は何ですか?曲目は?」「リョウ君、何の楽器の経験あるの?」「なんにもないですよ」――事実だろう「とにかく!部室に放課後来てね‼」――これもハルカへのアピールだろうが、すさまじいな。リョウは何か楽器出来ただろうか?俺が知るかぎりはない‼皆無‼ 放課後に吹奏楽部の部室へ行った。例の如く、俺も。「ようこそ、リョウ君‼…その男子は誰?」「あー彼は俺がホームステイしてる家の人で、あとクラスメートでもある最上翔です。何か文化の違いで戸惑ったりが嫌だったので、付き添ってもらいました」「せっかくなので、移動の際の楽器の荷物持ちとかします。雑用として置いてください。よろしくお願いします」――『力持ち』とか言われる前に自分から先に言っておいた。「何がうまくできないから、とりあえず試しに色々吹いてみて‼」――畜生!全部プロ級だよ。本読んだんだな、吹奏楽関係の本を大量に‼女子は目が♡だよ、鴻上先輩を除いて「何でも出来るじゃない‼しかもすごく上手‼これならソロパート任せられるわ」――ハルカに存分にアピールしてくれ「そうねぇ、曲目は『ホルスト作曲・組曲惑星より木星』にしましょ。リョウ君の楽器はクラリネット‼パートリーダーもしてもらうわ。クラのソロが目立つように編曲もして…あー忙しい♪」――リョウ…がんばー「俺は練習すればすぐ出来るんだけどさぁ、パートリーダーだろ?クラのメンバーみんなできないとだからしばらく放課後は吹奏楽部だな」「わかった。俺はバイトに専念するよ。お互い頑張ろうぜ」 そして、本番。――すげーな。色んな制服の色んな女子がいる。「翔!今日はリョウ君の応援でしょ‼」――きっとこの中にも他校でリョウのファンがいるんだろうな。男とかも…?リョウのせいで俺の脳みそが腐る…「リョウな。クラリネットでソロあるんだと」「へぇ、すごいねぇ。クラも出来るんだ」――はーい、何でも出来まーす ソロは…またしても黄色い声援が邪魔をしてあんまり聞こえなかったが、クラリネットを立って持ち、ソロを演奏する姿はかっこいいと俺も思った。「あ、見つけた!ハル
Huling Na-update : 2025-06-08 Magbasa pa