All Chapters of うちの玄関は異世界への扉にたまになる。: Chapter 1 - Chapter 9

9 Chapters

第1話 親友との出会い

 そいつは突然やって来た。というか、予定に入ってたんだけど特に気にしてなかった。 「翔くーん、玄関出てー。ほら!今日からうちに交換留学生来るって言ってたでしょ!ママ張り切って準備忙しいのー」――おーい、俺も忙しい。そして、張り切り過ぎだ…「どちら様で…」――玄関を開けると、金髪碧眼の美少年。しかも異国の人間がいた。この暑い中首にチョーカー…「初めまして。今日からここでお世話になります。リョウと呼んでください」――最近の美少年は礼儀正しいのぉ。と、10代ピチピチの俺がそんなことを言うのは母さんに怒られる。しかしこれまた美少年だなー…「あらー、早いのねぇ。そうねぇ、わたしのことはママって呼んでくれると嬉しいわ」「麗しのマダムが家の主人ですか?」「イヤだわ、もうリョウ君ったら!主人はし・ご・と♡もうすぐ帰ってくると思うわ」――なじんでる…。異国にお世辞はあるのか?「オッス、ただいま。おう、もう来てたか。で、名前は?ほう、リョウとな。まぁ、うちの翔と仲良くしてくれや、同じ学校に行くわけだし」――はあぁぁぁぁ⁇聞いてねー‼あんなイケメンと一つ屋根の下で暮らしてるって知ったら、脳みそが腐ってる女子がどんな妄想をするのかわかったもんじゃない。正常な女子でもあのイケメンと比較されるのはキツイって!――驚き度は親父が弁護士って初めて聞いたときと同等くらいか?あのテキトー魔人の親父が弁護士って胡散臭い…我が家の経済はよく成り立ってるな「俺は翔。高校2年。同じ高校に通うらしい。よろしくな。ところで、途中転校?」――俺はごく普通に聞いたつもりだ。悪意など微塵もない‼俺以外が罰悪そうにしてるけど?「あー、実は俺、日本語会話はできるけど読み書きできないんだよね…だから半年くらいしてから翔と同じ学校に行こうかと…」――よーし心の準備などができる!腐女子リサーチもした方がいいのかな? そして半年…と思ったら、1カ月で読み書きマスターしたよ… だから1カ月後‼――心の準備などもできた。多分。腐女子リサーチもした。さて、大丈夫だ‼多分…「さ、リョウ!学校に行くぞ‼学校でのルールというか規則は俺が教えるからな‼」「いや、規則は生徒手帳読んだけど…」「そういうんじゃなくてだなぁ、学校でうまく立ちまわる方法とか」「よくわかんないけど、わかった」――曖昧
last updateLast Updated : 2025-06-01
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第2話 悩めるリョウ

――なにやら今度は男に囲まれてる。助けるか…「リョウに何か用ですか?」「翔ー!どうしよう?」「バスケ部の勧誘に来てたんだよ」――あぁ、今日の部活でリョウ大活躍だったから!「まだ日本の文化がよくわかってないっぽいので、助っ人とかで勘弁してやってください。時間が空いているようでしたら参加を促しますので」――こんなもんか?「翔!勝手な約束するなよ‼」「一応その場は治めたじゃん。あとはお前がなんとかしろよ。これもコミュニケーションの訓練」――その後体育の度に新たな部活から勧誘を受け、俺はそれをフォローするのが続いた「なぁ、お前って武術もできんの?」「うーん、ルールブックは読んだけどどうかな?剣道はわからない。フェンシングのほうができるかなぁ?」――地獄耳腐女子が武術系の部活にこの情報をリークしたため、翌日から武術系の部活からの勧誘がスタートした「ねぇ、いっそのことリョウ君は文化系の部活でも活躍しそうだよね」――ただのミーハーの発言なのに、文化系の部活もリョウの勧誘に乗り出した。俺の仕事が増えた。もう学校中がリョウフィーバーだった。…帰りはどうしよう「翔。本で読んだんだけどさぁ。日本てニンジャの話あるでしょ?それ、できるかも!」――何をバカな…イケメン連日の囲みで壊れたか? と思っていた。しかし、家の前は部活の勧誘やらリョウのファンやらでとても入れそうもなかったのに気づくと庭にいた。「おかえり~二人とも‼今日の夕飯はリョウ君の好物ハンバーグよ‼二人とも手を洗っていらっしゃい」――我が家もリョウ基準なのか…「ただいまー。なんか家の前すごいことになってたけど、大物政治家とか匿ってるのか?他に考えられるのは…スキャンダラスな芸能人」――半分当たりだ。スキャンダラスでも芸能人でもないが「お、今日の夕飯はハンバーグか。もう‼アヤメ…俺の想いを汲んでくれたのか?」「いやぁねぇ、ア・ナ・タ♡これはリョウ君の好物でもあるのよ。あなたへのとっておきはあとで♡」「仕方ないなあぁ」――俺の中で七不思議のようなものだ。何故このラブラブ夫婦で俺に兄弟がいないんだろう?と子作りのことを勉強してからというもの思ってならない「リョウ、こんな両親で悪いな」「翔、いいじゃないか。俺はこういうの面白くて好きだ」――それは他人だからの意見だろうな。一緒に買い
last updateLast Updated : 2025-06-01
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第3話 リョウの悩みとアヤメの気持ち

そうして、俺とリョウは一緒にカラコンを買いに行くことになった。 道中、リョウが囲まれた。俺はどういうわけか囲みから脱出していた。というか、仲間外れ的な…。 囲みの内容―芸能界のスカウト・モデルのスカウト・ホストのスカウトetc. スカウトだけでなくいつものように女子に囲まれ、それも老若男女関わらず。あとは野次馬。野次馬が野次馬を呼び大変なことになっていた。気づけば警察まで出動する騒ぎになっていた。「警護をつけます。どこにいきたいのですか?」「俺らはただ買い物に行く途中です。警護は有難いですけど、警護のお金ないですよ?」「市民の安全第一です」――恐るべし金髪碧眼美少年「カラーコンタクトレンズを買いに行きたいんですけど?」「案内します」――実に有り難い店員がびびってる。警察が一緒に来たらなぁ。金髪碧眼美少年・警察官・普通の日本人。「すいません。カラーコンタクトを探しています。色は黒で。使い捨てってありますか?」――母さんがいたらまた悲鳴のような叫びが上がっているところだ。「とりあえず、視力の確認などをします。お時間はよろしいですか?」――俺はリョウにそこらへん見てくるからと言ったが、初めてで心細いのか引き留められた そんなことをしながら検査をするのに使う部屋(?)を見ると、店員のお姉さんがケンカをしている。もちろん内容は『誰がリョウの目を見るか』だ。なんとくだらない。「リョウ…頑張れ…」 と、手術前のような言葉をリョウに告げ、メガネを見て回ってた。――げ⁈メガネってこんなにすんのかよ?知らなかった。視力2.0だし~♪ 俺の自信はすぐに崩れた。「リョウ様の視力は5.0です。眼球に異常はありません。眼に病気も見られないのでコンタクト大丈夫です」――5.0…視力でリョウに負けた…。リョウに負けるのはルックスだけで十分だ…「翔‼どのメーカーがいいのかな?」――俺はコンタクトともメガネとも付き合いないからわからん「店員さんに聞けばいいんじゃないか?」 店員さん達が各々自分推しのコンタクトを選んでもらおうと必死の形相でリョウに迫っていた。「あー、一番黒の色が濃く出るやつってのはどうだ?」 と、リョウに提案した。店員さんの迫られ方が怖かったし。「そうだね、翔の言うとおりにするよ。で、どれがいちばんいいの?」 そう店員さんの群
last updateLast Updated : 2025-06-01
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第4話 夏でもローストチキン!

「オッス、ただいま。お、今日はピーマンの肉詰めか。翔、なんかやらかしたのか?」「あ、おかえりなさーい♡ひどいのよーリョウ君の爪切っちゃったんだから‼」「コンタクトにしたんだから、眼球傷つけたらヤバいだろ?んで爪切ったんだよ」「それは切らなきゃなぁ」「もう‼あなたまで‼リョウ君の爪にマニキュアを塗るの楽しみにしてたのに…」「足の爪があるだろ?そんなにむくれたら俺の大事なお前の光が消えてしまうよ。俺の大事なアヤメ…」「銀…」――始まった…二人の世界だよ…。「リョウ、こうなったら、あぁ名前で呼び合ったらな?ほっとくしかないからな」――夕飯、何時だろう? 結局夕飯ヌキの不健康な高校2年生が2人誕生した。「翔、すごい言い忘れてたんだけどね、俺の特技?っていうのかな?それが『読んだらできるようになる(たいていのことは)』なんだよね。だから、学校の教科書の内容…覚えちゃった」――てへぺろをされた…。っていうか、てへぺろはどこの本に載ってるんだ‼ツッコミが多すぎてどうしようもない。それで俺はどうすればいいんだ?「リョウはどうしたいんだ?より多くの知識を望むなら図書室漬けになればいい」「翔ー、どうすればいいかな?」――そのハイスペックは自分で考えろ‼案の定リョウの目が黒いから女子が騒ぎ始めた。「翔、大げさだよねー?」――とリョウは言うけど、仕方あるまいちょっと突き放してみると、リョウが涙を流している。そして、何故だろう?女子生徒が睨んでくる。「コンタクトー‼」――ん⁈コンタクトで目が乾くとか、コンタクトがずれたとかか?「とりあえず、目薬だな。で、リョウ目薬はどこだ?」「鞄の中のどっかー」――すっげーわかりにくい。女子のようにポーチを持っていればいいのに「ついでにティッシュもー」――あー涙出れば鼻水も出るよな「なぁ、コンタクトしてるから水泳部は無理ですって断れないかな?」「裸眼を求められる可能性がある」――リョウがちょっとガッカリしていた。そんなに助っ人とか嫌なのかなぁ?  そんなこんなで授業中古典だけど大丈夫かあ?と心配だったが、リョウの読めば出来る能力でスラスラと古典もこなした。――日本人でも間違えるのに… いつものニンジャのように家に帰って、学校での出来事をそこにいる母さんに話した。「まぁ、リョウ君モテモテなの
last updateLast Updated : 2025-06-01
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第5話 リョウin美容室

「なぁ、リョウの読めば出来るってスキルで俺の仕事手伝ってくれねぇ?」――はぁ⁈親父は弁護士だろ?そういうのって資格いるんじゃないのか?ただの高校生がやっていいもんなのか?「学校が夏休みになればいいですよ」「よし、俺もクライアントにその旨話とく」「銀ってば強引ねー。夏休みの課題とかあるでしょうに」――そうだ‼俺はリョウに勉強教わりたいぞ「アヤメ、よく考えろ。リョウが俺の仕事を手伝う→俺の仕事がはかどる→休みが増える→空き時間ができる→アヤメと俺の二人だけの時間が増える」「リョウ君‼銀の仕事の手伝い頑張ってね‼」――単純だ。きっとリョウは仕事をそつなくこなすだろう。目に見える「リョウ、適当に頑張れよ。バカップル夫婦の欲望に巻き込まれてるからな」「ところで、ママ。俺、髪を黒く染めたいので美容室紹介してくれませんか?」 またしても悲鳴のような叫び声が家に響いた。「リョウ君、今のままで素敵よ」「悪目立ちをするようで嫌なんです」「仕方ないな。コンタクトの時もそうだったけど、翔が付き添ってやれ。親父命令だ。それにしてもアヤメ、君が俺以外を素敵というなんて…」「あら、珍しい銀。そんなに凹んで、いやぁね。素敵でも言葉に愛が乗ってるのは銀にだけよ♡ 今晩楽しみにしてるんだから‼」――美容室の紹介はどうなったんだ?「で、美容室は紹介してくれるの?」「もー、銀に似てせっかちね‼今度ママが行くときに一緒に行きましょう。って前にも約束してたわね。取り乱しちゃって恥ずかしい‼」――何を今更。バカップル全開の方が恥ずかしいそして夏休みになった。そこはそれ、高校生には多くの課題が出る。そんな中…「よーし、今日は気分を変えて美容室に行くわよー‼」――親父とケンカしたのか?俺も付き添いだったよな、リョウの「よろしくお願いします」 いつものニンジャのように家の周りを抜け商店街の方へ。「違うわよ‼気合い入れるんだからもっと街中の方に行かなきゃ‼」 そうしてなんとか着いた。途中案の定スカウトの嵐だったが、母強し。躱すのがうまかった。「ここって雑誌に載ってるとこですね?」「ピンポーン‼カリスマにやってもらうのよ‼」――そううまくいくのだろうか?「いらっしゃいませ、ご予約は?」「ないわ」――そりゃないよ「当店予約制となっており…」 視線がリョウ
last updateLast Updated : 2025-06-02
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第6話 高校2年の夏休み

「よう、一応法律事務所だからな、クールビズとは言え基本スーツだ」――親父が偉そうだ「俺の肩書は最上法律事務所所長」――本当に偉かったが胡散臭い「暑いのにスーツ嫌なんだよなー。というわけで、うちの事務所はクライアントに会う時と法廷に出る時以外はスーツじゃなくていい。なんならジーンズでもいいぞ」「助かります。スーツなんて持ってないし、服を買うお金もないし。今日の格好でいいですか?」「リョウが法廷に出ることはないし、今日クライアントと会う予定もない。OKだ」――クライアントに会わないで法律事務所って儲かるのか?「翔は家でこの冷房の効いた部屋でじっくり夏休みの課題をしててください‼」――世話女房のようだ「クライアントに会う予定なくて何をすれば?」「今抱えてる裁判の記録のデータ化とか。今までの裁判の記録のデータ化とか?この辺は守秘義務があるからリョウにまかせらんないがな」「それじゃ俺は何を?」「コーヒー欲しいなあ。あ、ブラックで頼むとかか?クライアントには紅茶かコーヒーかを聞くんだな」「とりあえず俺にコーヒーくれ」「どうぞ」「おうサンキュ。…お前‼コーヒー旨いな‼」「インスタントですよ?」――その頃の俺はトイレで下痢と戦いながら、夏休みの課題に思いをはせていた。冷房はなかなか攻撃的だ そんな一日が終わった。「ただいま帰りました」――リョウは礼儀正しい「オッス、ただいま。今日の夕飯は~♪この匂い。パエリアか‼」「二人ともおかえりなさい。今日はリョウ君初仕事記念パエリアよ‼」――ムール貝が少ない…そしてうちは記念日多いな…「リョウはすごいぞ‼インスタントコーヒーが旨かった」「それ褒められても微妙です」「あらーすごいことよ‼安物を高級に見せるのはすごいわ」――…褒め方も微妙だ「リョウ君にムール貝サービスしちゃう‼」「そうか…アヤメはインスタントコーヒーを旨く入れる人にサービスを…」「もーまた‼銀ってば。もちろんあなたにもサービスするわよ。今、ムール貝がいい?それともあとで?」「アヤメ、俺がどうかしてたよ。君が俺以外にどうにかするなんて。あとで、俺からのサービスも受け取ってくれるよな?」「もちろんよ、銀♡」――マジでなんで兄弟出来なかったんだよこのバカップル夫婦「パエリア、美味しいですね。今度作り方教えてください
last updateLast Updated : 2025-06-03
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第7話 翔、チキョウへ行く。

「ただいまー、相談があるんだけどさ。親父が帰ってからな」「オッス、ただいま。今日の夕飯は~♪」「相談がある。リョウも。今日呼び出されて進路相談な。進路考えてないんだけどどうしたもんかと」「そりゃあ自分で決めろよ。自分の人生だ。人に言われた通りに人生過ごしたいのか?」「それは…」「俺はアヤメと出会い、速攻で恋に落ちた。惚れた女に飯食わせてやるくらいで当り前だろ?そこでだ‼弁護士が金になるっていうから法学部入って、司法試験受けて、という流れになるわけだ」「ヤダー‼銀、恥ずかしい‼」「お前らは女に出会ってないだろ?それならアドバイスなんかできねーよ。てめぇの頭で考えろ」――酔ってる⁇なんか結構真面目なほうだよな?大丈夫か逆に不安だ そんな生活も束の間。「もうそろそろいいですかねぇ?俺も日本語の読み書きは出来るようになったし」「そうねぇ、心配だけど仕方ないかなぁ」「お前は過保護だなぁ。俺は自分があと20歳若ければ…と思ってるぞ」「もう‼銀ったら私をほっといて異世界に…なんて」「そんなに凹むなよ、アヤメ。行くのはもちろん一緒にだよ。アヤメと離れたら意味がないだろう。色々な経験すべてをアヤメ、お前とするのが俺の野望だよ♡」――⁇3人で何を思う?聞き間違えでなければ異世界⁇なんか仲間外れチックなんですけど「よし!このチョーカーを渡しておこう。お守りじゃないからな。ちゃんと役立つものだから大事にしてくれよ」――次の日、何事もなくリョウも俺もいつものように高校に行く支度をして玄関を出ると、俺は見ず知らずの平原にいた。「リョウー‼ガキじゃないんだから、突き飛ばすとかやめろよ、全く…」――あれ⁈リョウいない…むしろうちがない「ココドコ?」――何故か片言になってしまった。一人だし、衣食住どうしよう…「王よりの使者です。城に来てください」――あー、よくあるやつだー。最近異世界もの多いもんなぁ。自分異世界ってすっごい嫌なんですけど‼違和感あるー。他人事のような「城ってドコですか?」――あれ?何で?この世界の言葉わかるんだ?「…はぁ…城まで案内します」――出たー!RPGでよくある馬車‼それより使者の人ため息出たよね…?「welcome to チキョウ‼」――超元気だ。何歳だろう?チキョウってなんだよ(笑)「王という職業をしてる。時に名
last updateLast Updated : 2025-06-04
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第8話 翔はチキョウで頑張る。

 ~その頃のリョウ「えー、翔君の家でホームステイしてるのー?」「あぁ、ママもパパもいい人で楽しく過ごしてるよ。」「きゃー」 黄色い声援が響き渡る。しかし、リョウは油断しない。翔に聞いていた。腐女子の存在。必ずどこかにいる。と。「リョウ、この間のテストだが…オール満点で学年トップだ」「きゃー、かっこよくて頭も良くて…」「リョウー!サッカーの試合に助っ人頼んだよな?」「あ、今から行くよ」「スポーツ万能‼この間、吹奏楽部で助っ人頼まれてた。」「うそ?顔よし・スタイルよし・学力よし・スポーツ万能で吹奏楽も?はぁ、出来る人って何でも出来るよね。とにかくカッコいい‼」――賞賛の嵐、出来るものは仕方ない。俺はできないから仕方ない。何故俺がリョウの様子わかるかというと、市場で買った水晶。何故か、様子が見える。これは魔法と言わないんだろうか?親バカの王にプレゼントしようか?なんか見返りあるといいな。非常に大きな。「王!市場で買ったものですが、見てください‼なんと、これを覗くと今のリョウの様子がありありと‼」「なんてスバラシイ‼」――間違えなく親バカだ…「城下町よりちょっと外に出たとこに魔王チックなものあるらしいよ」――ふっ、ちょろい「情報ありがとうございます。行ってみます」  城下町をちょっと外に出たとこ、そこには寺院?寺?神社?礼拝堂?があった。 確かに神がかっている。堕天使的な存在を期待すればいいのか? パラパラと石が崩れて出てきた。 これは…地獄の番犬と言われるケルベロス‼…の幼犬。幼犬と言えども普通の大型犬以上の大きさはあるんじゃないか? 目があってしまった…。あ、可愛い♡などとのんきにはしてられない。どうしよう‼崩れてた神殿から出てきたばっかりだから…とりあえず、餌をあげよう!田舎のじーさんに教わったウサギの捕り方を使って兎肉を確保‼これでよし。「ほーら、肉だー」 と、肉で餌付け。そしてうまく懐いた‼「名前は…ケルベロスの子供だからー。ケルリンで」「承知した」――うおぉぉぉ言葉でコミュニケーションとれるのか‼便利だな。お腹減ってる時とか「王!ケルリンと友達になったけど元に戻らないよ?なんで?」「知らん。もっと危険を回避しろってことだろ?」――この平和な世界でケルリンよりも危機的状況になれとな「王ー洞窟とか迷
last updateLast Updated : 2025-06-05
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第9話 翔withケルリンの帰還

――そうして俺とケルリンは王宮に戻った。城下町の宿屋にケルリンは泊まれないし(一応地獄の門番だから)、交換留学で王子が俺の家に泊まっているのだから俺とケルリンには王宮に泊まる権利がある‼城下町の宿屋にケルリンは泊まれないし(一応地獄の門番だから)、交換留学で王子が俺の家に泊まっているのだから俺とケルリンには王宮に泊まる権利がある‼ 装備としては…臭いし、埃っぽいだろうから、マスクが欲しいな。ケルリンはマスク、大型犬用が3つかな?ランプもないとなぁ。あとはわかんないが行き当たりばったりで何とかしよう‼ と王に装備を揃えてもらい、再びレッツゴー‼――またテンション上がってきたー。ボスキャラいるのかな?ケルリン見た目が強いしなんとかなる…といいな と自分に戦力外通告。 ――まだ悪臭ただよってる。むしろ悪臭の方向に迷宮がある「さぁ、ケルリン。気を引き締めていこう」「はぁ」――気のない返事だ 迷宮に入ると悪臭すごい‼洗濯物は干せないな、絶対。ランプの活躍するところだ‼「ほら、ケルリン。ランプの灯はね明るくするためもあるけど、有毒ガスに反応して色が変わったり、隙間風でゆれたりと利用するんだよ」「はぁ、でもこのランプは灯を使っていません」――何いぃぃぃ⁈では何で明るくなってるんだ?「私も詳しくは知りませんが、火ではありません」――この世界は不思議だな。そして、俺の期待を裏切り(裏切るの好きなのか)一本道で突き当りの祭壇に着いた。何やら小瓶に液体が入っている。聖水的な液体か?テンションやや上がり。裏切られるのはごめんだ「よくわかんないから、持って帰って王に聞こう」――俺の『わからないことは王に聞く』ことも慣れた「王、迷宮でこんなきれいな細工の小瓶に入った液体を見つけた。これは何だ?」「残念ー。ただの水。ご苦労様でしたー(笑)。迷宮はどうだった?」「一本道で一番奥に祭壇がありました。そこにこの小瓶に入った水がありました」「そう。そのケルリンの親はいたのか?」「怪物とかそういった類もなく、ひたすら臭かったです」 そう言って俺は王の間を出ようと扉に手をかけた。すると、扉の先に広がったのは我が家ではないか‼「ケルリンでOKだったみたいだな」――適当すぎるだろ、このRPG「あー、翔君が玄関の向こうにいるー‼」「幻じゃないのか?」――
last updateLast Updated : 2025-06-06
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