月子はそんな隼人の髪をぐしゃぐしゃとかき乱した。彼女は朝ごはんを食べ終わったあと、なんだか体がぐったりしていた。きっと昨日の夜のせいだ。でも隼人と同じ家にいて、目と目が合うだけで体が熱くなって、変に意識してしまうのだ。月子は、そんな自分の体の反応に呆れてしまった。そう思いながら、彼女はそっと足を閉じ、コーヒーを二つ持ってくる隼人を見つめた。隼人はコーヒーカップを置くと、そっと月子の頬に触れた。そして、かがんで軽くキスをした。「まだお腹すいてる?」「今はもう平気。でも、さっきは死ぬほどお腹すいてたんだから」月子は、昨晩のことを思い出して文句を言った。「どうして、あんなに意地悪したの?」隼人は月子の前にしゃがみこんだ。そして、長い指で耳元の髪を優しく撫でる。彼女を見上げながら、指先で唇の端をなぞった。「最初に我慢できなくなったのは、お前の方じゃなかったか?」隼人の悪びれない態度に、月子は思わず笑ってしまった。確かに、彼のキスはすごく気持ちよかったし、こんなにかっこいい人が、自分にあんなことをしてくれるなんて……しかも、相手は好きな人なのだ。これで冷静でいろという方が無理な話だ。月子は隼人の指を掴んで、容赦なく言った。「ちょっとだけだって言ったくせに!それに、バスルームでも壁に手をつかせて、後ろから……もう終わりそうだったのに、まだ続けるんだもん……」隼人は、笑みを浮かべた瞳で月子を見ていた。それはなんとも魅力的な笑顔だった。そう月子が思っていると、彼はまた急に顔を近づけて、キスで彼女の言葉を遮った。そしてすぐに唇を離すと、ささやくように言った。「月子、それ以上は言うな」月子は言葉に詰まった。隼人は月子の隣に座ると、長い腕を伸ばして彼女をひょいと膝の上に乗せた。月子は五十キロ台の体重で、背も高い方だから、女性の中では決して小柄ではない。でも、自分の腕の中だと、なんだかとても小さく感じた。片手で簡単に抱きしめられるし、腰を掴んで持ち上げることも……隼人は、危うくよみがえりかけた記憶を慌てて打ち消した。一方で月子は隼人に抱きしめられると、いつも鼻をくすぐる彼特有の香りに酔いしれるのだった。そして隼人の体温も、ちょうど暖かくて心地いいのだ。やっぱり好きだから、宥められると彼女は一瞬にして機嫌が直ったのだ。そして
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