世界のすべてがわたしたちを祝福してくれている。 ヴァージンロードを覆う毛足の長い絨毯も、チャペルのステンドグラスから差し込む色とりどりの光も、名前も知らない小鳥の家族のさえずりさえも、すべてがわたしたちのためだけに祝福してくれている。 一度はあきらめたこともある。 あきらめずにその願いを追いつづけようとすること。それはとても不道徳な行為で、世界はそれを許さなかった。 でも今は違う。世界が変わったのだ。 わたしは誰の後ろめたさを感じることもなく、世界のすべてに祝福されながらこのヴァージンロードを歩いている。 その先で優しくわたしを迎えてくれるのは、学生時代からずっと一途に想いつづけていた彼――。と、その妻。 妻の差し出した二本のマリッジリング。それぞれ一本ずつにハート型の装飾があり、二つを重ねると四つ葉のクローバーになるデザインは二人で決めた。彼はその一つをわたしの左手薬指にすっと通した。全身から幸せという幸せがあふれ出しておさえきれない。わたしはもう一つの指輪を手にとり、彼の左手薬指に通す。彼の薬指に二本目のマリッジリングが一本目のリングの隣でキラキラと輝く。 誓いを立て、二人はめでたく結婚することになった。
Last Updated : 2025-07-03 Read more