父の親友の弟、名目上は「叔父」と呼ばれる荻原宗太(おぎわら しゅうた)と六年間も秘密の関係を続けていた。それは、芳賀和沙(はが かずさ)にとって密やかな悦びだった。彼と最も激しく求め合っている最中、電話が鳴った。海外にいる父からだった。和沙は仕方なく電話に出る。「お前、いつになったら海外に行って柴崎家と結婚するつもりだ?今のお前の評判じゃ、もらってくれるだけでありがたいと思え」その言葉を耳にした宗太は、動きをいっそう荒くした。和沙の身体は打ちつけられ、声を抑えるのがやっとだった。彼女は唇を噛みしめ、必死に声を漏らさないようにして、電話の向こうに慌てて言った。「お父さん、それ全部デマよ。柴崎家の息子なんて知らないし、その結婚、私はしない」電話を切った瞬間、息をつく暇もなく、彼女は体ごと裏返され、再び彼の下に押し倒された。宗太は耳元に噛みつくように囁いた。「和沙、他の男と結婚してみろ、許さない」そう言いながら、彼は躊躇なく彼女の中にすべてを解き放った。まるで罰のように、痕跡を残した。和沙は戸惑い、震える声で尋ねた。「……もし、妊娠したらどうするの?」彼は満足げに耳元でくすりと笑った。「そのまま産めばいい」激しく愛し合ったあと、宗太は彼女にキスをして、「夜は戻らない」と告げた。不安を拭えず、和沙はピルを買うために外に出ることにした。マンションを降りたところで、彼の車が近くに停まっているのが見えた。ドアが半開きになっている。和沙が彼のもとへ行こうとしたが、彼の腕の中にしっかりと抱かれている女性がいた。顔を寄せ、深くキスを交わしていた。それは昨日帰国したばかりの、彼の婚約者、浜崎心美(たちばな ここみ)だった。「彼女とは遊びだよ。俺が愛してるのは君だけだよ、和沙。関係を公にできないのは、君のためだ」宗太の優しい言葉が今も耳に残っている。彼女はそれを信じていた。本気で、彼の仕方ない事情に胸を痛めていたのに。長いキスが終わり、心美が彼の胸元に寄り添った。「もうすぐ婚約するのよ。いつになったら和沙ときっぱり切れるの?」「もう少し待ってくれ」宗太の声には、感情がなかった。「まさか、本当にあの女を好きになったわけじゃない?」心美は疑いがかった声で問いかけた。宗太は薄笑いを
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