交換留学生として海外に来たが。行き先が決まると、流川輝彦はすぐに人を手配して、学校の外に香澄用のマンションを用意させた。香澄が到着する前には、部屋の掃除も掃除婦が完了した。冷蔵庫には新鮮な野菜がすでに準備されていた。しかも香澄は一人で来たわけではなかった。彼女の学校からは、他に三人の交換生も一緒に渡航していた。そのうち彼女以外、もう一人の女子がいた。その女子生徒は家庭の事情もあり、学校の寮を選んだ。皆で一緒に学校に行き、履修登録を済ませ、クラスメイトや先生にも挨拶し、外で食事をした後。寮に住む男子生徒がその女子を先に送り届けた。そして、池田亘(いけだ たけし)という男子生徒は家庭環境がいいので、香澄と同じマンションの別の部屋を借りていた。亘は香澄と一緒に帰路に着いた。道中、二人はこの国の印象や、これからの授業内容について話し合った。香澄は、最初は異国の地に一人で来たら、少しは寂しさや不安があって、乗り越える必要があるかもと思っていたが。実際に来てみると、それは全くなかった。この常緑大学は授業が非常にハードだった。彼女たちは今日手続きを終えたばかりだが、明日からにはすぐに授業が始まるのだ。今日会った教授は英語のなまりが強く、早口だったりスラングを使ったりすると香澄はときどき聞き取れなかった。すぐに慣れる必要があった。でなければ授業についていけないと思った。部屋に戻った香澄は、すぐに机に向かって予習を始めた。時間になると寝支度を済ませてベッドに入った。くだらないことを考える暇もなければ、孤独や寂しさを感じることもなかった。翌朝早く、彼女は亘とマンションの前で合流した。二人で自転車に乗って学校へ向かった。こうして彼女の異国でのキャンパスライフは、全力疾走で幕を開けた。だから当然、知る由もなかったし、想像もしていなかった。地球の裏側にいる俊哉が、彼女が真実を知ってしまったことに気づいていたなんて。そして、彼女を追って渡航するための航空券まで手配していたことを。俊哉は、香澄との住まいから静を電光石火の勢いで追い出した後、失われた物たちの“修復”を始めた。幸いにも彼の記憶力は抜群だった。まずはネット通販で、家からなくなった物たちを見比べながら一通り買い直した。だが配送に時
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