ほんっと、ムカつく!あの悪い女がいきなり来なければ、もっと姿月ママとお話しできたのに。今日、姿月ママがパパと一緒に学校へ迎えに来てくれた。友達の前で、すっごく鼻が高かったんだから!ゆいなちゃんたちも、「清音ちゃんのママ、クラスで一番きれい」ってびっくりしてた。「動画で見るよりずっと美人だね」って!あの悪い女さえいなければ、姿月ママはパパと結婚して、私の本当のママになってくれたかもしれないのに!「……」景凪は黙ったまま、清音のベッドサイドにミルクを置いた。「清音、ミルクを飲んだら歯を磨くのよ。虫歯になっちゃうから」それだけ言うと、景凪は静かに部屋を出て、ドアを閉めた。階下に降りると、深雲の書斎に明かりが灯っているのが見えた。今、彼は書斎にいるのだろう。なるべく顔を合わせたくない。この隙に、寝室から自分のパジャマと明日の着替えを取ってこよう。今夜は、自分の書斎で眠るつもりだった。だが。寝室のドアを押し開けた景凪の目に飛び込んできたのは、浴室のドアの脇に置かれたラックに、無造作に放り込まれた深雲のスラックスとシャツだった。そして浴室の奥からは、シャワーの音が聞こえてくる。彼が中で、シャワーを浴びている。景凪は、深雲が出てくる前に着替えを手に立ち去ろうと、足早にウォークインクローゼットへ向かった。だが、彼女がクローゼットから出た、その時。ぴたりとシャワーの音が止み、浴室の扉が開かれる。深雲だった。彼はバスローブを一枚羽織っただけの姿で、腰の帯は緩く結ばれ、襟元は大きくはだけている。そこから覗く逞しい胸を、水滴が筋の通った腹筋へと滑り落ちていく。深雲は己の肉体を常に完璧に管理していた。その外見だけを見れば、確かに、人を惑わすには十分すぎるほどだった。突然現れた景凪の姿に、深雲は一瞬虚を突かれたようだったが、すぐに彼女の手に服があるのに気づくと、わずかに眉をひそめ、彼女の方へ歩み寄った。「今戻ったのか。どこへ行くつもりだ?」シャワージェルの爽やかな香りが、男の体温に溶け込み、熱い吐息とともに景凪に押し寄せる。親密な関係がなかったわけではない。子供だっている。かつては景凪も、深雲に対して肉体的な魅力を感じていた。だが今は、彼の身体を前にすると、吐き気がこみ上げてくる。彼が汚らわしい。今日、あの女を抱きしめ、口
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