今回の連行には、須藤も同行していた。だが彼は突入の直前、一本の電話を受けて足をとめていた。受話器の向こうからの報告に、須藤の眉間にしわが寄る。「……死んだだと?わかった、とりあえず遺体を収容しろ」通話を終えた須藤がふと視線を上げると、一台の高級車が滑り込んでくるのが見えた。車内から降り立った男女に目をやり、須藤は動きを止めた。男の方は見覚えがある。鷹野深雲だ。なぜ奴がここに……?疑問が浮かんだ次の瞬間、同乗していた女が親しげに深雲の腕に絡みついた。その光景を見て、須藤の脳裏に先日景凪が口にした「離婚」という言葉が蘇る。なるほど、そういうことか。離婚してまだ日も浅いというのに、この親密さだ。別れる前から関係があったと見て間違いないだろう。須藤の目に、冷ややかな色が宿った。深雲もまた、須藤の顔を見て足を止めた。かつて自分を襲った大規模な拉致事件。その際、入院先まで事情聴取に訪れ、熱心に捜査に当たっていたのがこの須藤だった。「須藤さん、なぜこんなところに?」深雲は怪訝そうに尋ねた。須藤が答えるより早く、部下たちが克書を両脇から抱えるようにして連れ出してきた。その手首には、無機質な銀色の手錠が光っている。その光景に、姿月は血相を変えて飛び出した。「お父さん!」彼女は刑事たちに食ってかかる。「何するのよ!お父さんが何をしたっていうの!?」克書が口を開く前に、須藤が事務的に、だが冷徹に告げた。「小林克書には殺人教唆の容疑がかかっている。証拠はすべて揃った。逮捕状も出ている。不服があるなら、弁護士を通して正式に申し立てることだな」殺人教唆……その単語を聞いた瞬間、姿月の瞳の奥に明らかな動揺が走った。百戦錬磨の刑事である須藤が、その変化を見逃すはずもない。彼の眼光が鋭さを増し、意味深に姿月を見据える。「須藤さん、何かの間違いじゃありませんか?」事態が飲み込めない深雲が、割って入るように進み出る。「小林おじさんが……そんな。署長とは懇意にしてますが、一度確認を……」須藤は鼻で笑った。「結構だ。署への道すがら、好きなだけ連絡を取るといい」「……え?」深雲の表情が強張る。「俺も、署に行かねばならないのですか?」「先ほど、焼死体が発見された。損傷が激しいが……逃亡中の金山九蔵と思われる。あんたならよく知っている
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