二人ともとても緊張しているようだった。こういう時はすぐにでも何か申し付けた方が良いだろうと思い、言う。「早速で悪いけど、今夜の夕食に着ていくドレスの相談をしたいのだけど。私の持って来たドレスとアクセサリーの把握をして欲しいの。なのでクローゼットに行って確認して来てくれる?」二人とも笑顔になり、ハイと返事をしてクローゼットに向かう。私は微笑んでギリアムの煎れてくれたお茶を飲む。「さすがですわ」アンが感心しきりに言う。「二人ともとても緊張していたんです。すぐに指示を出してくださってありがとうございます」私は微笑んで言う。「二人とも挨拶がきちんと出来ていたので、どこかのご令嬢なのでしょう?それでしたらドレスやアクセサリーの把握をして貰っていた方が私としても動きやすい、それだけです」◇◇◇ドレスを選んでアクセサリーを決める。家での夕食なのでそれ程、飾らなくても良いだろう。淡いラベンダー色のドレスを選び、薄いピンクのアクセサリーでまとめる。「とても素敵です……」感嘆の溜息と共にアンが言う。「ありがとう」すぐにギリアムが部屋に来て言う。「お食事のご用意が整いました」そ広間へ向かう。広間へ入ると大きなテーブルなのに食器は二人掛けの椅子の前に並んでいる。そういえば食事の時は二人掛けの椅子を用意させると仰っていたなと思う。テオ殿下はまだいらっしゃらない。二人掛けの椅子に向かう。すると廊下からバタバタと足音がしてドアが開く。「すまない、遅れた」タイを結びながらテオ殿下が現れる。テオ殿下は黒の正装をしていた。私を見るなりテオ殿下は手を止めて一瞬、その動きを止める。そして咳払いをすると私の前に来る。「余りに美しくて見惚れてしまった」そう言われて何だか気恥ずかしくて俯く。テオ殿下こそ、慌てて走って来たりして、待ちわびていてくれたのを感じて、胸が疼く。テオ殿下は私の手を取ると口付けて椅子に座るように促す。テオ殿下の横に座る。こんな形式で食事をするなんて事は今まで無かったので、少し戸惑う。テオ殿下の引き締まった体を包む正装はとても素敵だった。本当にこの方は何を着ても絵になるのだなと思う。楽しく食事をし、テオ殿下に連れられて広間を後にする。「少し話をしよう」そう言ってテオ殿下は私をテラスへと連れていく。夜風にテオ殿下の銀髪が揺れる。テオ殿下は着ていた上
最終更新日 : 2025-07-25 続きを読む