それでも最後の抵抗とばかりに顔を隠そうとする両手を簡単に梨ヶ瀬《なしがせ》さんに掴まれ、そのままベッドに張り付けられてしまった。 「ちょっと、何するんですか! いくらなんでも、やって良い事と悪い事が……!?」 せめて文句だけでも言ってやろうと焦って顔を上げると、すぐ傍に彼の整った顔。さすがに至近距離でこんな美形を見つめられれば、この心臓だってバクンバクンと大きな音を立ててしまう。 戸惑って固まっている私の唇に、ゆっくりと彼の指が触れる…… お願い……止めて。そんな目で私を見ないで。 ますで冷めない熱のように、私を狂わせるてしまいそうなその瞳の奥の炎が怖い。「ねえ、キスしたいんだけど……良い?」「は? いきなり何を言って……?」 付き合ってもいないのに、まだ私が告白の返事も出来ていないのにそんな事を言う梨ヶ瀬さん。彼の目に映る欲望に光に、惑わされ私の方が正しい答えが分からなくなる。「ねえ、麗奈《れな》。君とキスしたい、どうしても駄目?」 そんな聞き方は狡いと思う。もちろん駄目に決まっているのに、そう言えないのはどうして? 今までそうやって流された経験がないとは言わないが、このままでは梨ヶ瀬さんの思惑通りになってしまいそうで何となく嫌だ。 必死で首を振って見せようとするが、身体が全然言う事を聞いてくれない。梨ヶ瀬さんの視線に、全身がまるで金縛りにでもあわされてるみたいに。 梨ヶ瀬さんは、本当に怖い男の人だと思う。私なんかどうにかしようと思えば、そんなの簡単に出来るはずなのに。 まるで毒でも使っているかのように、ゆっくりと私をおかしくさせるのだ。 ……そして自然なことのように、私が彼を望むみたいに仕向けてくるんだから。「ダメ、です……それは、ダメ」「本当に?」 どれだけ私が必死で抗おうとしているのか分かってるくせに、畳みかけるように梨ヶ瀬さんは色気のある甘い声で囁いてくる。ゾクゾクとした感覚が、この身体を甘く痺れさせるみたいだ。 熱の所為で判断が鈍る。もういいのではないかと、悪魔が私を誘惑してくるみたいに。 梨ヶ瀬さんの熱っぽい瞳に今の私はどう映っているのか、それを知るのすら怖かった。きっと今まで見せたことのないほどに、女の顔をしてしまっているのだろうと……「……ごめんね、麗奈」「え?」 急に謝られ戸惑いながら彼を見ると、
Last Updated : 2025-11-15 Read more