The kiss of death!!〜イケメン悪魔5兄弟VS私!!〜의 모든 챕터: 챕터 21 - 챕터 30

44 챕터

21.眠れない夜に悪魔が2人

契約の条件など必要事項を言い終えたギャレットは放心状態の私と相変わらず無表情なバッカスに「じゃ、5日後」と冷たく言い放ち、私たちを部屋の外へとさっさと追い出した。そして現在。やっと小屋に帰ってきた私は、私に付いてきたバッカスとすでに小屋にいたエドガーと3人で遅めの夕食を食べ終え、アニメ鑑賞の準備をし始めた。エドガーもバッカスもこれから始めようとしているアニメ鑑賞に付き合ってくれるらしい。事情を知っているバッカスは「咲良に協力する」と言い、夕食時に流れでこれまた事情を知ったエドガーは「暇つぶしに付き合ってやる」と言い、2人とも夕食後もここへ残ってくれていた。大変有り難い話だ。1人で長い時間アニメを見続けるよりも誰かとその時間を共有した方が絶対にいい。その方がきっと気が滅入ることもないし、楽しいだろう。アニメ鑑賞の準備も整い、時間も惜しいので私は早速アニメ鑑賞を始めようとした。だがしかしあとは再生ボタンを押すだけだというのに未だにアニメ鑑賞を始めることができないでいた。「あん?俺様が咲良と一緒にソファに座るんだよ」「いや。咲良の隣に座るのは俺だ」エドガーとバッカスによるたった1人分のソファの空席争奪戦が終わらないことによって。どっちでもいいから早く決めて欲しい。アニメ鑑賞を始められない。事の発端はアニメ鑑賞の準備が完了し、私がエドガーとバッカスに言い放ったこの一言だった。「ソファはどう考えても2人しか座れないから、私が座ることは決定として、残りの1人はどっちが座るか決めてね。1人は床ね」 私はそれだけ言うとソファに座った。この一言により、エドガーVSバッカスによる絶対に譲ろうとしないソファ争奪戦が始まったのだ。ソファ争奪戦が始まっておそらく10分は経っているのではないだろうか。どちらも譲る気がない為、終わりが見えない。初めこそ黙って見ていた私だったが流石に口を開くことにした。「はぁ、そんなにソファに座りたいなら譲るよ。2人でどうぞ」「「ダメ!」」これしか解決方法はないだろうと呆れたようにソファから立とうとしたが、それはエドガーとバッカスによって阻止される。2人の意見が合うなんて珍しい。「…」…いやでもこのままではアニメ鑑賞を本当に始められないのだが。「咲良!俺が隣の方がいいよな?」「いや俺だろ」「俺は!お前
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22.同志と契約

らぶ☆さばいばー~戦わなければ生きられない!~、略してらぶ☆さば。らぶ☆さばのまず1クール30分、12本を見た感想を言おう。「し、しんどい」私は今タオルを片手にばだばだと涙を流していた。私だけではない。エドガーも私の横でほんのり泣いており、あの無表情なバッカスでさえも辛そうな顔をしている。「無理だろ、こんな…、雪ぃ…生きててくれよ…2人で最後まで足掻けよ…。こんなのダメだろ…」放心状態のエドガーが1人でぶつぶつと言っている感想に私は全力で頷きたい。いや頷いている。らぶ☆さばは1話の前半だけほのぼの日常系アニメで後半からガラッと内容の変わるものだった。ほのぼの日常系アニメからシリアス100%のデスゲームアニメに変わったのである。ある日突然、中学生の主人公、葵と親友の雪、それから30人の年齢や職業の違う美少女、美女たちが見知らぬ学校に閉じ込められる。そしてそこで葵たちは最後の1人になるまで毎日いろいろなゲームで殺し合いをしなければならないというデスゲームに強制参加させられることとなるのだ。誰がそのゲームに選ばれるのかは決まった時間になるまではわからず、主催者に指名された人間は殺し合うしかない。もしその試合を放棄しようものならその場で惨殺、決着がつかなくても同じ目に遭ってしまう。所々に謎が散りばめられており、いつでもハラハラドキドキと休ませる気配のないテンポの良いストーリーにさらには簡単に命が散っていく鬱展開。1クールの最終回では心理戦の末、主人公葵は最後に残った親友雪の優しい裏切りにより望まぬ勝利を得て1人生き残ってしまった。とても面白いアニメだが、それと同じくらい情緒がぐちゃぐちゃにされてしんどいアニメだ。「黒幕は一体…。葵はどうなるの…。雪は…。あの時のあの描写がもしかしたら…」私もエドガーと同じようにぶつぶつと感想を言いながら2クール目を見るためにリモコンの再生ボタンを押した。*****「…っ」アニメを全て見終わり、最新映画、つまりギャレットに言われたノルマの映画3本目も見終わった。エンドロールが流れる中、私はここ3日間ほぼ寝ずにぶっ通しで見続けたらぶ☆さばにただただ拍手を送っていた。名作だった。睡眠時間を削ってでもみたいと思えた作品だった。「やばい。すごいよかった…」「…そうだな。俺もこれ買おうかな…」涙声
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23.全員が揃ってしまった書庫で

魔界に来てしまってもう半年が過ぎた。5兄弟たちとの関係はまあまあ良好。半年間で結べた契約は3つ。人間界へ帰るために必要な契約はあと2つだ。ヘンリーとクラウス、この2人と契約を結ばなければならないのだが、未だにその機会が訪れることはなかった。そんなある日のこと。「じゃあよろしくね、咲良。半分は期待しているから」私は私の目の前で、相変わらず人をバカにしたように笑うギャレットに呼ばれ、書庫へ来ていた。「はいはい」相変わらずなギャレットに呆れたように返事をし、ギャレットと書庫内で別れる。ここへ私がギャレットに呼び出された理由。それはギャレットによるある願いの為だった。先程私の小屋に現れ、「新作のゲームをするのに俺は忙しい。学院の宿題なんかに時間を取られる訳にはいない。だから学院の宿題を効率よく速攻で終わらせる為の資料集めをするから手伝って」と、ギャレットに捲し立てるように言われ、私は今ここにいる。資料集めは人数が多ければ多いほど効率がいい。手分けをして集めればすぐに終わるはずだ。そういうことでギャレットと私は書庫に着いてすぐに別行動を取ることになった。「…」ギャレットから渡されたメモを見つめ、集めなければならない本を確認する。毒、魔法、術式、人間界…など集めなければならない本の種類の幅は広く、数も多い。これを1人で集めるのは骨が折れるだろう。「…」「…」本棚をくまなく、見落としのないように見ていると本棚の後ろからクラウスが現れた。何故か床に這いつくばっているクラウスを思わず無言で凝視してしまう。…匍匐前進?書庫で何してるの?見なかったことにした方がいいのだろうか?クラウスはいつものように甘い笑みを浮かべているが、私に見られてしまったと焦っているようにも見えた。「…やあ、咲良」無視をしてしまった方がいいのでは、と思っているとクラウスは甘い笑みのまま、何事もなかったようにその場から立った。…無理があるが、こちらも大人。とりあえずは合わせるか。「…どうも。お昼寝?」無理があったかも。自分のアドリブ力のなさに頭を抱える。これならいっそ何も言わなかった方がよかったのでは。「…んー、違うかな。咲良、ここで僕がしていたこと誰にも言わないでくれる?」「…まあ、うん」クラウスが嫌なら誰にも言うつも
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24.ここは呪いの本の中

光が消えるとそこは無限に広がる何もない白い空間だった。「咲良、大丈夫か?」「うん」私を未だに抱きしめたままエドガーが心配そうに私に声をかける。先程まで居たのは書庫だった。だが、ここは明らかに違うどこかだ。つまりここはどこ? 「…あの本の見た目には見覚えがある」「俺もだよ、ヘンリー」状況がよくわからずにエドガーの腕の中で固まっていると難しい顔をしたヘンリーとギャレットの話し声が聞こえてきた。よく見れば私たちの周りにはヘンリー、ギャレットだけではなく、あの場にいたクラウス、バッカスの姿もある。「咲良、1つ確認したいのだが、あの本のタイトルは見ているか?」「…タイトル」 ヘンリーに質問されてあの本、おそらく先程まで私が持っていた禍々しい本の表紙を思い出す。確か表紙には薄くだったけど…「desireって書いてあった」「やはり、か」私の答えを聞いて納得したようにヘンリーは頷いた。「あー。desireか…。やっぱりね。まじかー」ヘンリーの横でギャレットがめんどくさそうに頭を抱えている。あの本がこのおかしな状況に関係しているのだとヘンリーとギャレットのリアクション見て察した。「ちょっとちょっと、2人ともー。desireって何?僕たちは何もわかっていないんだけど?」何かをわかっているらしいヘンリーとギャレットに頬を膨らせてクラウスが文句を言う。それに対してエドガーも「そうだそうだ」と言い、バッカスも文句までは言わないが無言でうんうんと頷いていた。私もバッカスと同じように首を縦に振る。「…まず状況から説明しよう。ギャレット、いけるか」「おけー」私たちの視線を受けてヘンリーは同じく状況がわかっていそうなギャレットに話を振った。「ここはおそらく咲良がさっき持っていた本、desireの中だよ。この本は呪われた本として結構有名でタイトルの通りdesire…欲望に関する呪いがかけられているんだ」「…呪い。呪いの内容はなんだ?」説明を始めたギャレットに質問をしたのは意外なことにバッカスだった。表情からして早く解決させてご飯を食べたいのだろう。私のところにも「お腹が空いた」て理由で来ていたもんね。「心からここにいる全員が帰りたいと思えなければ帰れない呪いだよ」「んだよ!楽勝じゃねぇか!」バッカスの質問に深刻そうな顔で答えた
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25.欲望プールと無限食べ放題

そこからの彼らは本当に早かった。欲望に忠実すぎていずれ魔界を滅ぼす5兄弟と予言で言われてしまうだけあるステップワークだった。ヘンリーのあの一言により、誰一人その場から居なくなったのだ。己の欲望を楽しむ為に。全員速攻で居なくなるなんて!どうしたらいいのさ!何をしたらいいのかわからなかったので、とりあえず私は各兄弟たちの様子でも見に行くことにした。「うらぁ!全額ベッド!」まず最初に見つけたのはルーレットで荒稼ぎをしている様子のエドガーだった。「あはははっ!笑いが止まらねぇな!」両手に札束を持ってバッサバッサと投げまくっているエドガーに近づく。「お?咲良!」するとエドガーはそんな私に気づき、声をかけてきた。「すごいぜ!咲良!ここなら咲良がいなくても必ず勝てる!金がクソほど手に入るぜ!おら!この前からずっと借りていた金!倍で返すわ!」高笑いするエドガーが私に大量の札束を渡す。「ここで渡されても困るから!現実世界には持って帰れないでしょ!現実で返してよね!」「はぁ?お堅いこと言うなよ!そうだ!今ならこの有り余る金で札束のプールにでも入れるんじゃね!?」札束を突き返す私を最初こそつまらなそうに見ていたエドガーだったが、その顔はすぐにわくわく顔に変わった。札束のプール…そんなthe欲望みたいなことよく思い付くな。ある意味その欲望への忠実さに感心していると辺りはカジノからだだっ広い豪華なプールへと変わった。プールの上には下の水が見えないほどのお札とアクセント的な赤い薔薇が浮いている。あ、悪趣味。本物ではないとわかっていてももったいなくて仕方ない。「咲良!入ろうぜ!」いつの間にか水着になっていたエドガーに手を引かれて私は札束プールへとダイブさせられた。いや、ちょっと待って。「な、な、な、何これ!?」プールから出ている上半身を凝視して、私は思わず叫んでしまう。何故か私の格好が扇情的な布面積が少なすぎる黒いビキニになっていたからだ。一体いつの間にこんな格好になったんだ!私の胸は平均…いや下手したら平均以下の慎ましいものだ。こんな格好もちろんしたことないし、何より貧相さが目立って仕方ない。いじめだ!いじめ!いじめ!「俺好みのビキニだわ、それ」恥ずかしさで死にそうになっているとエドガーはそんな私をニヤニヤと笑いながら見つめ
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26.アニメ鑑賞と女と酒

バッカスと食事をしていて気づいたことがある。それはここでは食べても食べてもお腹がいっぱいにならない、ということだ。だが、お腹がいっぱいにならなくても、気持ち的にはさすがにずっとは食べ続けたいとは思えない。 ある程度で納得した私はバッカスと別れ、引き続き他の兄弟たちの様子を見に行くことにした。「…」カジノ内をしばらく歩いていると、〝立ち入り禁止!byギャレット〟と書かれた紙が貼られた扉を見つけたので、私はそこで足を止めた。ここにギャレットがいることは確実だ。「ギャレットー。咲良だけど。入るよ?」〝立ち入り禁止〟とあるが、特に気にせずノックを一応して扉を開けてみる。するとそこにはカジノではなく、大きなスクーンとベッドに見間違えるほど大きなソファのある、誰かの部屋のような落ち着きのある空間が広がっていた。ギャレットはその大きなソファに腰掛けスクリーンで何かを見ていた。「咲良?」扉を開けた私に気が付いたギャレットが不思議そうに私を見る。それと同時に私の格好がまた別ものへと変わった。セーラー服だ。コスプレ第2弾である。恥ずかしいが制服コスプレならここ半年ほど学院でしているのでそこまでの恥ずかしさはない。むしろ新鮮さの方がある。「え!…嘘、萌え。ちょっと「ギャレット!早くしてよ!私まで遅刻しちゃうじゃない!」てツンデレ幼馴染っぽく言って」ギャレットは突然格好が変わった私を凝視した後、捲し立てるようにそう言った。普通に嫌なんだけど。「お断りします」「…待って。その格好でその表情は何言ってもくるわ。萌える」心底嫌そうにだが、丁寧に頭を下げる私を頬を赤くして惚けたようにギャレットが見つめる。…楽しそうで何よりです。「ギャレットはここで何見ていたの?」ギャレットの〝欲望〟の内容が気になり、スクリーンの方を見てみるとそこには大きくらぶ☆さばの映像が流れていた。「…ん?」だが、その流れている映像には違和感があった。「…」その違和感が何なのか探るためにじーっとスクリーンを見つめる。…見たことがないシーンだ。数秒映像を見続けて私はそれに気が付いた。らぶ☆さばの映像化されたものは全て見ているので〝見たことがないシーン〟などあるはずがない。私はギャレットに認められたらぶ☆さばのオタクで同志だ。おまけにギャレットとの関係がなくて
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27.禁書の山と…それから?

クラウスと楽しくお酒を呑んだ後、私はクラウスと別れてヘンリーを探し始めた。ここで出会っていないのは後はヘンリーだけだ。ヘンリーは一体どんな欲望を楽しんでいるのだろうか。5兄弟の中で一番想像がつかない。ヘンリーを探して歩き続けていると今度はたくさんの本が並べられた本棚がある図書館のような場所を見つけた。気になって近づくとそこには座り心地の良さそうな大きな椅子に腰掛けて読書をしているヘンリーの姿があった。ヘンリーの欲望って本を読むことなの?他の兄弟たちと比べて随分慎ましい欲望に拍子抜けする。「…咲良?」本棚の後ろからヘンリーを見ているとそんな私を不思議そうにヘンリーが見つめてきた。そしてそれと同時に私の格好がまた変わった。今度の私の格好は体のラインがよくわかるシャツとタイトスカートで、セクシーなキャリアウーマンな格好になっていた。制服よりも年相応で、ドレスや水着よりも露出も少なく、メイド服のような気恥ずかしさもない。魔界へ来る前までしていた服装の延長のようなものでどこか懐かしささえあった。まあ、こんなに体のラインが出るようなセクシーな格好なんてしていなかったけど。これがヘンリーの好みなのか。「…ほう。これも本の力だな。よく似合っている」突然格好が変わった私を興味深そうに頭からつま先までよく見てヘンリーは薄く笑う。 「ありがとう」私はそんなヘンリーの社交辞令を適当に流してにっこりと笑ってみせた。「ヘンリーは今何を読んでいるの?」「ああ、これか」私の格好の変化よりも優先したいのはヘンリーが今読んでいるものだ。興味津々でヘンリーに問いかけるとヘンリーは楽しそうに笑った。それはそれはすごく悪そうな笑顔で。「これは禁書だ。魔界では危険すぎて破棄されたと記録されている代物。普通なら手に取ることさえも叶わないだろう」「…え」ヘンリーの返答に私は思わず表情を引き攣らせた。数分前の私よ、他の兄弟たちと比べて随分慎ましい欲望、とか思っている場合じゃないぞ。全然慎ましくないぞ。危険な香りがする。「…まさかだけどそこにある本も」「ああ、禁書だな」「…」ヘンリーの横にある机に山積みにされた本たちもヘンリー曰く禁書らしい。「この禁書に書かれている内容はどれも強力でその分危険だが非常に興味深い。この情報さえあれば魔界を支配する
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28.魔界へ帰ろう!

まずは誰から説得するべきか。自分の欲望の世界から帰ってきた私はまたカジノのような場所をただただ歩き回り、帰るプランを立てていた。ここから帰る為にはここにいる全員が帰りたいと思えなければならない。私でさえおそらく1週間近く自分の欲望から抜け出せなかったのだ。欲望に忠実すぎて魔界を滅ぼすと予言されている5兄弟たちがそんな簡単に己の欲望を手放してくれるとは思えない。不安しかないが、この状況で一番頼れて、正気を保っていそうな人物に私は1人だけ心当たりがあった。なので私はまずはその人物の元へと行くことにした。*****「随分自分の欲望を楽しんでいたみたいだな」図書館へやって来た私を見てヘンリーがおかしそうに笑う。私がこの状況で頼れると判断した相手はヘンリーだった。ヘンリーはそもそも私と一緒でここへの長居を反対していた。ヘンリーなら帰りたいと思っているはずだ。「…まぁ、帰りがたくなるほどには楽しかったよ」「そうか。で、帰りたくなったのか?」「最初からそのつもりだったんだけどね」「この本の呪いはなかなかすごいだろう?まして人間の君が抗えたこと自体に俺は驚いているところだ」苦笑いを浮かべる私をヘンリーが興味深そうに見つめる。「人間は欲望に弱い生き物だ。ここはそんな欲望を満たす世界。普通の人間ならここから帰りたいなんて思えない」面白いものを見るようなヘンリーの目。全ての人間を見下している気持ちと私への意外性がひしひしと伝わってくる。…あまりいい気分ではない。「ヘンリーは帰りたい?」気を取り直してヘンリーへ私は問う。ここは欲望の世界だ。最初こそ帰りたいと願っていた私でさえ飲み込まれてしまった。ヘンリーも私と同じだったが、今はどうなのだろうか。「読みたいものは全て読み終えたし、俺がいないことによって、テオ…いや魔王様にこれ以上の迷惑はかけられない。だからもう帰らないとな」ヘンリーの答えに不安もあったが、その必要はなかったようだ。ヘンリーは不敵に私にそう言って笑った。「よかった。じゃあ次は誰の説得をしようか…」正直ここからが難しいと思う。残りの4人は全員望んでこの欲望の世界を楽しんでいる。そんな4人全員を帰りたいと思わせる為には相当頑張らねばならないのではないのだろうか。「そんな顔をするな、咲良。エドガー、クラウス、バッ
last update최신 업데이트 : 2025-10-11
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29.ツンデレ幼なじみでも食らえ

嘘でしょ…。「おい!咲良!大丈夫なのかよ!?」ギャレットの部屋から放り出された私にまず最初に駆け寄って、心配そうにそう叫んだのはエドガーだった。「生きているか?何もされていないか?」エドガーの後ろでバッカスも心配そうに私を見つめている。「…大丈夫。生きているし、何もされていないよ」でも、ギャレットの説得には失敗したよ。私を心配しているエドガーとバッカスに私は苦笑いを浮かべた。「えー。その様子だと本当に何もなかった感じじゃーん。つまんなーい。ギャレットも咲良連れ込むならそれ相応のことをして欲しいよねぇ」そんな私をつまらないものでも見るような目で見てきたのはクラウスだ。この男、最低である。「…で、聞かなくてもわかるが一応聞こう。ギャレットへの説得は?」「…失敗しました」「ふぅ、やはりか」私の報告を聞き、ヘンリーは特に期待していませんでした、といった様子で私を見つめた。「俺たちにとってこの世界はメリットもあるがデメリットもある。だからこそ帰りたいと思えている訳だが、ギャレットにはそのデメリットが限りなく0に近い」「…うん」「そんなギャレットを状況的にも説得できるのは咲良、お前だけだ。そのことは先程のことでよくわかっただろう」「うん」冷たい笑顔を浮かべて淡々と今の状況を喋り続けるヘンリーに私は元気なく返事を続ける。「…あの、私1人では負担が大きすぎると言いますか、無理がありすぎると言いますか…」お力添えを…。と、助けをヘンリーを始め、他の兄弟たちにも求めようとした。したのだが。「咲良、お前がやるしかないんだぞ?」それは冷たく微笑するヘンリーにばっさりと却下された。いや!説得は私がするけどさ!アイディアとか出して助けてくれたっていいじゃん!「ヘンリー!さすがにそれはねぇだろ!俺は咲良を手伝うぜ!俺は咲良の契約悪魔だしな!」「…俺も」反論だ!と私が反論する前にエドガーとバッカスが何とヘンリーに反論してくれた。ああ!さすがエドガーとバッカス!2人とも頼りになる!「…ほう。俺に逆らうのか?エドガー、バッカス」エドガーとバッカスの意見を聞いたヘンリーの表情から笑顔が消える。その冷たい表情は場の空気を冷えさせるには十分なもので、そんな状況を作り上げた私たちをクラウスは「バカだなぁ」とおかしそうに傍観していた。「俺
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30.何番目かわからない彼女

バイトで帰りが遅くなったある日のこと。1日の疲労を感じながらも小屋まで辿り着くと、誰もいないはずの小屋に電気がついていた。おそらくエドガーかバッカスが小屋にいるのだろう。「ただいま」電気がついていることに特に驚くこともなく、私は慣れた手つきで小屋の扉を開けた。「おかえり、待ってたよ、咲良」「…」するとそこには全く予想していなかった人物がいた。クラウスだ。クラウスは私がいつも座る椅子に座ってこちらに微笑んでいた。疲れから幻覚でも見ているのだろうか。ここへ来て半年以上経つが、毎日女遊びで忙しそうなクラウスと食堂以外で会うことはほとんどなかった。もちろん私の小屋にだって一度も来たことがない。そんなある意味毎日忙しいクラウスが自ら私の小屋へ足を運ぶ訳がないのだ。エドガーかバッカスならまだしもあの夜こそが本番な遊び人クラウスだぞ?こんなあり得ない幻覚を見るだなんて相当疲れているに違いない。「…咲良?何惚けているの?僕の魅力にやられちゃった?」「…」いや、クラウス本人だわ。ふわりと笑い、ふざけたことを言うクラウスを見て私は確信した。目の前にいるのは幻覚ではなくクラウス張本人だと。しかもよく見るとこの部屋にいるのはクラウスだけのようだった。エドガーの姿もバッカスの姿も見当たらない。クラウスは一体1人で何をしに来たのか。突然のクラウス訪問にあまりいい予感がしないのだが。「どうしたの?こんな時間に」用事があるのなら明日の朝にでも伝えればいいのに。何故か私の小屋にいるクラウスに私は不思議そうにそう聞く。「えっと、実は咲良に緊急のお願いがあってね」するとクラウスは少しだけ困ったように笑った。やっぱりいい予感がしない。悪いことが起きそうだ。「僕の恋人になってくれない?」「…何番目の?丁重にお断り致します」「ええ?僕の恋人だよ?なりたくてもなれない子たちがたくさんいる特等席だよ?嘘ついてない?」「私にはとてもじゃありませんが務まりません。申し訳ございません」丁寧に頭を下げる私にクラウスは最初こそ余裕そうに甘い笑みを浮かべていたが、徐々にその表情が驚きのものへと変わる。この様子だとまさか断られるとは思っていなかったようだ。いや、断りますよ。苦手ですもん、遊び人オーラ満載のクラウス。しかも絶対遊びだし、そもそも何番目の
last update최신 업데이트 : 2025-10-13
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