明里は直接二階のホールへと案内された。スタイリストと聞いて最初は女性だと思っていたが、二階で目に入ったのは長い髪の男性だった。年齢は二十四、五歳くらいだろうか。その顔立ちは中性的で美しく、どこか憂いを帯びた瞳をしていた。以前、どこかのトレンディードラマで見た主人公のようだった。彼は口数が少なく、明里と二言三言交わした後、ドレスと靴を選び始めた。最後にはヘアメイクに取り掛かった。その間、聡は明里の顔を覗き込むように見て、言った。「村田さん、お肌がとても綺麗ですね」そう言うと、彼はそばにいたメイクアップアーティストにいくつか注意事項を伝えた。明里はてっきり聡がメイクをしてくれるものだと思っていたが、どうやら違うらしい。聡は彼女の疑問の眼差しに気づき、説明した。「すみません、少し先約がありまして。でも、あなたのメイクは私が責任を持って監修しますのでご安心ください。それに、アシスタントの腕も確かですから」明里はそのことを特に気にする様子もなく、礼を言って目を閉じると、顔に筆が走るのを感じた。そして、二十分ほど経った頃だろうか。聞き覚えのある笑い声が耳に入ってきた。目を開けると、そこにいたのは陽菜だった。しかも一人ではない。彼女の隣には、勳から急用で来られないと聞いていた潤が立っていたのだ。そして陽菜は、彼の腕にしっかりと絡みついていた。高貴で端正な顔立ちの男と、可憐で華奢な女。二人はまるでお似合いのカップルのようだった。「二宮社長、清水さん、お待ちしておりました」聡が出迎える。「お疲れでしょう。何かお飲み物でもいかがですか?それとも、すぐ始めますか?」聡が彼らに見せる態度と、先ほどの自分に対する淡々とした態度とのあまりの差に、明里は言葉を失った。さらに、聡の親しげな様子からして、潤と陽菜がここを訪れるのは初めてではないことは明らかだった。ちょうどその時、潤の視線が明里を淡々と捉えた。陽菜も彼女を一瞥すると、聡に微笑みかけた。「すぐに始めましょうか。でも、その前に潤さんにお飲み物をいただけますか?彼、忙しかったらきっとお疲れのはずよ」そして、陽菜もすぐに案内され、明里の隣の席に腰を下ろした。聡は、陽菜に熱心に今日のドレスを紹介していた。陽菜は隣をちらりと見て、にこやかに言った。「明里さ
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