咲良と咲真の寝息が、静かな部屋にふわりと溶けていく。 小さな手が同じ方向へ伸びていて、双子らしい仕草に自然と頬が緩んだ。 美桜がそっと毛布を整えて振り返ると、一成が灯りを落とした部屋の中で、柔らかく笑っていた。「上手になったね。もうすっかりお母さんだ」「ふふ……少しずつ、だけど」「うん。少しずつでいいんだよ。誰も最初から完璧な母親なんかになれない。だから、ふたりでゆっくり、一緒にやっていこう」 囁く声が妙に耳に残る。 胸の奥がじんわり熱くなっていく。 「お茶、淹れるね」 そう言って立ち上がろうとした瞬間、手首をそっと掴まれた。「今はこっちが先かな」「え……?」 一成に引き寄せられて腕の中に収まった。肩に落ちる息があたたかくて、思わず目を閉じてしまう。 子供をあやしていたときとは違う。
Last Updated : 2025-11-25 Read more