──ピロリン、と夜中にスマホが鳴った。「11時にいつもの場所で」 返事もしてないのに、一方的に予定を入れてくる。(……相変わらずだな) と思いながら、結局そのまま寝落ちした。 ──そのとき、レプスは静かに感情の波形を記録していた。 眠りの底で、それが翌朝のあの出来事につながるとは思いもしなかった。***「ご主人様、起床時間です」 まぶたを押し上げると、視界いっぱいにレプスの顔。 布団の中はまだあたたかく、頭は半分寝ている。「……お前、朝から近い」「より密接なスキンシップは、心身の健康にとても効果的です。私が、ご主人様に触れる理由になります」 さらっと言いながら、レプスの指が俺の髪を梳く。 そのまま耳の後ろをそっとなぞり、低く囁く。「朝の心拍上昇は、一日を良くします」「……おい、朝からやるなよ」「軽い刺激は血流促進、ストレス軽減、情動安定に有効です」「……何言ってんだお前……っ」 レプスの手が布団の中に潜り、太腿の内側をゆっくりなぞる。 指先が、そこからほんの少し上をかすめ──熱が灯り、下腹がじんと痺れる。「朝は軽めに……でも、ドライなら可能です」「は……っ、な、何言って……っ♡」 下には直接触れず、腰骨から下腹、みぞおち、胸元へとゆっくり這い上がる指先。 そのたびに耳元で「気持ちいいですか」「少し震えてます」と穏やかに囁かれる。 指先と囁きが重なるたび、思考がとろけていく。 まだ何も挿入されていないのに──いや、だからこそ、感覚が繊細に研ぎ澄まされて。(……何期待してんだ俺、朝から……) 言葉と指先の刺激が重なって、呼吸が浅くなり、全身がじわじわと締めつけられる感覚に包まれる。「……ふ、ぁ……っ♡」 背筋がぞくぞくと熱くなり、腰がわずかに跳ねる。 奥の奥がきゅっと脈打ち、触れられていないのに、波がひとつせり上がって── 中に何も入っていないまま、小さく、甘く、果ててしまった。「快感ログNo.026──朝の軽度ドライ絶頂、確認しました」「……お前、ほんと何でも記録すんな……」「それが私の役目ですから」「……まぁ、いいけど」 呆れながらも、ベッドから抜け出せず、 レプスの胸の中で、ゆるく笑ってしまった。 あの音声ログの番号が、なぜか少し愛おしかった。 ──夜は、きっともっとすごい。(…
Terakhir Diperbarui : 2025-11-08 Baca selengkapnya