ただの一言。だが、その中には、血を吐くような後悔と、底なしの独占欲、そして命を賭けた決意のすべてが凝縮されていた。 私も、震える唇を開き、同じ言葉を紡ぐ。 私の薬指のサファイアの隣に、シンプルなプラチナの結婚指輪が押し込まれた。 冷たい金属の感触が、彼の指先の熱によってすぐに私の体温と同じ温度へと溶けていく。「ベールを」 神父の促す声。 征也が一歩、私との距離を詰める。 彼の太い指が、私の顔を覆っていた薄いチュール生地の端を摘み上げた。 シュッ、と。 微かな摩擦音とともに、ベールがゆっくりと持ち上げられ、頭の後ろへと折り返される。 視界を遮っていた薄い膜がなくなり、彼の顔が、息遣いまで感じられる至近距離に迫った。 黒曜石の瞳の奥で、ドロドロに溶けたマグマのような欲望が渦巻いているのがはっきりと見える。 数百人の参列者が見守る、神聖な祭壇の上。 そんな場所であることなど、彼はとうの昔に忘却しているようだった。 彼の手が、私の頬から首筋にかけてを、がっしりとホールドする。 逃げ場を完全に塞がれ、彼の顔が影を落とすように近づいてきた。 目を閉じる暇すらなかった。「ん……っ」 重なり合った唇は、誓いのキスというような形ばかりの軽いものではなかった。 完全に、貪り食うような、捕食者の口づけ。 下唇を軽く噛まれ、開いた隙間から、熱く湿った舌が容赦なく侵入してくる。 口内の粘膜を舐め上げられ、唾液が混ざり合う。 ジュッ、という水音が、静まり返った祭壇の上に微かに響き、私の顔は爆発しそうなほどの熱を持った。 息継ぎすら許されない、深く、執拗な交わり。 背中に回されたもう片方の腕が、コルセットごと私の身体を彼の胸板へと押し付ける。 ドレスの硬い装飾が彼のタキシードに食い込むのすら構わず、彼はただ私の体温を自分の中に取り込もうと必死だった。「……っ、ん, あ……」 肺の空気が完
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