「か……」 帰りたくない、一人でいたくない、声があまり出ないおかげで彼に伝えられずに済んだ。 私は彼のワイシャツを掴んだままだ。 何をやっているんだろう。 彼は後ろを振り返り、わざと床に膝をついて私より目線を低くした。「美桜ちゃんが嫌じゃなかったら、今日は一緒にいませんか?」 本当は言って欲しかった言葉に心を打たれる。 コクっと頷いた。「良かった。俺も一人にしておけないと思っていたんですけど、逆に嫌なんじゃないかと思って。自信がなくて、引き止められませんでした。本当は一人にさせたくなかった」「必要なものとかありますか?買い物、一緒に行きましょうか?近くにディスカウントストアがあるので、最低限のものであれば買うことができると思います」 洋服は黒崎さんのを借りている。お泊りってなれば、そうだ。歯ブラシとか、メイク落としとか、下着とか着替えたい。だけど、もうこんな時間だ。私は一日くらい学校を休むことができるけど、黒崎さんは仕事だから。付き合ってもらっちゃ迷惑になるよね。 心の中で悩んでいると「行きましょうか。女の子だから、必要なものとかありますよね」 私の心を読んでいるのかな。 こんなにスマートに女の子って言ってくれるんだ。「ありがとうございます」 私はお礼を伝え、黒崎さんと買い物に出かけ、必要なものをパッと選んだ。 そう言えば、黒崎さんって夕ご飯とか食べていないんじゃないかな。 私は帰宅する時に、アルバイト先でまかないを食べさせてもらったから、お腹は空いていない。食べる気分にもなれないけれど。「黒崎さん、夕ご飯食べましたか?」「まだです。美桜ちゃんは?」「私はアルバイト先で」 そうだ、私で良かったら……。「夕ご飯、作らせてください。せめて何かお礼をさせてください」 提案をすると、黒崎さんの瞳が大きくなり「負担じゃなければ。美桜ちゃんの作ったもの、食べたいです」 そう言ってくれた。 コクっとうなずき、黒崎さんに調味料があるのか聞きながら、私の物と夕食の材料を購入し、彼のマンションへ帰った。 一緒に材料を分けてくれたあと「俺、シャワー浴びてきますね。冷蔵庫に飲み物とか入っているんで、好きに飲んだりしてくれて構いませんから。調味料とか、何か使える材料とかあったら遠慮せず使ってくださいね」 黒崎さんはバスルームへ
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