出張を予定より早く切り上げた私は、ボーナスの大半をはたいて、妹の冬柴杏里(ふゆしば あんり)がずっと欲しがっていたカバンを買って帰った。だが、ドアを開けた私の目に飛び込んできたのは、結婚後の新居となるはずの家で睦み合う、杏里と私の婚約者、富永純次(とみなが じゅんじ)の姿だ。私は涙を浮かべながら、なぜこんなことをするのかと杏里に問い詰めた。しかし、彼女には罪悪感の欠片もない。あるのは、邪魔されたことに対する明らかな不快感だけだ。「お姉ちゃん、どうして泣いてるの?この18年間、ずっと何もかも譲ってくれたじゃない。今回も少しくらい譲ってくれてもいいでしょ?」純次は私から視線を逸らし、小声で彼女の調子に合わせた。「つい、魔が差したんだ……杏里ちゃんは君の妹なんだから、今回ばかりは許してやってくれないか」その瞬間、私の心は完全に凍りついた。18年にわたる尽くしも、七年間の愛情も、泥のように踏みにじられたのだ。私は涙を拭い、静かに書斎へ向かうと、二枚の書類を印刷した。一枚は不動産売却の委任状、もう一枚は絶縁状。――許してほしい?あり得ない。私はただ、あなたたちという汚れた存在を捨て去るだけだ。プリンターから二枚の書類が印刷された直後、ドアの向こうから遠慮がちにノックの音が響いた。「小梅……」純次の声がした。私は動かず、返事もしなかった。純次は直接ドアを開けて入る勇気がなく、ドア越しにぶつぶつと言い訳を並べ始めた。「小梅、開けてくれ。ちゃんと話し合おう、な?俺が最低だったのは認める。どうかしてたんだ!でも、杏里ちゃんは君のたった一人の妹だろ?君はいつだって心が広く、物分かりが良かったじゃないか。それに、姉なんだから妹に少しくらい譲ってやれないのか?本気で許さないなんて言って杏里ちゃんを追い詰め、もし彼女の身に何かあったら、君は寝覚めが悪くないのか?」私は低く嘲笑った。胸の奥がどろりと塞がっているようだ。――またこれか。いつだって同じ言い草だ。「姉なんだから」この言葉のせいで、私は生まれながらにして杏里に借りがあるかのように扱われてきた。幼い頃から、良いものはすべて彼女に譲らなければならなかった。両親が生きていた頃は、おもちゃもお小遣いも、新しい服もそうだった。両親が亡くなった後は、成績の良か
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