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第4話

Penulis: ご飯ちょうだい
そう言い残し、友香は台所へ入っていった。

その後、台所からは杏里の不機嫌そうな叱りがかすかに聞こえてきたが、友香は黙々と作業を続け、時折曖昧な相槌を打つだけだ。

たっぷり二時間近くかかって、ようやく杏里が料理を運んできた。

正直なところ、見た目は悲惨だ。野菜は炒めすぎて黄色くなり、焼き魚は真っ黒に焦げて目玉だけが浮いている。肉料理は生っぽく白く、火が通っているのかさえ疑わしい。

だが、聡美は私に嫌がらせをするために、わざとらしく箸を動かし、杏里をしきりに褒め称えた。

「杏里ちゃんは本当に何でもできる女の子ね。どこかで不機嫌を撒き散らすだけの誰かさんより、何百倍も立派よ!

純次が杏里ちゃんと結婚できたら、それこそ最高の夫婦になるよ!」

純次も慌てて一口を口に運び、数回噛んだ。眉をひそめ、飲み込むのに苦労している様子だ。

味は明らかにひどいが、それでも彼は私に向かって厳しい表情を浮かべ、聡美に同調した。

「小梅、君も君だ。本当に杏里ちゃんから学んだほうがいい。これ以上わがままを通すなら、結婚式の延期も真剣に考えさせてもらう」

純次のその顔を見て、私は生まれて初めて心の底から嫌悪を覚えた。

これ以上付き合うのも馬鹿らしくなり、箸もつけずに二階へ上がって、デリバリーを頼んだ。

その夜、家は苦しげなうめき声に包まれた。聡美が急病を発症し、緊急搬送された結果、診断は食中毒。続いて純次と杏里にも嘔吐や下痢の症状が現れた。

騒がしくて眠れず、私が様子を見に降りていくと、顔色が真っ白な杏里が真っ先に純次の腕を掴み、泣き叫んだ。

「純次さん、お姉ちゃんよ!お姉ちゃんが野口さんに指図して、食材に細工をしたに違いないわ。じゃなきゃ、どうして私たち三人だけが当たって、お姉ちゃんは一口も食べなかったの?

私たちのことを恨んで、わざと復讐したのよ!」

正直なところ、純次とは長年の付き合いがあるので、彼がこんな馬鹿げた言いがかりを信じるとは思えない。

しかし、信じがたいことに純次はそれを鵜呑みにし、かすれた声で私を問い詰めた。

「冬柴小梅(ふゆしば こうめ)、君がやったのか?

たかが痴話喧嘩のために、こんな真似をするなんて。君の心は、どうしてそんなに醜いんだ!」

目の前の男を見て、私の心は氷のように冷たく凍りついた。

「純次、もしあなたに少しでも脳みそがあるなら……」

言い切る前に、感情を高ぶらせた杏里が飛びかかってきて、私の顔を引っ掻こうと手を伸ばした。

「黙れ!私たちをこんな目に遭わせておいて、まだ言い逃れする気?」

私は無意識に身をかわそうとした。

その様子を見て、杏里がやられると思った純次は、咄嗟に間に入った。彼は杏里を止めるどころか、思い切り手を伸ばし、私を突き飛ばしたのだ。

「彼女に触るな!」

純次は忘れている。私たちが立っているのが階段の吹き出し口であることを。

突き飛ばされた衝撃は凄まじく、無防備だった私は足を踏み外した。悲鳴は喉に詰まり、バランスを崩したまま階段を転げ落ちた。

頭と体が段差に激しく打ちつけられ、私は瞬時に意識を失った。

再び目を覚ましたのは、翌日の午後だ。

病室のベッドの脇には純次がいる。私が目を開けるとすぐに、彼は泣きそうな声で縋り付いてきた。

「小梅、目が覚めたんだ!

ごめん、俺が悪かった。あの時は焦ってて、わざとじゃなかったんだ……」

私は目を閉じ、彼の顔を見ることさえ拒んだ。

枕元のナースコールを押し、駆けつけた看護師に伝えた。

「すみませんが、この方を外に出してください。静かに休みたいんです」

純次は追い出された。

それから数日間、同じことが繰り返された。

彼は毎日現れ、罪悪感と悔しさを口にしたが、私は一言も返さなかった。後から杏里もやってきて、しぶしぶ「お姉ちゃん、ごめんね」と言った。

それも無視した。まるで何も聞こえていないかのように。

そして、退院の日。

ちょうど弁護士の広之から、新しい戸籍謄本を受け取ったとの連絡があった。仲介業者の担当者・凪からも、昨日物件の売却が成立したという嬉しい知らせが届いた。現在、スタッフたちが私の荷物をまとめるために向かっているところだという。

一人で退院手続きをすべて済ませ、私は空港へ向かおうとする。

出発の間際、私はあえて純次と杏里に【退院の迎えに来てほしい】とメッセージを送った。

しばらくすると、廊下から聞き慣れた足音が響いてきた。

純次の得意げな声が混ざっている。

「小梅は元々扱いやすい人だから、そんなに長く怒っていられないだろうと思ってた!」

続いて、杏里の相槌が聞こえた。

「そうよ、純次さん。お姉ちゃんが私を許さないわけないじゃない。この18年間だってそうだったでしょ。いつも口先だけで怒るけど、最後には妹の私を甘やかしてくれるんだから!」

二人は笑いながら、病室のドアを勢いよく開けた。しかし、病室はもぬけの殻だ。

ただ一人、スーツを着こなした広之がベッドの傍らに立っている。

純次の笑顔が凍りつき、無意識に杏里を背後に庇いながら尋ねた。

「君は誰だ?小梅はどこだ?」

広之は振り返ったが、その問いには答えなかった。

一歩前に出て弁護士バッジを指さし、事務的な口調で告げた。

「富永純次様、冬柴杏里様。私は小梅様の代理人を務めております、武田と申します」

そして、二枚の書類を彼らに突きつけた。

広之は純次に目を向けた。

「まず、小梅様が所有されている西の町の住宅は、昨日をもって売買契約が締結されました。現在お住まいの御二方には、本日中にご退去いただく必要があります。こちらが退去届です。お受け取りください」

そして、顔色が青白くなり始めた杏里の方へ向き直った。

「次に、杏里様。小梅様は本日、あなたとの姉妹関係を正式に解消されました。役所での分籍手続きも完了しております」

広之はアタッシェケースを閉じ、最後の仕上げをした。

「最後に、小梅様からの伝言です。『すべての関わりはこれでおしまい。今後の連絡はすべて私の弁護士を通すように』とのことです。

彼女は、あなたたちと二度と会うつもりはありません」

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