「驚いて大声出しちゃってごめんね。一旦整理しよう」 ふさがれた手を退けてもらうようにお願いして、僕は背筋を伸ばした。ランチ用に注文したホワイトソースのパスタを頬張り、咀嚼して珈琲と共に流し込む。今の話が衝撃すぎて、うまいはずのパスタの味がぜんぜんわからなかった。「――つまり、葛野さんとの仲を疑われて、加藤さんにやっかまれて、ありもしないデータ消去を武田さんのせいにされたってことだよね?」「はい。おっしゃるとおりです」「なにそれ…アホらし。でも、巻き込まれた方はとんだ迷惑だよね」「そうなんです…。女性の方がマーケティング課で続かないのって、絶対加藤さんが原因ですよ。仕事で厳しいのならともかく、勝手な憶測で仲を疑って…ほんとに酷いです…」「僕が掛け合ってみてもいい?」「そんなことできるのですか?」「加藤さんを攻めるんじゃなくて、葛野さんの方を狙うんだ」 というわけで味のしなかったランチを速攻で終わらせ、その足で葛野さんの下へ。「葛野さん、少しよろしいでしょうか」 営業一課で忙しくしている彼を休憩室へと呼び出し、事の経緯を伝えた。「…というわけで、加藤さんが武田さんを困らせているので、なんとかしてください」「俺に言われてもなぁ」「付き合っていますよね? 加藤さんと」「付き合う? 冗談はよしてくれ」 あれ? 違うの?(汗) 「加藤さんがあなたと仲良くしている女性社員ばかりに嫌がらせをしているという噂でもちきりですよ。武田さんが泣いて困っていましたから、ここはひとつ、葛野さんの話術でなんとか加藤さんの説得をお願いします」 無理やりだけどお願いしてみた。うまく行くかな…? 不穏な雰囲気なので、戦闘音楽が僕の頭の中で流れた。言うなれば彼はモンスター。やつを説得する僕は勇者・コウダイだ。「コーハイ思いでなによりですねぇ。宇治川君は」 蛇のような嫌味な
Baca selengkapnya