All Chapters of 全給料を奪うドケチ妻を見限り即離婚!: Chapter 1 - Chapter 9

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第1話

中野菫(なかの すみれ)と俺は大学の同級生だった。就職活動で別れるカップルが多い中、二人三脚で支え合い、ついに結婚までたどり着いた。彼女はいつも、「1億円貯めて、二人で世界一周旅行に行こうね」という夢を語っていた。俺は彼女が描くその美しい夢を信じ込み、自分の給料を全額彼女に預けて管理させていた。俺の手元に残る小遣いは、月にたったの5000円。生活が一番苦しかった頃は、帰り道に買うような安価なおやつさえ、我慢していた。毎日の食卓に並ぶのは、もやしや特売の野菜ばかり。彼女自身がそれを苦とも思っていないため、俺に辛い思いをさせているという自覚は全くないようだった。そうして数年が経ち、それなりに数百万円の貯金もできていた。7桁に届いた預金残高を見て、俺はこの数年間の我慢も無駄じゃなかったのだと自分に言い聞かせていた。人生、波に乗っている時は、思わぬ幸運も舞い込んでくるものだ。今の会社への転職に成功し、給料が一気に跳ね上がった。ここぞとばかりにお祝いの外食を提案すると、彼女は「外食なんて高くて無駄よ」と難色を示した。「せっかくの節目なんだから、たまには外で食べよう。二人でせいぜい5000円もあれば足りるから」菫はイライラした様子で言った。「5000円もあったら、スーパーで立派なお肉が何キロも買えるでしょ?外食の5000円なんて、ほんのちょっとしか食べられないじゃない!」結局、俺の人生初の転職祝いは、彼女の猛反対であっけなくお流れになった。がっかりしている俺を見て、彼女は、「スーパーで牛肉をたっぷり買ってきて、私が手料理を振る舞ってあげる」と言い出した。妥協するしかなく、俺は渋々頷いた。出かけようとすると、菫が口を開いた。「ちょっと、5000円送金して……」俺は言葉に詰まった。彼女はこう説明した。「私の給料は全部貯金に回してるから、今の手持ちはないの。それに、お肉を買ってと頼んだのはあなたでしょう。だったらお金を出すのも当たり前じゃない?」そんな言葉をかけられ、頭の中が真っ白になった。なんとなく納得がいかない気持ちのまま、スマホで5000円を送金した。入金を確認すると、彼女は上機嫌でスーパーへ駆け出し、特売の牛肉を買い込み、鍋いっぱいにすき焼き風の煮込みを作った。ただ、味の方は正直い
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第2話

彼女は買ってきた袋の中をガサゴソとあさりながら、買いすぎだの、高いだのと文句を並べ立て、しまいには説教まで始めた。「あなたのお小遣いは月にたったの8000円なのよ。そこで3000円もおつまみやジュースに使ったら、残りの5000円でどうやって一ヶ月やりくりするの?計画的に使いなさいよ。今月はポテチ、来月はジュース。そうすればお金もかからないし、どっちも楽しめるでしょ?今回は許してあげるけど、次は絶対だめよ」彼女のその冷え切った顔を見て、聞き間違いではないと悟った時、俺は全身の力が抜けていくのを感じた。言い返そうとした時、弟から電話が入った。「車を買うために100万円貸してほしい。年末のボーナスで返せるから」と言われた。二人の貯金でなんとか都合がつく金額だった。電話を切ると、俺が言い出す前に、菫が割り込んできた。「貸さない!年末に返すなんて言ってるけど、本当に返せるの?ボーナスで100万も入るはずないでしょ?」弟の会社は福利厚生がしっかりしている。入社1年目でも、それくらいは十分見込めるはずだ。それに普段の月収もそれなりにある。ただ結婚したばかりでまとまった貯金がないため、緊急で俺を頼ってきたのだ。菫は沈黙した……黙ったままの彼女に、俺はもう一度頼んだ。「年末には絶対に返すよ。弟に100万円送金してやってくれないか?」俺が引き下がらずにいると、彼女はやっと口を開いた。「私たちの貯金は外貨定期預金で組んでるから、今途中解約したら、せっかくの高金利がパーになるし、手数料で大損するのよ」「だけど弟が困ってるんだ。金利や為替なんてまた後で稼げばいいだろ。急なことなんだよ」「何を言われても貸さないわ」その冷徹な顔を見て、俺の失望はついに限界に達した。「じゃあ貸さなくていい。それなら、今まで毎月渡してたお金を全部返してくれ」そこまで言えば、少しは動揺するかと思った。しかし、彼女の態度はさらにエスカレートした。「私たちは夫婦でしょう?私の金もあなたの金も一緒。貸さないわけじゃなくて、外貨定期は今解約したら手数料や為替差損で大損するから無理なの。そんなことも分からないの?」彼女は俺を世間知らずのバカだとでも思っているのか、それとも本気でそんな嘘が通じると思っているのだろうか?弟から二度目の電話が
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第3話

次の瞬間、菫のスマホに弟からお礼のメッセージが届いた。彼女は鬼の形相で問い詰めてきた。「100万円借りるなら、あとの半分はどこから出したの?」今回、俺は言い争いは避け、「他の人から借りたんだよ」とだけ淡々と返した。「お小遣い月8000円でどうやって50万円も返す気?言っておくけど、私は一銭も出さないからね」俺は呆れて鼻で笑い、何も言わずに背を向けてゲストルームに入った。てっきり追いかけてくるかと思いきや、彼女はさっさと寝室に戻り、のうのうといびきをかいて眠りこけてしまったのだ。翌朝起きても、何事もなかったかのような顔をしていたが、不機嫌なオーラを出していることだけは感じ取れた。出勤して、仕事をして、一緒にスーパーで食材を買う。いつものルーティンだが、何が食べたいか尋ねても「適当でいいわよ」と投げやりに返すだけ。その素っ気ない態度に、俺もそれ以上聞く気が失せてしまった。レジで袋詰めをしながら会計の合計額に耳を傾けていると、「2010円になります」と声がした。だが、あいにく手持ちが2000円しかなく、10円足りない。菫の方へ振り向くと、彼女はすでに遠くの出口に立っており、わざとらしく視線を逸らしてこちらを見ようともしなかった。「お客様、あと10円のお支払いをお願いします」と店員に急かされ、気まずくなった俺は慌てて菫に電話をかけたのだが……彼女はスマホを一瞥しただけで、またすぐにポケットへしまってしまった。後ろで待つ客たちから文句が飛び交い始めた。「たったそれだけの買い物で、なんで時間がかかってんだよ?」「今の若者はどうなってるんだ。月給日まで金がないのか?たった10円で渋るとかさ」「後ろに列ができてるだろ、金がないなら来るなよ!」文句がどんどん大きくなるので、俺は自分用にカゴに入れていた品をキャンセルし、なんとか会計を済ませて逃げ出した。店員は何も言わなかったが、俺の財布事情を見る目には明らかな蔑みがあった。買った品を持って菫の元へ行くと、彼女もまた文句を言ってきた。「会計ごときに時間かけすぎじゃない?」喉元まで込み上げてくる怒りを抑え、俺は声を低くして言った。「小銭が足りなくて電話したのに、無視しただろう。それで時間がかかったんだ」「金がないなら同僚にでも借りれば?あんたって、
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第4話

その日の夕飯は、俺は食べなかった。そして、菫が近づいてきて、説教を始めた。「若いうちから節約しなきゃダメ。スーパーでも余計なものを買わずに、必要な分だけ使うべきだよ」という話だった。聞いているのがうんざりして、俺は目を閉じて耳を塞ぎ、トイレへと駆け込んだ。ちょうどその時、給料が入金された。今回、俺は彼女に教えず、画面の数字をぼんやりと眺めていた。これだけの額があれば、まともな服を買うことも、ちょっといいバックを持つことも、憧れていたゲーム機を買うことだってできる。これまで全部渡していたせいで、着る服は学生時代のままで、カバンは1000円もしない帆布のバッグだった。休みの日にすることといえば、家でぼーっとすることぐらい。俺は一体、何のために必死に働いているんだろうか。トイレのドアが開き、菫が入口に寄りかかって聞いてきた。「毎月この日に給料日のはずなのに、どうして今日は送金してくれないの?」「送らないといったら、どうする気?」俺が顔を上げて彼女の計算高い目と合うと、言いようのない生理的な不快感がこみ上げた。「どうするって……あんたのお金は私が計画的に管理してるの。全部使っちゃうわけじゃないし、どうして送らないの?」ほら、やっぱり。「いつものこと」が彼女にとっての「当たり前」になっているのだ。「もうすぐ正月だから、自分の新しい服を買う」と俺が言う。「服を買うのに30万円も使うの?あんたにそんな高い服が似合うわけないでしょう。とりあえず送金しなさい。あとで服を買うときに渡すから」トイレを出ると、彼女は後ろからぶつぶつと言い続けていた。まるで俺が給料を渡さないと、明日には世界が滅びるとでも言わんばかりだ。俺は立ち止まり、断固として言い放った。「自分の給料は自分で貯める」すると菫は激高して、大股で俺の前に詰め寄ってきた。「あんたみたいに計画性がない人に任せたら、貯金なんてあっという間に底をつくわよ!私が管理してあげてるから生活できてるのに、勝手にさせたら路頭に迷うのがオチなんだから!」今回ばかりは、俺も呆れて笑ってしまった。「月々8000円しか自由にならない俺が浪費家だって?よくそんなことが言えるな」図星だったのか、彼女は一瞬言葉に詰まった。静まり返った部屋に、けたたましくスマホの着
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第5話

家を出て5分も経たないうちに、菫からの電話がひっきりなしに鳴った。切っても、切っても、またかかってくる。電池残量は残り5%。電源が落ちる前にけりをつけようと、俺はやむなく通話ボタンを押した。「どこにいるの?」彼女の口調には怒りが混じっていた。何か言おうとすると、すぐにかぶせ気味に言われた。「1分以内に給料を振り込めって言ったでしょう?どうしてまだなの?」真夜中に家を飛び出した夫に対し、開口一番に言うことがそれか。居場所を心配するどころか、結局は金のことしか頭にないのか?昔はどうして、彼女がこれほど金の亡者だと気づかなかったのか。余計な言葉は交わさず、通話を切った。そして、近くのホテルを見つけて泊まることにした。横になった途端、また菫から電話が入った。俺はもう、画面を見る気にすらなれず、スマホを投げ出すように放っておいた。やがて電池が尽き、画面が静かに消えた。頭の中では、これまで彼女に言われてきた言葉が渦巻いていた。「世界一周旅行に行こうね」なんて、綺麗ごとばかりだった。結局、一度だって計画を立ててくれたことはない。「いつか庭付きの一戸建てを買おうね」なんて夢物語を聞かされていたが、現実には今住んでいるマンションの登記にすら、俺の名前は入っていない。俺の稼ぎで買ったはずの家なのに。一晩中、まともに眠れなかった。ひどい隈を作った顔でフラフラと帰宅すると、菫が玄関で仁王立ちをして待ち構えていた。「給料を振り込まない理由は何?外泊までして、一体何のつもり?」俺は彼女を脇に追いやって、ソファに力なく座り込んだ。「少し、話をしないか」ふと視界に入ったウェディングフォトを見て、急に自分が情けなくなった。みんなはきちんとした式場で撮っているのに、俺たちは町の小さな写真館で済ませた。俺が着ているタキシードさえ、菫が親戚から借りてきたお古だった。当時は「彼女の実家が苦労しているから、俺が我慢して節約しなきゃ」なんて、健気に思っていた自分が、今では滑稽で情けなくて仕方ない。彼女は俺の隣に腰かけ、険しい表情で言い放った。「もしかして、月8000円のお小遣いじゃ少ないとでも言いたいわけ?」少ないどころの話じゃない。これじゃまるで、乞食への施しじゃないか……「私の田舎の親は、自分用のお小
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第6話

俺は思わず、自嘲気味に吹き出してしまった。これまでの俺の節約は、何だったんだろう。食べるものも我慢して、服も買わずに。一体、何のために頑張ってきたのか。怒りと虚しさが渦巻く中、スマホを忘れたことに気づいた菫が慌てて戻ってきた。俺は彼女より先にスマホを手に取った。画面の数字を突きつけ、尋ねる。「これだけ稼いでるなら、なんで俺のお金までせびるんだ?」菫は唇を噛み締め、スマホを奪い返そうと手を伸ばした。俺は鼻で笑った。「若い頃からずっと一緒に苦労して、支えてきた。それが俺に対する仕打ちか?」菫はうんざりしたように言い放つ。「どういう意味よ。夫婦なんだから給料を家計に入れてって言っただけでしょ?被害者ぶらないでよ」「胸に手を当ててよく考えてみろ!周りの夫婦が記念日に時計をプレゼントし合っている間、俺たちはスーパーで数百円安い特売の果物を探し回り、休日に球場で野球観戦するどころか、ネット代を数百円でも浮かせようと、一番安い回線で我慢してきたんだぞ……」言葉を重ねるうちに感情が昂り、気がつけば悔しさで目頭(が熱くなっていた。菫はため息を深く吐き出し、渋々といった様子で口を開いた。「もし時計を買えば納得するっていうなら、今すぐ買いに行くわ」意地を張って断ろうかとも思ったが、思い直した。ここで俺だけが損をする義理はない。俺は込み上げる感情をぐっと飲み込み、彼女を促して時計屋へと向かった。結婚して以来、男性用の腕時計を見るのはこれが初めてだった。迷いに迷い、4万円2000円の時計に目を付けた。試着した姿を菫に見せても、適当にあしらわれるだけだった。会計を終えて店を出る時、菫がボソッと冷たい声で言った。「この時計、私が出すのは4万円までよ。残りの2000円はあんたが自分で出して」「は?どうしてだよ」「自分にも給料があるでしょ?端数くらい自分で払いなさいよ」人の行き交う店先で、俺は買ったばかりの時計のバンドを引きちぎりたい衝動を必死にこらえ、スマホで菫に2000円を送金した。菫が不満げに口を挟んだ。「じゃあこれからは、あんたが家計の出費を全額負担しなさいよ。もし今まで通り給料を全部私に渡すなら、私が払ってあげてもいいけど」俺は鼻で笑った。「給料を渡すわけにはいかない」俺たちは無言のまま家路についた。
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第7話

「離婚」という言葉を口にした瞬間、菫は目を丸くして固まった。やがて彼女は俺の腕を強くつねり上げ、ヒステリックに責め立ててきた。「給料を全部家計に入れろって言ったくらいで離婚だなんて、あんた人間の心がないの!?」「ああ、こんな異常な生活に耐えられる人間なんていないさ」無駄口をたたくのも馬鹿らしくなり、俺はドアを乱暴に閉めてその場を離れた。今度は、彼女が追いかけてきた。周囲の目も気にせず、彼女は俺の目の前でわめき散らした。「家を買うとき、あんたが一銭でも出したの?リフォーム代は?1円も出さないくせに、いっちょ前に結婚の支度金まで要求して!大学の頃からの付き合いなのに、我が家の家計も考えないで。どんだけがめついのよ!言っとくけど、離婚するならまず私が出した支度金を返して。それと、この数年間住んでいた分の家賃も払いなさい!」彼女の声はどんどん大きくなり、俺の気持ちなど全く配慮していなかった。俺たちの言い争いは、野次馬をすぐに呼び寄せた。彼らはヒソヒソと話し始めた。「あの男、最悪じゃない?家を買うときも出さなきゃ、リフォーム代も出さないなんて。完全にヒモじゃん」「奥さんの実家が苦しいのに結婚の支度金まで要求したらしいわよ。愛情のかけらもないのね」「俺なら離婚して正解だと思う」事情も知らない外野からの無責任な言葉の刃に、俺は怒りで気が狂いそうだった。勝ち誇ったような菫の傲慢な顔を見ていると、かつて誓い合った愛が、吐き気がするほどの汚物のように思えてくる。そもそも今のマンションは、結婚前に彼女の親が頭金を出して買ったものだ。俺に権利を主張させないよう、最初から彼女の『単独名義』になっていた。当時、俺が「なんで俺の名前が入ってないんだ?」と聞いた時、彼女は子供をあやすように言った。「ただの形式上のことよ。そんな細かいこと気にしないで」あの時は俺も彼女を信じて気に留めなかったが、結婚後に俺の稼ぎも使って夫婦で返済してきた数千万円ものローンはどうなるというのだ。それでも菫は、「ローンは自分の給料から払っていただけで、あんたの給料には手をつけていない」と言い逃れた。考えてみれば滑稽でしかない。リフォームだって、大工である俺の親父が無償でやってくれたものだ。親父が汗だくで作業している間、ずっと監視していたく
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第8話

俺は彼女のメッセージに返事をしなかった。そのままデパートに向かって服を買い、ずっと行きたかったレストランへ足を運んだ。家賃を請求してくるあのマンションにも、帰るつもりはなかった。会社の近くのビジネスホテルに連泊することにした。改めてスマホを手に取り、菫に電話をかけて、月曜日に離婚届を出すよう伝えた。すると電話越しに鼻で笑われた。「私と別れて、あんたみたいな男が一人で生きていけるわけないでしょ?さっきも言ったでしょ。どうしても離婚したいなら、私が払ってきた家賃と結婚の支度金を全額払ってからにしなさいよ」相変わらずの高圧的な態度だ。「なら、法廷で決着をつけよう」「ちょっと稼げるようになったからって調子に乗るんじゃないわよ。一生かけてでも泥沼にして、とことん追い詰めてやるから!」俺が言い返す前に、電話は一方的に切られた。ツーツーという無機質な電子音を聞いていると、不思議と心の中がスッと冷え、凪いでいくのを感じた。どんな手を使ってでも、絶対にこの女から離れてみせると、自分に言い聞かせた。翌日、俺は彼女との話し合いを諦め、直接家庭裁判所へ「離婚調停」を申し立てに行った。しかし、裁判所の入り口から出た時、正体不明の男たちに車へと引きずり込まれた。助けを呼ぶ暇もなく、俺は意識を失った。目を覚ますと、そこは暗く狭い部屋の中だった。傍らでは、菫が何も身に着けていない姿で座っていた。自分の体を確認すると、俺も服を全て剥ぎ取られていた。「お前!人間のやることかよ!」俺は叫び散らした。しかし返ってきたのは、乾いた音を響かせるビンタだった。彼女はスマホの動画を俺に見せつけた。そこには俺たちが交わる姿が映っていた。「大人しくしていなさい。二度と離婚なんて口にしたら、この動画を全部バラまいてやる。動画の相手はAI加工して、別の女にすり替えることもできるわ。そしたらあんたは『不倫した最低男』として世間から吊るし上げられるのよ」彼女の言葉に、全身の毛が逆立つほどの戦慄を覚えた。「菫、あんたそれでも人間か?」彼女は鼻で笑うを浮かべた。「私が人間かどうか、体を張って教えてあげようね?」彼女が俺の口をふさいだ。俺の体を使って、やり場のない欲求を押し付けてきた。その瞬間、俺の心は完全に
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第9話

警察官もついに堪忍袋の緒が切れ、公務執行妨害で義母の腕に手錠をかけた。菫はついにパニックになり、嘘泣きしながら俺の足元に崩れ落ちた。「あなた、お願い。警察に口利きして、私を捕まえないでって言って!あと一ヶ月でボーナスが入るのよ。こんなことで査定がパーになったらもったいないじゃない!もし助けてくれたら、ボーナスを20万円……ううん、半分あげてもいいから!」はあ……俺は鼻で笑い、彼女の前に歩み出て見下ろした。「自分がどの立場にいるか、まだ分かってないのか?今回の件で離婚するのはもちろん、今まで預けていた俺の給与の残高も全額返してもらうからな」その言葉に、義母はショックのあまりその場に気絶した。菫はそのままパトカーに乗せられた。俺はホテルへ戻り、綺麗な服に着替えた。そして、会社には長期休暇の申請を出した。……裁判の日、法廷に現れた菫は、髪を振り乱し、すっかりやつれ果てた姿で涙ぐんでいた。「あなた、私が悪かったわ。お願いだから減刑の嘆願書を書いて。ボーナスは全部あなたにあげるから!」俺は冷ややかに笑った。ただ、裁判官に早く終わらせてほしかった。菫はまだ泣きじゃくりながら、少しでも罪を軽くしようと必死だった。そして、判決が下った。当然ながら離婚は成立。監禁、不同意性交等、さらにリベンジポルノ動画を盾にした恐喝。極めて悪質な犯罪行為が重なった結果、彼女には懲役10年の実刑判決が言い渡された。判決を聞き、菫はその場にへたり込んだ。そして狂ったように傍聴席を抜け出し、俺の足にすがりついて泣き叫んだ。「あなた、見捨てないで!まだ愛してるのよ」俺は汚いモノでも見るかのように彼女を足で蹴り飛ばし、一歩後ずさった。胃の底から吐き気にも似た嫌悪感がこみ上げてくる。これが、俺の人生を狂わせた「底なしのクズ女」の末路か。菫は裁判所の警備員に引きずられていった。彼女は暴れながら、俺を見捨てないでくれと叫んでいた。裁判所を出ると、元義母がまた立ちふさがった。鬼のような形相で平手打ちを食らわそうとしてくる。「あんたのせいで娘がこんな目にあったのよ!タダじゃ済まさないから!」彼女は歯を食いしばり、結婚当初の穏やかさは微塵もなかった。俺は身をかわす。元義母はさらに飛びかかってくる。痩せて
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