【何してるの?】スマホの画面をスワイプし、メッセージを送信する。私はスマホの画面を見つめながら、「レックス」と名乗るその男からの返信をじっと待った。この三ヶ月間、それが私の甘い日課になっていた。最初はほんの気まぐれで繋がっただけだった。それなのに私たちは、あっという間に惹かれ合い、深く惹かれ合っていった。ブブッ、とスマホが震えた。届いたのは一枚の写真。彼のパソコンデスクを横から撮ったものだった。キーボードの脇には、いくつかのファイルが無造作に散らかっている。【仕事中。あとは、愛しい君からのメッセージを待ちながら】画面越しに甘い声が聞こえた気がして、思わず口元がほころぶ。たった数行の文字だけで、ここまで私の頬を染めさせる人がいるなんて。そろそろネットの関係を越えて、外に出てもいい頃かもしれない。初めてリアルで顔を合わせる、その一歩を踏み出してもいい頃合いかもしれない。しかし、返信を打ち込おうとした瞬間、私の指はぴたりと止まった。送られてきた写真の右下。ファイルの端から、金属製の小さなピンバッジの端が写り込んでいたのだ。翼を広げた、猛禽の紋章。――ファルコーネ一家の家紋。私が勤めるこの会社を裏で牛耳る、あのマフィアのシンボル。ネット上で甘い言葉を囁き合う私の恋人は、裏社会の人間だったのだ。私はしばらく、ただ画面を見つめ続けることしかできなかった。頭の中が真っ白になり、思考が完全に停止している。親指はキーボードの上で宙に浮いたまま、ぴくりとも動かない。【ねえ、本当は何の仕事をしてるの?もしかして……ファルコーネ関係の人?】打っては消しを繰り返す。一体、何と返せばいいというのだろう。もし私が尋ねれば、彼だって必ず聞き返してくるに決まっている。私がどこにいるのかを知りたがり、やがて私がファルコーネ傘下の会社で働いていることまで突き止めるはずだ。そうなれば、彼は間違いなくここへやって来る。それで……どうなる?私は一体、どうすればいいの?返信しないでいると、レックスからは立て続けにメッセージが届いた。【なあ、どうした?忙しい?写真送ってよ。いつもみたいに。手でも、なんでもいいから。また夢に出てきたよ。ずっと俺にすがりついて、欲しがってた】言葉は次第に過激さを増し、露骨で刺激的になっ
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