背中が熱を持って痛む。その日も私は、ありもしない罪で鞭打ちを受け、冷たい床に倒れ伏していた。「真衣が一体何をした!? 善良な人間を傷つけるのが、お前の望みなのか!?」硬い鞭を握りしめているのは、施設が破産し放り出された私を奴隷として買い上げた……主人の綾間慎司(あやましんじ)だ。その後ろでは、慎司の恋人の雪城真衣(ゆきしろまい)が、目を潤ませて、震えていた。私は何もしていないと訴えても、帰ってくるのは罵声ばかりだった。そして、私に投げつけられたのは、私の名前が書かれた売却証明書だった。「お前を奴隷市場に送り返す。もう手続きは済ませた。自分のしたことを後悔しろ!」奴隷市場は、この世の地獄とも言える場所だった。最低限の衣類しか与えられず、鎖に繋がれ、資産家のじめじめとした視線に晒され続ける……普段通りの私なら、泣いて謝り、売却を取り下げて貰っていた。しかしその日の私は、売却証を手に、落ち着いて部屋を出ていこうとした。「待て! ……真衣に謝らないつもりか?」私は、慎司の目をまっすぐ見た。「……私はもう奴隷市場に売り渡されました。あなたはもう、ご主人様ではありません。」慎司は怒りに任せて、私に掴み掛かろうとした。その時、使用人が慌てた様子で部屋に駆け込んできた。「慎司様! 大変です!」「どうした!?」「たった今、木凪葉子さんが買い取られ、別の方に所有権が移りました。手を出してはいけません!」◻︎◻︎◻︎◻︎2xxx年。この国にも奴隷制度が息づいていた。借金のカタに売られた者や、両親に捨てられた者、身寄りのない者が、年齢や性別を問わず、奴隷市場に売りに出されていた。資産家は挙って質の良い奴隷を買い漁った。買われた奴隷は、必ずしも手酷い扱いを受けていたわけではない。質の良い奴隷は、主人にとって代え難いパートナーとなり、ステータスでもあった。学があれば秘書となり、家事ができれば家政婦として、重用され、大切にされた。しかしそれは、まともな主人に買い取られた場合だ。綾間慎司は一流企業の社長で、ビジネスの場において彼の名を知らぬ者はなかった。涼しげに仕事をこなす慎司は、周囲からの評価も高く、誰もが憧れる人物だった。ただ、彼が酷く冷酷な人物であることを、知る者は居なかった。奴隷として買い上げられた私、木凪葉子(きなぎようこ
Terakhir Diperbarui : 2026-05-10 Baca selengkapnya