All Chapters of 『梶修介のミッドナイト・トーク(皆様からのおハガキお待ちしております)』: Chapter 21 - Chapter 23

23 Chapters

二十一通目

時刻は深夜1時を回りました。1週間を戦い抜いた皆様、本当にお疲れ様です。7月も2週目の金曜日、ようやく週末の夜がやってきましたね。 今週は梅雨明けを思わせるような、本当に厳しい暑さが続いた1週間でしたが、皆様、体調などは崩されていませんでしょうか。我が家では、先週末に奥さんのリクエスト通りに身の回りの模様替えを済ませておいたおかげで、この平日の4日間は、驚くほど静かで、心地よい時間を過ごすことができたんです。 これまでは部屋の中に色々なものが溢れていて、どこか少し雑然としていた部分もあったんですけど、彼女のお気に入りのものだけをあの新しいガラスケースの中にすっきりとまとめてからは、家全体の空気までが、すうっと澄み切ったような感覚がありまして。余計なノイズが一切なくなったお部屋の中で、エアコンの冷気だけが優しく流れている。その静寂に包まれた小さな空間を見つめていると、なんだかこれまでのどんな時間よりも、お互いの存在を近くに、そして穏やかに感じられるんですよね。忙しい日々の終わりに、そうしたブレのない、完璧に整えられた世界へ帰ってくることができるというのは、本当に贅沢で、心からホッとできるものです。 さあ、どこまでも静かで、澄み切った真夜中、眠れないあなたと地続きでつながる時間です。 『梶修介のミッドナイト・トーク』 この番組は、皆様から寄せられた日常のひとコマ、誰にも言えない悩み、端っこに追いやられた本音まで、皆様からの『生の声』をお便りを通してご紹介していく1時間です。今夜もラジオの向こう側、あなたのすぐそばでお送りします。 さて、今夜は先週の月曜日に、ご自身のすべてを懸けた丁寧な手仕事によって、大切な彼女のために最高級のガラスケースを用意してあげたという、あの方からのハガキをご紹介します。 ラジオネーム『彼女の騎士《ナイト》』さん。完璧なお色直しを終えた二人の楽園には、この平日、本当に穏やかで美しい時間が流れていたようですよ。さっそく読んでみましょう。 『梶さん、こんばんは。今週は外はうだるような暑さでしたが、僕たちのお部
Read more

二十二通目

時刻は深夜1時を回りました。新しい1週間が始まる月曜日の真夜中、今日もお仕事や勉強、それぞれの場所で新しい1日を迎える準備をしているあなた、本当にお疲れ様です。 7月も半ばに入り、いよいよ本格的な夏の匂いがしてきましたね。皆様、この週末はどのように過ごされましたでしょうか。 我が家では、先週すっきりと身の回りの模様替えを終えたおかげで、この週末は、驚くほど穏やかで、満ち足りた時間を過ごすことができたんです。 これまではどこか少しハラハラしていたというか、落ち着かない部分もあったんですけど、彼女のお気に入りのものをあの新しいガラスケースの中に収めてからは、なんだか、絶対にブレることのない、確固たる安心感が家の中に生まれたような気がしまして。 その完璧に整えられた空間が待ってくれていると思うだけで、外での仕事も、いつもの日常も、これまで以上にすごく前向きに、穏やかな気持ちで向き合えるようになるんですよね。そんな究極の心の平穏を感じながら、また新しい1週間を、彼女と共にいつも通りスタートさせていきたいなと思っております。 さあ、どこまでも静かで、澄み切った真夜中、眠れないあなたと地続きでつながる時間です。 『梶修介のミッドナイト・トーク』 この番組は、皆様から寄せられた日常のひとコマ、誰にも言えない悩み、端っこに追いやられた本音まで、皆様からの『生の声』をお便りを通してご紹介していく1時間です。今夜もラジオの向こう側、あなたのすぐそばでお送りします。 さて、今夜は、先週の金曜日に「小さな透明な楽園で、永遠の静寂に包まれている」という、本当に美しく満ち足りた近況を教えてくださった、あの方からのハガキをご紹介します。 ラジオネーム『彼女の騎士《ナイト》』さん。彼とお姫様の物語は、この週末を経て、ついに誰も引き離すことのできない、完璧なグランドフィナーレを迎えたようですよ。さっそく読んでみましょう。 『梶さん、こんばんは。僕たちの愛 of 物語をずっと優しく見守り、僕の選択をい
Read more

最終回

「ネットラジオ?……つまりどういうことだ?結局ラジオなのかインターネットなのか……」 パソコンやスマホなどに疎い豊峰は、部下の伊関の説明が理解出来なかった。 「インターネットを使ったネット配信ですね。ラジオ番組風の配信をすることが出来るアプリを使って、いかにも本物のラジオ番組のように配信をするんですよ」 豊峰の難解そうな表情で察した伊関は、出来るだけ分かりやすく説明した。 「それは顔を出さないで声だけで配信を行っているという認識で良いのか?」 「まあ大体合ってます。普通のネット配信と違うのは、配信者がラジオ番組という体《てい》でやっているということくらいですね」 「ユーチューバーに憧れる子供が増えて、テレビすら観ない若者が増えている今の時代に、更に旧時代的なラジオをやりたいとか思うものなのか?」 「ラジオヘッドなんて呼ばれてたのは結構前ですしね。でも、そういうのに憧れる人は一定数いつの時代にもいるんじゃないですかねぇ。人気が出た芸能人でもラジオ番組はずっと続けていたりしますから」 「ふぅん……そういうものかねぇ……」 四十を過ぎている豊峰にしてみれば、ラジオというものは勉強の傍らに流す程度の認識しかしておらず、豊峰自身もラジオよりも圧倒的にテレビで育った世代である。 伊関が説明してくれても、イマイチその意見に共感を抱くことが出来なかった。 「それで、今回通報があったのはそのネットラジオでの配信だったというわけだな?」 「はい。『梶修介のミッドナイト・トーク(皆様からのおハガキお待ちしております)』という番組ですね。まあ実際は録音した音声を流していたようで、生放送というわけではなかったようですが。この番組の登録者数は8人。その中の一人が気になる放送をしている者がいるという連絡をくれて今回の事件が発覚しました」 「なるほどな……」 豊峰は未だに整理しきれていないネットラジオについてはいったん頭の隅に置いておいて
Read more
PREV
123
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status