俺がベッドの上で身を起こすと、汐音が口を開いた。「晴人、大丈夫?」俺はベッドに座ったまま、もう何も言えなくなっていた。やっぱり、俺には幸せに生きる資格なんてなかったのだ。陽菜と過ごした日々は、まるで夢のようだった。今、その夢は覚めた。俺はまた、暗闇の中へ戻るべきなのだ。俺はベッドの上に座ったまま、聞こえていないかのように動かなかった。汐音は長いこと待っていたが、俺が何も言わないので、ゆっくりと近づいてきてベッド脇に腰を下ろした。ためらいながら、俺の額に触れて熱を確かめようとする。「触るな」俺はかすれた声で言った。「君に触られると、吐き気がする」汐音は、やはりその場で手を止めた。彼女の目の縁も赤くなっていた。いつも高いところから人を見下ろしていた汐音が、俺の前でこんな表情を見せたことなど、これまで一度もなかった。「晴人、私は知らなかったの。本当にあなたがあんな目に遭っていたなんて……」俺は顔を向け、月明かりの中で彼女を見た。彼女の顔には罪悪感が滲んでいて、どうしようもなく白々しく見えた。「本当に知らなかった?違う。君は知っていた。闇金から金を借りて返せなかった人間がどうなるかくらい、知らないはずがない。殴られるだけならまだ軽い。ひどければ、手足を折られることだってある。君は知っていた。ただ、悠真の言葉が君の本音に都合よく重なったから、知らないふりをしただけだ」汐音は唇を引き結んだ。顔に浮かぶ後悔の色は、いっそう濃くなった。「晴人、私が悪かった。もう一度、やり直せない?」左脚がじくじくと痛んだ。「おじいちゃんに会いに行ったときには、もうかなり悪くなっていた。医者には、一刻も早く手術したほうがいいと言われた。でも、俺には金がなかった。両親に電話しても誰も出なかった。君に電話したら、君は、俺が君に連絡を取るためならどんな手でも使うんだなって言った。あいつらの股の下もくぐった。そうしたら、三万円を俺の顔に投げつけて、俺みたいな惨めなやつが陸崎社長に釣り合うわけがないって笑った。そうやって頭を下げて、頼んで、それでも金はどうしても集まらなかった。おじいちゃんは病院で死んだ。葬儀を出す金もなくて、借りるしかなかった。何とかすれば返せると思っていた。その金で葬儀を出したのに、返済
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