次の手を決めるためにも、涼はもっと確実な証拠を掴まなければならなかった。書斎で毅と二人きりになった隙を見計らい、涼は一か八かの賭けに出た。米粒ほどの最新型盗聴器を、ソファの下の目立たない場所にこっそりと貼り付けたのだ。その夜、涼はホテルの部屋でヘッドホンを装着し、緊張しながら耳を澄ませていた。ザーッという雑音に混じって、ようやくはっきりとした声が聞こえてきた。まず、毅の少し自慢げで甘やかすような声がした。「歌乃、南洋諸国の新しい商品を捌いて資金が戻ったら、お前を連れてここを出て行く。海外の誰も知らない町で新しい身分を用意して、一緒に静かに暮らそう」続いて、歌乃の声が聞こえた。どこか作ったような甘えた様子で返事をする。「うん、毅の言う通りにするわ。全部お任せする」歌乃は少し間を置いて、ごく自然に心配そうな声を混ぜた。「でも……ニュースで見たけれど、最近インターポールや地元の警察当局の動きが慌ただしいみたい。あなたが使っているあのルート、本当に大丈夫?少し心配だわ」毅はそんな彼女の気遣いが嬉しかったのか、声を潜めて誇らしげに語り始めた。「大丈夫さ。あのルートは完璧だ。連中の中に上層部の協力者がいるからな。何かあれば、あいつらより先に俺に情報が入る。今回は……」彼はさらに声を潜めて、聞き取りづらい名前や暗号をいくつか口にした。関心な部分は聞こえなかった。それでも「協力者」、「上層部」という言葉や、歌乃の巧みな聞き出し方は、事件を解き明かす鍵となった。真実の扉が、一気にこじ開けられたのだ。涼はヘッドホンを引き剥がし、真っ青な顔でその場に凍りついた。背中を冷や汗が伝い落ちる。泉は本当におとり捜査をしていたんだ。命を賭けて毅の容疑を裏付け、警察当局の裏切り者まで暴こうとしている。果てしない恐怖と痛み、怒り、そして言葉にできない誇らしさが、波のように涼に押し寄せた。勇大が亡くなった時の凄惨な姿が思い出された。知らせを聞いた時の泉の、憎しみと絶望に満ちた目が脳裏に浮かぶ。泉は結局、この最も危険な道を選んでしまったのだ。駄目だ、泉が一人で危険に晒されているのを、黙って見ているわけにはいかない。許してもらえなくても、もう必要とされていなくても、泉を必ず守り抜く。たとえ毅を完全に敵に回すことになろうと、自分の地位も、命も、全
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