Todos los capítulos de 豪華客船で棄てられた社長令嬢の私が、海を統べる剛腕御曹司(幼馴染)に溺愛されています: Capítulo 11 - Capítulo 15

15 Capítulos

第11話 慎ちゃんの『足りない物』

 日本の景色をまたこの目で見れるとは思わなかった。 それも慎ちゃんが手配したプレイベートジェットでだ。 広大な大海原を彷徨っていた私が、今度は空飛ぶ妖精になって舞い戻ってきた。「長旅お疲れ様です」 コクピットから出てきたのは細道。 飛行機を操縦できるコンシェルジュなんて聞いたことはなかったけど、「素敵な部下をお持ちで」「香織には敵わないさ」「左様でございますか」「いいや比べるのはナンセンスか。細道はうちの優秀な部下だよ」 クスっと笑った。 ここでも慎ちゃんは特別なオーラを放っていて、「あの人ヤバくない?」「超イケメン・・・・・・しかも連れてる人も綺麗」「どこかの富豪さんかな?」 と道行く女性陣からは黄色い声が聞こえてくる。「人気ね」「まぁね」 小さい頃だったら、人見知りで私の後ろに隠れていたと思う。 そんな幼い男の子が私、今はの手をぎゅっと握って堂々と歩いているのだ。 その成長がどことなく嬉しい。「お車を手配しております」「助かる。すぐに取締役会を開きたい」 空港の出口で黒塗りのリムジンが待っていた。 豪奢な内装で一際目立っている。「乗って乗ってー」 るんるんな慎ちゃんだけど、私の驚きはそれを差し置いていた。 日野内グループでも社用車はあったし運転手もいた。 けれどリムジンのような豪華さはなく、移動のための質素な車だった。 私が知らない間に、慎ちゃんは桁外れのお金持ちになってしまったのかもしれない。「あぁそれと、例の物は?」「ご用意しております」 乗り込む直前に慎ちゃんが聞いていた。 例の物って? 私は疑問を抱いたまま、中へ乗り込むと、「・・・・・・ツナ?」 シャンパンの横に置かれていたのはツナの缶詰。 しかもフォークまで用意されていた。 私は唖然とした。「これは綱島グループが売ってるツナ缶。品質、価格、全て申し分ない」 車のシートに身を預けながら、慎ちゃんはビジネスモードの口調で教えてくれる。「中身のマグロはサマリア産。香織を迎えに行った船で加工して日本へ輸出してるんだけど」 彼はツナ缶を開け、一欠片を口に運ぶ。「問題は味だ。役員やお客様には美味しいと評判なんだけど、何かが足りない」「何かって?」「それが分からないんだ」 なんとも不思議な話ではある。 今までの慎ちゃんか
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第12話 影を撃つ銛

 綱島グループの本社に着くと、ビルのガードマンが車の扉を開けてくれた。 エントランスの案内図にはズラリと綱島グループの関連会社が並び、テナントは一切入っていない。(これを慎ちゃんが?) 驚かされてばかりだった。「細道。すぐにうちの製品とこのメモ通りに作ったツナを用意しろ」「かしこまりました」 走り書きしたメモが細道に渡り、彼が忍びのように消えていく。 ・・・・・・これで本当に合ってるかは分からない。 薄れていく記憶を必死に引っ張り出して出した答えは、食べてみないと分からない。 一抹の不安は残る。それを察してか、慎ちゃんは手をぎゅっと握って、「少し散歩しよっか」「散歩?」 尋ねる間もなく、慎ちゃんは興奮した足取りで引かれ、エレベーターに乗せられた。(みんな目も暮れずに働いてる) 慎ちゃんに気づかないままの社員さんもいれば、「お疲れ様です社長」 と、声を掛けられたりもする。「先日の案件、上手くまとまりました。頂いた助言が大変助かりました」 そう言って、飴ちゃんを渡してくる社員もいる。 けど偉ぶる素振りも見せず、「みんなの頑張りのおかげだよ。ありがとう」 仏のような笑みと優しい言葉で労っている。 だけど、私に見せるような甘さはない。(敏腕社長って感じ。ちょっと寂しいかな) 格好いいと思う反面、寂しさも感じる。 フロアを一通り回った後に、社長室へ到着する。「緊張、解れたかな?」「うん。気を遣わせちゃったかな」「全然! お仕事するにも、緊張は取った方がいいから。それに」 一拍置いて、彼は耳元で囁く。「怖い顔より笑っていた方が素敵だから」 ポッと耳が赤くなる気がした。 ・・・・・・やっぱり、この子が慎ちゃんっていうのが信じられない。「香織のデスクを用意しないとね。秘書だから、ここで仕事して貰った方が都合良いな。あっパソコンも新しくしないと。今度のパーティーで会うからそのときに」 固まっている思考が舞い戻ってくる。 そして慎ちゃんに微笑んでいた。(格好いいお兄さんになったんだね) 甘えん坊を見る瞳が、急に一人の男を見る瞳に変わった。 社内の電話でデスクや椅子を頼むと、すぐに用意が始まった。 まるで用意していたかのように、私の仕事場が整っていく。「魔法みたい」「香織のためならどんな魔法でも起こしてあ
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第13話 次があれば――

「ちょっと来なさい」 仕切り直しとなった会議の後、『石橋 文香』の声で足が止まった。「なんでしょう?」「貴方に興味があるの。専務室でちょっと話さない?」 一見すれば仲の良い場面かもしれない。 けれど薄ら笑う顔には、何か裏があると直感する。 上に階を跨ぐと、社長室と同じ階に専務室が並ぶ。 通されたデスクは質素で飾り気がない、モノクロの家具や雑貨が置かれている。「早速だけど、社長にどうやって取り入ったの?」「取り入った?」「えぇ。日野内と言えば、今や世間を大騒ぎさせている会社じゃない。その社長様が、清き綱島グループに入れるなんておかしな話よ」 会議の時から薄らと気づいてはいた。 私はその意味を考える素振りをした。「分からない? なら単刀直入に言うわ。社長の隣にいるなんて生意気よ」 笑みが一瞬で凍りつき、軽蔑の目へと変わる。(やっぱりね。不正の話が嘘だと知ったら、改めるかもしれない。でも) 弁明をしたところで、現状じゃ証拠が出せない。 それではただの推測や憶測、下手な言い分に過ぎないことは分かっていた。 世間様と同じで。「弁明の一つもできないのね。情けない。恥を知りなさい」(辱めるためだけに呼んだのね) 石橋 文香は言いたい放題言うと、半ば追い出すように私を専務室から退場させた。「恥を知れ・・・・・・ね」「慎ちゃん?!」 扉一枚挟んで、廊下の壁に寄りかかっていたのは慎ちゃんだった。「ここで待っていたの?」「石橋君と歩いて行くのが見えてね。どんな話をしてたの?」「ちょっとした世間話よ。何でも無い」 私は誤魔化して会議室に戻ろうとするが、「ちゃんと話さなきゃダメ。じゃないとここは通れない」 抱擁で通せんぼされてしまう。「恥を知れっていうのが、日野内での世間話だったの?」「そんなわけないじゃない。でも、ここだとちょっと話づらいから後でも良い?」「うん。でも」 慎ちゃんがコクリと頷いて、「後があればだけど、ね?」 ボソリと呟いた。 再び会議は幕を開ける。 しかし会議室の椅子と人の数が休憩前よりも増えていた。「早速だが、我が社に潜り込んだスパイの件で進展があった」 どよめきの中、慎ちゃんは話を続けた。「これは先日の日野内グループの株価暴落とも関係している。株式部『工藤』部長、うちが買った日野内の株は
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第14話 スパイの末路

 石橋は凄まじい剣幕で机を叩く。「適当な事を言わないでくれるかしら? 私はそんな指示していない」 冷たく言い放つと、「これは工藤部長の独断で進めたこと。何度も言うけど、貴方に指示した記憶はないわ。それに、そのデータだって、きっとそこの女が金で偽装させたに違いないわよ」 慎ちゃんの言いたいことを察したようだ。「では、うちの社員が買収されたと?」「そう考えるのが自然でしょう。ほんっと、迷惑な方ですよね社長」 嫌みったらしく、しかし嘲笑して言った。「じゃあこれはどういうことかな?」 慎ちゃんの胸から取り出されたのはボイスレコーダー。 再生ボタンを押すと、「日野内の株を十六時に購入なさい」「取引が終わる間際にですか? 当日の朝に言われましても」「先方には話をつけておく。頼むわよ部長」 この場にいる誰もが声の主の正体を理解し、一点に集中する。「な、何よ! こ、これがなんだっていうの!」「君は買収を指示してないと言ったね。これは、どういうことかな?」「え、えっと・・・・・・あっ! あぁ! 忙しくてつい忘れていたかもしれません! そう、きっと指示したに違いありません」 石橋はさっきまでの態度を一転。 ボイスレコーダーの声まで突きつけられたら、言い逃れはできないと思ったのだろう。「でも・・・・・・どうして当日に?」「何よあんた! 社員でもない癖に言いたいことでもあるの?!」 私が尋ねると、威圧的な声色で返ってくる。 でも、当日の取引終了間近に頼むのは変だ。 大金が動くし、何よりも前情報なしにやるのは証券会社だって注文を受けるのを渋る。 大企業同士の買収ならば尚更。 社長を通さない株の取引。時間指定付き。 そして買収は株価の暴落を的確に狙い、実行された。 私はもう一度、その時の株価のグラフをスマホに出す。「十六時・・・・・・やっぱり」 やってくれたわね。このおばさん。 つまりこれは、「インサイダー取引・・・・・・」「香織の言うとおり。買収の判断は見事だった。しかし、法を犯してしまっては元も子もない。あぁ石橋君、君に聞きたいことはもうないよ」 慎ちゃんの顔は笑っていた。でも―― 手にしたボイスレコーダーは嘘をつかない。 右手でゆっくりと操作し、会話の内容が変わる。「買収情報をありがとう。これでまた一つ私の評価が
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第15話 地下鉄に響く嘆き

「ねぇ純! 純ってば! お願い出てよ!」 息も絶え絶えに、スマホのコール音に私は呼び続ける。(私たちの計画が・・・・・・あの女に!) 綱島 慎太郎に取り入るまでは良かった。でも全部、あの女が吹き込み、ぶち壊した。 その苛立ちがスマホの番号を打つ手に宿る。「早く出なさいよ! 早く!」 ブツリと、電話が繋がる。「純!」「はぁい。純は今、私の腕の中で眠ってまぁーす」「田沢湖っ?!」 出たのは電話の主・・・・・・ではなく、あいつの隣にいたもう一人の邪魔者。「純に変わりなさいよ!」「えぇ? どぉーして?」「そ、それは」(こいつに弱みを見せたら、骨までしゃぶり尽くされる) 一条のオフィスにいたときから、私は直感的に距離を置いていた。 安易に理由を話したらやられるのはこっちだ。 握る手が震え、声に力がこもる。「良いから純を出しなさいっ!」「うわぁ怖ーい・・・・・・じゃあ、純からの伝言を伝えるね」  おちゃらけたその声色が不愉快だった。 けれど咳払いを一つすると、彼女は鬱陶しそうに告げる。「ミスしたスパイはいらないのよ。今すぐ俺の前から消えろ」 ぞくりと背筋に悪寒が走る。 ミス? まさかもうバレて。「だってぇ。へぇ、スパイがバレて綱島グループを追われたんですってねぇ」「な、なんでそれを」「きゃはは図星ぃ。貴方のスマホに盗聴アプリ仕掛けて正解ー」 私はスマホを見やる。(そんなアプリ、どこにも)「今更、探したって無駄よぉ? ここまで言われて気づかないなんて、お馬鹿な子猫ちゃん」「じゅ、純を出しなさい! 貴方じゃ話にならない!」「お話にならないのはぁ、貴方のお仕事ですぅ。あはははは」 不愉快な高笑いで、私はスマホを線路へ投げつけた。 私が純の寵愛を受けるに相応しいのに。 純の隣は私だけのものなのに。 なのに・・・・・・なのになのになのに。 あのアバズレっ!「クソビッチがぁぁぁぁぁぁ!」 人目も憚らず、私は叫んだ。 スパイを炙り出した会議は恙無く終わった。「社長ぉ」 疲れ切った様子で私たちに寄ってきたのは、最初に美人と口説いてきた取締役の男だった。「お疲れ高梨君」「俺、ああいう空気苦手なんすよぉ」 肩書きに似合わぬ貫禄の無さに、私はクスっと笑ってしまう。「なんていうか、張り詰めた会議の感じっていう
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