「ねぇ、今、もしかしてこの乗り物がしゃべった? すごいわね、こんなに自然に喋らせる魔法が使えるんだ」 とこちらに来た運び屋の女性が言う。髪が赤毛で顔にそばかすのある女の子だった。「で、なにを運んでほしいの? あ、人もひとりまでなら乗せてあげられるわよ?」「いや、あたしたちは乗らない。この荷物をアリアナの宿屋まで運んでほしいんだけど」 と僕が手に持っている荷物の方へ、チャーリーが視線を向ける。「いいわよ、ちょっと待って。今、荷物を箒に括り付けるから」 と言って彼女は背負っていたバッグから丈夫そうなひもを取り出す。 その時だった。「おーい、ちょっとちょっと!」 と白い鎧をつけた騎士がこちらに駆けつけてくる。「君、さっき、法定速度を違反していたよ」「え、そ、そんな、久しぶりに、依頼が来て、ちょっと舞い上がっちゃって」「言い訳してもダメ、二点減点ね」「そんなぁー、免許の更新あと一か月後だったのに! アダマンタイトクラスの運び屋だったのにぃぃぃ、ミスリルクラスになっちゃうぅ!」 とその運び屋は頭を抱えていた。 それを見ていたチャーリーが僕に言う。「……違う人に頼みましょうか」「そうだな」「ちょっと、ちょっとーー! なんでよー!」 と抗議してくるが、僕たちは無視した。「あそこにいる人はどうだ?」「あれはダメよ、よく見なさい、箒にひよこマークを付けてるでしょ?」「ひよこマーク?」「運び屋になってから一年経ってない者はあれをつけないといけないのよ」 と僕たちが会話しているところに、先ほどの運び屋が割って入ってくる「ちょっと、話を聞きなさいよ、私でいいじゃないの私で―!」「でも、ミスリルクラスになったんだろ?」「まだアダマンタイトクラスよ、まだ!」 でも、一か月後はミスリルクラスになっているんだろ? とは思ったけど、言わないでおいた。 それからもしつこくその運び屋は自分をアピールしてくるので、結局その運び屋に運んでもらうことにした。 荷物を箒に括り付けた後、その運び屋は空を飛んでいった。 大丈夫かな……と思っていると、先ほど彼女を注意した騎士団の人が声をかけてきた。「見慣れない乗り物がありますけど、あなたは旅人ですか?」「ええ、そうですけど」「運び屋には気を付けてくださいね、最近、運び屋の起こす事故が増えているん
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