「テル、もうすぐ町につくわよ」 と乗っているママチャリの方から声が聞こえる。 この自転車、なんとしゃべるのだ。 二年前、異世界に転移したのだが、そのときこのママチャリごとこっちの世界へ来てしまった。 元々は普通の自転車だったのだが、なぜかこの世界に来た途端、人間みたいに意志を持ち言葉を話すようになったのだ。「前方にモンスター発見」 とママチャリが言う。 数十メートル先に、角が額に生えたウサギ――アルミラージがいる 一見かわいらしいが、かなり狂暴で、人を見るやいなや襲い掛かってくる危険なモンスターだ。「で、どうするの?」「このまま轢こう」「わかったわ」 モンスターがこちらに気づく。 こちらに向かって走ってきて、自転車の前まで来ると、僕の顔の高さまで跳躍し、こちらへ迫ってきた。 このままだと数秒後に、僕はその角で刺されるのだろう。 そこで、僕は前輪を地面から浮かせ、ウィリー走行をして、獣の頭の位置まで持ち上げたタイヤをそのまま敵にぶつけた。「ぎゃんっ!」 悲鳴を上げて、派手に吹っ飛ぶ獣。 今の体当たりによって角がタイヤを少し傷つけていたが、この自転車は自動修復スキルがあるので、勝手に元通りになっていく。 この光景も最初の頃は戸惑っていたが、今では全く驚かなくなった。 地面を転がって、動かなくなるモンスターを通り過ぎて、僕たちはそのまま先へ進んでいく。「さっきも言ったけど、もうすぐ町に着くころよ」「わかったよ、チャーリー」「私のことは、ママと呼びなさいと言っているでしょう」「わかったよ、チャーリー」「わかってないじゃない、もう」 プリプリと怒りながらも、チャーリーは僕を乗せて、進んでいく。 元の世界に母がいる僕はこの自転車をママと呼ぶのはなんか抵抗があるので、無視してチャーリーと呼んでいる。 彼女は気にいってないようだけど、この名前が。 でも、やっぱりママと呼ぶ気にはなれない。彼、前世は男だったみたいだし。「なんて名前の町だっけ?」「ヒボットという町ね、誰とも仲良くなれない町と言われているわ」「誰とも仲良くなれない? どんな町なんだろ……」 それから自転車を走らせること数十分、目的の町にたどり着いた。 外壁に守られていて中は見えない。門の前に、門番と思われる人が一人いた。」 自転車を降りて、手で押しな
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