同窓会で、私・長瀬恵茉(ながせ えま)は彼氏に頼まれた用事を済ませて席へ戻った。だけど、さっきまで私が座っていた場所には、もう親友の清水優奈(しみず ゆうな)が座っていた。私のグラスも取り皿も片づけられ、新しい食器が並べられている。まるで、最初から私なんてそこにいなかったかのように。私に気づいた優奈が立ち上がろうとした、その瞬間――竹内英二(たけうち えいじ)は彼女の肩を軽く押さえた。「どうせ俺たちが事件の話をしても、彼女にはわからないし。ここにいても愛想笑いするだけだから」その場にいた誰一人として口を挟まなかった。みんな知っている。あの頃、家の事情で私は大学を中退せざるを得なかったことを。大学時代、彼と優奈は法学部きっての名コンビだった。数々の難事件を力を合わせて解決し、「最強のバディ」と呼ばれていた。卒業後も二人はそろって一流法律事務所へ。法曹界のエリートとして華々しい道を歩んでいる。一方の私は――彼氏のコネでようやく事務所に入れてもらった、ただの雑務係。私はその場に立ち尽くしたまま、何も言えなかった。英二は私が買ってきたタバコを何気なく受け取ると、当然のように言った。「優奈がジュース飲みたいって。悪いけど、買ってきてくれる?」そう言いながら、一度も私を見ることはなかった。すぐに彼はまた優奈との会話へ戻り、楽しそうに事件について語り合う。二人の笑い声で満ちたその空間の中で――私は、ふいに疲れてしまった。どれだけ必死に手を伸ばしても届かなかった人。もう、その背中を追いかけるのはやめようと思った。――タバコを買って戻ってきてから、もう三十分が過ぎていた。「ジュースもお願い」その一言を言い残してから、英二は一度も私に視線を向けなかった。彼は優奈と、先週勝ち取ったばかりの裁判の話をし、そのまま事務所の将来について語り合っている。二人の間で、私はただの背景になっている。そんな時間が、これで何度目なのか、もう覚えていない。やがて優奈がメッセージを確認すると、英二はようやく不思議そうに私を振り返った。「まだ行ってなかったのか?」パーティーが始まってから今まで、私はもう三度もお使いに出されていた。外では土砂降りの雨。何度も雨に打たれ、全
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