ノートには、一つひとつの出来事が細かく記されていた。彼と夢乃が交わした会話まで、すべて。まるで景翔自身が深雪の視点に立ち、あの日々を最初から最後まで体験しているようだった。息苦しく、胸を締めつける文章。行間のどこを読んでも、抑え込まれた絶望と鬱屈した想いが滲んでいた。室内では煙草の火が明滅を繰り返す。景翔はベッド脇に座り込んだまま、一晩中そのノートを読み続けた。一箱すべて吸い終え、部屋は煙で満たされる。その濃い煙は、今にも彼を窒息させそうだった。夜が明ける頃には、彼の目は真っ赤に充血していた。全身から漂うのは深い悲しみと疲弊、そして果てしない絶望だけ。今になってようやく、彼は深雪の痛みを少しだけ理解できた気がした。だが、もう遅い。深雪はもう見つからない。――自分は人間以下だ。被害者は深雪だった。夢乃はここまで狂ったような悪意を持っていた。それなのに、自分は彼女ばかり庇ってきた。深雪の口を封じ、警察へ届け出るなと迫り、すべてを飲み込ませようとした。どうしてだ。どうして深雪ばかり、こんな目に遭わなければならなかった。黙って耐えていたからか。泣いて縋らなかったからか。全部自分のせいだ。必ず深雪の仇を討つ。そう決めると、景翔はすぐに部下へ命じ、夢乃を連れて来させた。そして地下室へ監禁した。助けを呼んでも誰も来ない。閉じ込められて3日目。ようやく景翔は情けをかけるように彼女の前へ姿を現した。顔は殴られた痕で腫れ上がり、青紫に変色している。夢乃は床を這いながら彼のズボンの裾にしがみつき、みじめに懇願した。「景翔さん......ごめんなさい。本当に反省してるの。お願い殺さないで......全部景翔さんを愛していたからなの......自信がなくて、誰かに奪われるのが怖かった。だから......だから、景翔さんを愛しすぎて、自分でも止められなかったの......」景翔は彼女の顎を乱暴につかみ、自分の方へ顔を向けさせる。「止められなかったからって、深雪を陥れ、殴り、ベッド動画までネット中へばら撒き、皆の前で名誉を踏みにじっていい理由になるのか?俺は言ったはずだ。深雪は俺の妻だから、絶対に手を出すなと。なのに、お前は何をした?深雪が俺のもとを去ったのは、お前のせ
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