王都まであと二日だろうか、とサルロは宿屋の一室、聖典を前に考えていた。王都とケックを結ぶ街道を往けば、一日進むごとに宿が設けられている。その代金は、手形でツケて王都で清算してもらえる、とのことだった。 (ありがたいことだ) 蒼騎士とて、人間。泊まるにも飯を食うにも金が要る。 (教会からの給金はもう少ししなければ届かないし、そうするには都市に行かねばならない。国王陛下には、頭が上がらんな……) ボーン、と壁掛けの時計が鳴った。午後七時、夕食だ。居間のテーブルで聖典を読む、というには集中できない状態だった彼は、顔を上げる。窓の外を見ると、鐘を備えた監視塔があった。 「ガリヤ」 彼は、奥の寝室で新聞を読む親友に声をかけた。 「食事に行かないか」 「別に食堂行かなくていいんだろ。届けてくれる、って支配人が言ってたしよ」 「そうだったな……スイートの特典、だったか」 ガリヤの溜息が聞こえてきた。 「サルロくん、食事に鶏肉を入れないよう頼んでくれたね?」 サルロの向かいで銃身を磨きながら、ダンケルが問う。 「伝えはした。厨房にどれほど共有されるか、私には断言できないが……苦手なのか?」 「苦手、と言うよりも掟だね。同じ翼を持つ者同士、共食いになってしまう」 「難儀なことだ」 難儀かねえ、とダンケルが漏らす。そこで、扉がノックされた。 「お食事をお持ちしました」 四人分の夕食が、ダイニングテーブルに並ぶ。仔羊のローストをメインとして、人参や玉葱をオーブンで焼いたもの、青葉のサラダ。豆のスープに羊乳のチーズだ。飲み物は葡萄酒で、セキには茶が供された。 騎士らは声を揃えて祈りを捧げる。セキが、 「感謝を」 と続けた。 「ナイフは……右手でしたよね」 彼女は、そのまま慣れない手つきでローストを切ろうとしていた。 「ゆっくりでいい。焦らずとも、食べ物は逃げないさ」 銀食器を囲む食卓は、緩やかな空気で満ちていた。 「あの、サルロ様」 セキが話し出す。 「蒼い目の人なら蒼炎を使えるって話、前にしましたよね」 「ああ。それがどうした?」 「覚えてます? どこかで使い方を教えてくれる、って言ったの」 「……そういうこともあったな」 そこで、サルロは葡萄酒を一口飲む。 「そうだな、食べたら、
Huling Na-update : 2026-07-31 Magbasa pa