Lahat ng Kabanata ng たとえ異端になろうとも~蒼炎と黒炎を宿した騎士、サルロの魔王焼却譚~: Kabanata 11 - Kabanata 13

13 Kabanata

#11 闇に潜む者たち

王都まであと二日だろうか、とサルロは宿屋の一室、聖典を前に考えていた。王都とケックを結ぶ街道を往けば、一日進むごとに宿が設けられている。その代金は、手形でツケて王都で清算してもらえる、とのことだった。 (ありがたいことだ) 蒼騎士とて、人間。泊まるにも飯を食うにも金が要る。 (教会からの給金はもう少ししなければ届かないし、そうするには都市に行かねばならない。国王陛下には、頭が上がらんな……) ボーン、と壁掛けの時計が鳴った。午後七時、夕食だ。居間のテーブルで聖典を読む、というには集中できない状態だった彼は、顔を上げる。窓の外を見ると、鐘を備えた監視塔があった。 「ガリヤ」 彼は、奥の寝室で新聞を読む親友に声をかけた。 「食事に行かないか」 「別に食堂行かなくていいんだろ。届けてくれる、って支配人が言ってたしよ」 「そうだったな……スイートの特典、だったか」 ガリヤの溜息が聞こえてきた。 「サルロくん、食事に鶏肉を入れないよう頼んでくれたね?」 サルロの向かいで銃身を磨きながら、ダンケルが問う。 「伝えはした。厨房にどれほど共有されるか、私には断言できないが……苦手なのか?」 「苦手、と言うよりも掟だね。同じ翼を持つ者同士、共食いになってしまう」 「難儀なことだ」 難儀かねえ、とダンケルが漏らす。そこで、扉がノックされた。 「お食事をお持ちしました」 四人分の夕食が、ダイニングテーブルに並ぶ。仔羊のローストをメインとして、人参や玉葱をオーブンで焼いたもの、青葉のサラダ。豆のスープに羊乳のチーズだ。飲み物は葡萄酒で、セキには茶が供された。 騎士らは声を揃えて祈りを捧げる。セキが、 「感謝を」 と続けた。 「ナイフは……右手でしたよね」 彼女は、そのまま慣れない手つきでローストを切ろうとしていた。 「ゆっくりでいい。焦らずとも、食べ物は逃げないさ」 銀食器を囲む食卓は、緩やかな空気で満ちていた。 「あの、サルロ様」 セキが話し出す。 「蒼い目の人なら蒼炎を使えるって話、前にしましたよね」 「ああ。それがどうした?」 「覚えてます? どこかで使い方を教えてくれる、って言ったの」 「……そういうこともあったな」 そこで、サルロは葡萄酒を一口飲む。 「そうだな、食べたら、
last updateHuling Na-update : 2026-07-31
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#12 蛇騎士、シゲレル

「魔物が出たぞ!」 監視塔から、鋭い声と鐘の音が響く。サルロは鎧を纏ったまま、裏庭から玄関へと駆ける。セキも一緒だ。 宿の前に出た時、そこには、既に死体が転がっていた。腹を食い千切られ、死肉を漁られている。狼型の魔物が二十、四十、いや六十に近いほどの数で、群れていた。「蒼炎よ、我が剣に宿れ」 静かに、彼は唱えた。途端、刃を蒼い炎が覆う。黒を孕んだ、聖なる炎の蒼い軌跡。飛び掛かる黒い狼を一閃を以て消し去り、盾を体に前に出す。「魔物に、倫理観や善悪というものは存在しない」 すぐ後ろにいるセキに、彼が語り掛ける。「だから、躊躇なく殺せ。いいな」 その声音に込められた並々ならぬ怒気に、セキは気圧された。目の前で人が死んだから、というだけではない。燃え盛る熱。魔に故郷を奪われた彼の過去を思い出す。「一匹たりとも通すなよ」 彼女は、魔物に視線を向ける。黒い狼が真っ直ぐ走り寄ってきた。下腹に力を籠めながら、目測で距離を見定める。怯むことなくメイスを持ち上げ──振り下ろす。見事、頭蓋骨を叩き潰す。赤い体液が、街道に広がる。(大丈夫、魔力を使えてる!) 一匹、二匹と魔物を殴り飛ばしていく。肉にめり込み骨を砕く感覚は気持ち悪いが、守れないことよりずっとマシだ。何より、自分が食われるよりも。 得物を握り締める。体に取り込まれたマナが、手に馴染んだ武器を、いつもより軽く思わせる。しっかりと体重を移動させて振り抜いたメイスは、一撃で魔物を屠る。(これが、戦う!) そこで、三階の窓から飛び出す影が二つあった。一つは赤い翼を、一つは青白い鎧を有している。「すべての王よ、今や目覚めよ──」 ガリヤの、聖典を詠唱する声が戦場に響く。そうなれば魔物たちも止まる筈──誰もが、そう考えた。しかし、目論見は外れる。 ガリヤの口から出る言葉は、魔力を伴っていても狼を抑え込めない。着地して、一時詠唱を止め、叫ぶ。「サルロ、数を減らし
last updateHuling Na-update : 2026-08-01
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#13 宣誓、隣にいると

怒りのままに、剣を振るった。ベッドに横たわるセキを見ながら、サルロは己のやったことを振り返っていた。魔力を暴走に近い形で用い、黒炎に支配された。それは、蒼騎士としての道に悖る行為。だが、何故だろうか。恐怖は、教会からの追放ではなく、セキからの失望にしか向いていない。 昼だというのに閉め切られたカーテン。入ってこない陽光。セキは、顔を彼に向けないまま、沈黙している。「セキ」 呼びかけても、応じない。「起きているんだろう。どうだ、痛みはしないか」 それでも、彼女はサルロに背を向けている。「私の責任だ。浅はかな挑発に乗り、隙を──」 「違うんです」 セキが、やっと言葉を発した。「サルロ様のことを、恨んでるわけじゃないんです。ただ……」 続く言葉があまりに恐ろしくて、サルロは何も言えなかった。どんな叱責でも受け入れるつもりだった。それが違うとなれば、一体全体、何が来るのか、想像もできない。「見られたく、ないんです」 女心。いや、人として、突然の醜さを押し付けられればそうもなろう。簡単な事実だが、サルロはそこに思い至らなかった。「窓ガラスで、見ちゃったんです」 セキの声は、震えていた。「だから、あたしは置いて行ってください。こんな顔じゃ──」 言い切られる前に、サルロは彼女の体を掴んでいた。顔を自分に向けさせる。赤黒く爛れた、右目周りの火傷跡。まるで油絵具を塗ったくったかのような凹凸。「いやっ、やめてください!」 突き放そうとする細い腕。だが、鍛え抜かれた戦士を前に、抵抗は無意味だ。「こんな顔じゃ、サルロ様だって一緒にいたくないですよ!」 「私たちは、仲間だ」 彼女の両肩を掴んで、サルロは静かに、だが力強く語り掛ける。「共に命を託し合う、仲間なんだ。君だって、魔物から皆を守るため戦ってくれた。その心意気がある限り、いや、そうでなかったと
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