進学先を決める日、家族全員が双子の妹、菅原雅(すがはら みやび)の周りを取り囲んでいた。兄、菅原慎吾(すがはら しんご)は第一志望欄を指差しながら、当然のように言った。「もちろんA大だろ。俺と同じ大学に来いよ。これからは兄さんが守ってやる」幼なじみの浅野俊介(あさの しゅんすけ)はS大のパンフレットを彼女の前に差し出した。「お兄さんの言うことなんて聞くなよ。俺たち一緒にS大に行こう。四年間、また同じキャンパスで過ごせるだろ」両親も嬉しそうに頷いた。「A市に行くのが一番いいわね。近くに頼れる人がいるなら、私たちも安心だもの」……しばらくして、ようやく彼らは思い出した。私も、ついこの前まで必死に受験勉強をしていたことを。「茜、お前は成績もそんなに良くないんだから、A市の大学ならどこでもいいだろ」兄の慎吾は顔も上げずに言った。「そうそう。これで四人とも同じ街にいられるし、週末に集まりやすいからな」俊介も、いつものように私を責める。「もうすぐ進学希望の提出期限だぞ。また忘れ物でもしてるんじゃないだろうな」私は、手の中の大学案内冊子を少しずつ強く握りしめた。幼い頃、ままごと遊びをした時、雅は誰もが奪い合うように助ける可憐なお姫様だった。慎吾は、命を懸けて仕える騎士。俊介は、どんな困難も乗り越えて雅を迎えに行く王子様。そして私は――いつだって、みんなに嫌われる「悪い魔女」の役だった。結局、大人になっても何も変わらない。誰にも必要とされていないのなら、だったら私は、家から一番遠い大学へ行く。もう二度と、振り返らなくて済むように。これから先は、どれだけ遠く離れていてもいい。未練なんて、全部置いていく。……私がなかなか返事をしないのを見て、俊介が催促するように口を開いた。「俺も雅もA大を志望してるんだ。お前も早くA市の大学に決めろよ」私は共通テストの得点を見つめたまま、少しも喜びを感じられなかった。今回の試験では、私は自分でも驚くほどの結果を出した。これまで受けてきたどの模試よりも、高い点数だった。さっき話していた二つの難関校だって、十分に狙える成績だった。なのに、試験が終わったあと、誰も私に「どうだった?」とは聞かなかった。結果が発表されたあとも、誰も私が
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