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妹の影だった私が、輝く人生を歩き始めるまで
妹の影だった私が、輝く人生を歩き始めるまで
Author: 甘茶ニーニー

第1話

Author: 甘茶ニーニー
進学先を決める日、家族全員が双子の妹、菅原雅(すがはら みやび)の周りを取り囲んでいた。

兄、菅原慎吾(すがはら しんご)は第一志望欄を指差しながら、当然のように言った。

「もちろんA大だろ。俺と同じ大学に来いよ。これからは兄さんが守ってやる」

幼なじみの浅野俊介(あさの しゅんすけ)はS大のパンフレットを彼女の前に差し出した。

「お兄さんの言うことなんて聞くなよ。俺たち一緒にS大に行こう。四年間、また同じキャンパスで過ごせるだろ」

両親も嬉しそうに頷いた。

「A市に行くのが一番いいわね。近くに頼れる人がいるなら、私たちも安心だもの」

……しばらくして、ようやく彼らは思い出した。

私も、ついこの前まで必死に受験勉強をしていたことを。

「茜、お前は成績もそんなに良くないんだから、A市の大学ならどこでもいいだろ」

兄の慎吾は顔も上げずに言った。

「そうそう。これで四人とも同じ街にいられるし、週末に集まりやすいからな」

俊介も、いつものように私を責める。

「もうすぐ進学希望の提出期限だぞ。また忘れ物でもしてるんじゃないだろうな」

私は、手の中の大学案内冊子を少しずつ強く握りしめた。

幼い頃、ままごと遊びをした時、雅は誰もが奪い合うように助ける可憐なお姫様だった。

慎吾は、命を懸けて仕える騎士。

俊介は、どんな困難も乗り越えて雅を迎えに行く王子様。

そして私は――

いつだって、みんなに嫌われる「悪い魔女」の役だった。

結局、大人になっても何も変わらない。

誰にも必要とされていないのなら、だったら私は、家から一番遠い大学へ行く。

もう二度と、振り返らなくて済むように。

これから先は、どれだけ遠く離れていてもいい。

未練なんて、全部置いていく。

……

私がなかなか返事をしないのを見て、俊介が催促するように口を開いた。

「俺も雅もA大を志望してるんだ。お前も早くA市の大学に決めろよ」

私は共通テストの得点を見つめたまま、少しも喜びを感じられなかった。

今回の試験では、私は自分でも驚くほどの結果を出した。これまで受けてきたどの模試よりも、高い点数だった。

さっき話していた二つの難関校だって、十分に狙える成績だった。

なのに、試験が終わったあと、誰も私に「どうだった?」とは聞かなかった。

結果が発表されたあとも、誰も私が何点取ったのか気にしなかった。

なぜなら、雅が試験会場から出た瞬間、涙をぽろぽろ流していたから。

「今回、全然できなかった気がする……どうしよう」

両親はすぐに彼女を慰めた。

「大学受験なんて人生の一部だよ。もしダメでも、お金を出して海外留学すればいいのよ」

兄は気にする様子もなく、軽く手を振った。

「何を心配してるんだよ。兄ちゃんが稼いで、お前を養ってやるからな」

そして俊介は、優しい声で言った。

「雅、たとえ今回失敗したとしても、きっと茜よりは点数高いよ。

もし本当にダメだったら、俺たち三人で一緒に浪人すればいい。そのついでに茜の勉強も見てやる」

彼らの目には、私は永遠に雅を引き立てるためだけの存在だった。

彼女は、まるで人形のように愛らしい顔立ちをしていた。両親の良いところをすべて受け継いだ。

しかも小さい時から彼女を見た人は、誰もが思わず褒めて、可愛がった。

それに比べて、姉である私は平凡だった。目立つわけでもなく、美人というわけでもない。

親戚や知人でさえ、私にかける言葉はいつも決まっていた。

「この子は本当におとなしくていい子ね」

幼い頃の私は、それも褒め言葉なのだと思っていた。

だから、両親が雅には可愛いドレスを買うのに、私は欲しいと言わなかった。

兄が学校帰りに雅だけにお菓子を買ってきても、私は横取りしようとしなかった。

夏の日、雅がスイカの甘い中心部分を食べ、私は端の部分を食べても、文句ひとつ言わなかった。

なぜなら、そんな時だけ両親は少しだけ私を見るから。

「茜は本当にいい子ね。妹のことをちゃんと大事にしてる」

そう言ってくれたから。

成長すると、雅と俊介は交互に学年トップの座を取り続けた。

一方の私は要領が悪く、勉強を覚えるのも人より時間がかかった。

どれだけ努力しても上位には届かず、いつも中途半端な位置にいた。彼らと並べて語られることなど、一度もなかった。

でも今回は違った。私はようやく、彼らの背中に追いついたのだ。

それなのに彼らは、当然のように私を昔のままの菅原茜(すがはら あかね)だと思っている。

何もできない、目立たない存在だと。

私は思わず口を開いた。

「前に言ってたよね。S大がずっと憧れの大学だって。本当に行かないの?」

俊介は一瞬だけ呆けた顔をした。そして、当然のことのように鼻で笑った。

「A大もS大も、そんなに違わないだろ?大事なのは雅がどこに行きたいかだ」

俊介は何度も私に言っていた。

自分の夢はS大に進学することだ、と。

なのに今、雅が「A大に行きたい」と言っただけで、彼はあっさりと自分の夢を変えた。

その瞬間、私の中に残っていた最後の未練さえ、馬鹿らしく思えてきた。

私は黙ったままマウスを動かし、出願登録画面を開いた。

そして検索欄に入力する。

「南陽大学」

そこは、国の南端に位置する大学。

この家から、約千キロも離れた場所。

クリック。

出願先を確定。

確認。

すべて、一気に終わらせた。

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