「だから、何ともないって言ったでしょ。あんたのことは、医者よりお母さんのほうがよく分かってるわよ。まったく、無駄足だったわ」帰りの車で、お母さんは検査結果を撮影し、親族のグループLINEに送った。わざわざ【判定:正常範囲】という部分を丸で囲んでいた。【今日、検査に連れていったけど、何ともなかったわ。灯里が勝手に思い込んでいただけみたい】送信した途端、親戚たちから次々と返信が来た。叔母さんからは【うつ病のはずがないって、前から言ってたでしょ。こんなに恵まれた家なのに、何がつらくてうつになるの?】と届いた。叔父さんは【今の子はスマホばかり見て、覚えた言葉をすぐ自分に当てはめるんだ】と送ってきた。最後に、お父さんから返信が来た。【何ともなくてよかった。もう騒ぐな。お母さんがどれだけ大変な思いで世話をしているか、少しは考えなさい】お母さんは満足そうにスマホを置いた。「ほら、みんな何ともないって言ってるでしょ。あんたが少しぐずっただけなのに、お母さんは朝早く起きて付き添ったのよ。うつだなんて。事情を知らない人が聞いたら、お母さんがあんたを虐待しているみたいじゃない」私は画面を見つめたまま、うなずいた。「うん。私は何ともない」お母さんは少し驚いた。私がこんなに早く認めるとは思っていなかったのだろう。私はうつむいた。助けを求めるたび、お母さんはいつも私より先に取り乱した。「お母さんだって、自分がうつだなんて言えないのよ。あんたよりずっとつらいんだから。あんたのために朝から晩まで勉強の世話をして、栄養を考えた食事をあれこれ作って、こんなに心を砕いてきたのに。それでも、お母さんの世話の仕方が悪かったっていうの?」今回病院へ来たのも、お母さんが一晩中泣いて訴えた末、意地になって決めたことだった。「分かった。病院に行きましょう。お母さんのせいで、あんたがどうなったのか見てやるわ」今度は、もう言い返せなかった。この日から、私はすっかり普通になった。朝はお母さんに起こされなくても、6時30分ちょうどに起きた。お母さんが作った朝食を、残さず食べた。吐き気がしても、最後のひと口まで飲み込んだ。学校へ行く前、お母さんは私のバッグとスマホを確認した。私はそばに立って待ち、どうして私のものを勝手に調
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