Todos los capítulos de 目玉品を落札できなかったので、夫と離婚した: Capítulo 11 - Capítulo 13

13 Capítulos

第11話

結局、朔弥から返ってきたのは【分かった】という一言だけだった。それを聞いた葵は、呆れたように言った。「今さら何を一途な男ぶってんだろうね。だったら最初から大事にしろって話」けれど、私がどれだけそっけなくしても、朔弥は諦めなかった。自分が粘りさえすれば、私はいつか昔のように折れる。たぶん、そう信じているのだろう。でも、人の心はバネじゃないから、押しつけられた分だけ勢いよく戻るわけじゃない。むしろ蝋燭に近く、燃え尽きてしまえば本当に何も残らない。それから朔弥は、私にいろいろなものを送ってくるようになった。高価なブランド物などではない。そんなもので私の気持ちは動かないと、彼も分かっていたのだろう。届いたのは、昔よく食べていた路地裏の店のお菓子や、大学時代に好きだった作家のサイン本。ある年の大晦日、私が何気なく「集めてみたい」と口にしたシリーズのブラインドボックス。どれも昔の私なら喜んだものばかりだった。そして、どれも遅すぎた。届いた品々を見て、葵は珍しく少し黙り込んだあと、ぽつりと呟く。「梓のこと、よく分かってはいたんだね」私はお菓子の箱を開け、一つ口に入れた。味は変わっていなかった。記憶どおり、柔らかくて甘い。けれど噛みしめているうちに、ふと、大した味じゃないように思えてきた。でも、それは私が変わったのではない。昔の私はほんの少しの甘さで、それまでの苦しさまで全部帳消しにできると思っていただけ。今なら分かる。甘いものは甘い、苦いものは苦い。どちらかが、もう片方をなかったことにはしてくれないのだ。そんな日々がひと月あまり続いた。その間、朔弥からのメッセージにはたまに返信し、電話にもたまに出た。彼は関係が少しずつ戻っていると思っていたのかもしれないが、でも私はきちんと終わらせるために、話をするタイミングをただ待っていただけだった。そのきっかけは、思いがけない形でやって来た。ある日、知らない番号から電話がかかってきたので電話に出てみると、聞こえてきたのは遠慮がちな女の声だった。「もしもし、梓さん。向井です」私は何も言わなかった。しかし、琴乃は気にする様子もなく一方的に話し始める。自分が悪かったと思っていること、最近朔弥の態度がひどく冷たくなったこと、書店の運営資金まで止められてしま
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第12話

しかし、朔弥が差し出してきた花を私は受け取らない。朔弥の腕がしばらく宙で止まり、やがてゆっくりと下ろされた。「朔弥」私は言った。「一度ちゃんと話そう」彼は頷いたが、また目が赤くなりかけている。そういえば、この5年で朔弥が涙ぐんだのを見た回数を全部足しても、この1か月のほうが多い気がした。私たちは近くの静かなカフェに入り、向かい合って座る。席に着くと、私から口を開いた。琴乃のことも、書店のことも蒸し返さない。ただ一つだけ聞いた。「結婚して2年目の頃、私が妊娠してたの……覚えてる?」朔弥の手が大きく揺れた。カップからコーヒーがこぼれ、袖口を濡らす。けれど彼は、それを拭こうともしなかった。覚えているのだ。あの子は突然私のところに来て、そしてあっという間にいなくなった。医師からは原因はいくつも考えられるが、その一つに強いストレスや精神的な負担もある、と言われた。その頃の私たちは、朔弥のスマホに残っていた何人かの女性との曖昧なやり取りが原因で、とてもぎくしゃくしていた。だから私は、妊娠のことをすぐには伝えなかった。彼が私の機嫌を取りに来て、あのメッセージの真相をちゃんと説明してくれるのを、私は待っていた。でも、出血した夜になっても会社で仕事をしていた彼。私は一人で救急車を呼び、一人で冷たい手術台に横たわり、一人で手術の同意書にサインをした。退院して家へ戻ると、朔弥はソファに座っていた。「どこ行ってたんだ?」そう聞かれた私が、少し体調が悪かったと答えると、彼は「あっそ」と言って、そのままスマホへ視線を戻した。本当ならあのとき離れるべきだった。でもそうしなかった。許すことを選び、結婚生活を続けることを選び、彼が変わるのを待つことを選んだ。でも彼はずっと変わらなかった。いや、変われなかったんじゃない。私のために変わる気がなかっただけだろう。私はあの日のことを、最初から最後まで全部話した。話し終えた後、朔弥はそこに座ったまま、長いこと一言も発しなかった。顔にも何の表情も浮かんでいない。なのに、涙だけがぽつぽつと落ち、コーヒーで濡れた袖に染み込んでいった。全身の力を抜き取られたように椅子に崩れ落ち、肩をかすかに震わせていた。「梓……」彼の声はかすれてほとんど聞き取れなかった。
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第13話

歪んだ文字を見るかぎり、手が震えていたのだろう。しかし、私はそれ以上見ず、指輪もメモもまとめてゴミ箱に捨てた。琴乃のほうも、その後はうまくいかなかったらしい。書店は朔弥からの資金援助が止まり、ほどなくして経営が立ち行かなくなった。何度か人を介して朔弥に会おうとしたものの、そのたび会社の受付で断られたという。その後は別の男と付き合い始めたらしいが、やがて噂も聞かなくなった。その話を葵から聞いたとき、彼女は少し楽しそうだった。自業自得だよ。ああいう人は一回痛い目を見たほうがいいんだから」「もう私には関係ないけどね」葵は私の顔をじっと見た。そこで、私が強がっているわけではなく、本当にどうでもよくなったのだと分かったらしい。にっと笑って、私の肩を抱いてくる。「やるじゃん、梓。もう無敵だね!」私もつられて笑った。無敵になったんじゃない。ただ、守る価値もない相手のために、わざわざ傷つかなくてよくなっただけ。離婚から半年後、私は財産分与で受け取ったお金を使って、F市に小さな書店を開いた。大きくはない2階建てで、1階は本を売り、2階は静かな読書スペースにして、窓辺にはトルコキキョウを並べた。どうしてこの花なのかと聞かれたことがあるのだが、その時の私は、「きれいだし、長く咲いてくれるから。それに、あんまり手もかからないし」と答えた。オープン当日、葵はたくさんの友達を連れてお祝いに来てくれた。店内の壁に用意していたメッセージボードを見つけると、葵が声を上げる。「はいはい、みんな一言ずつ書いて!店長の商売繁盛を祈ってね!」みんな笑いながら、思い思いに書き込んでいった。【目指せ大富豪】や【男より本のほうが裏切らない】と書く人がいる中、葵は【梓は美しくて、一人でも最強!】と大きく書いていた。たくさんのメッセージで埋まった壁を見ているうちに、ふと5年前のことを思い出した。あの頃も、私は自分の書店を持ちたかった。内装も、棚の配置も、どんな本を置くかも、頭の中で何度も何度も思い描いていた。朔弥にその話をしたとき、彼は私の髪を撫でながら言った。「いいな。いつか君のために俺が店を開いてあげるよ」その店は結局、別の女のものになった。でも、もうどうでもいい。私は自分で始めたのだから。朔弥にもらった店じゃ
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