卒業記念パーティーが終わると、講堂の外は写真を撮る学生たちであふれていた。4年間を共に過ごした仲間同士で抱き合い、角帽を空高く放り投げていた。普段はそれほど親しくない者たちまで、この日ばかりは一緒に何枚も写真を撮っていた。私は階段の下で智也を待っていた。十数分待っても、姿を見せなかった。先にスマホが鳴った。晴香がSNSを更新していた。晴香は智也のアカデミックガウンを羽織り、彼の角帽をかぶっていた。智也は隣で花束を持ち、もう一人の男子学生が手前にしゃがんで写真を撮っていた。投稿には、共通の友人たちから冷やかすコメントがいくつもついていた。【やっと友達のふりをやめた?】【パーティーで流れた写真より、こっちのほうがお似合いじゃん】【彼女さんが見たらブチ切れるぞ】晴香はすぐに返信した。【変なこと言わないで。私たちはただの友達だって。栞はそんなことで怒らないよ】私はしばらく画面を見つめたあと、SNSを閉じた。そのアカデミックガウンにアイロンをかけたのは、私だった。智也は朝7時に私のところへ持ってきて、午後は忙しいし、自分でやるとしわにしそうだからと頼んできた。私は30分かけて丁寧にアイロンをかけ、カバーに入れておいた。それを今、晴香が着ていた。しばらくすると、二人が一緒に講堂の脇の扉から出てきた。足早に歩いていた晴香のヒールが階段の隙間に引っかかり、体がぐらりと傾いた。智也はとっさに彼女の身体を支えた。ずいぶん慣れた動きだった。晴香が体勢を立て直してから、智也はようやく私に気づいた。晴香はアカデミックガウンを脱いで私に差し出し、写真を撮る間だけ借りていたのだと笑った。私はそれを受け取った。襟にはファンデーションが少しついていた。「大丈夫」そう言って、うつむいたままガウンを畳んだ。晴香は明らかに戸惑っていた。以前の私なら、晴香が智也のものを借りれば、少しは嫌な顔をしていた。喧嘩をするわけではなかった。ただ、一言注意するだけだった。以前、晴香が智也の上着を着たまま自分の部屋へ戻ったときも、私は不満を口にしたことがあった。そのとき、智也は笑って言った。「上着くらいで気にするなよ」その後も同じようなことが何度も続いた。やがて私は、何も言わなく
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