東都に着いた私は、大学が用意したキャンパス近くの寮に入った。プロジェクトの事務室もキャンパス内にあった。最初の1週間は忙しかった。データの整理。研究チームとの会議。教員用のインタビュー資料の作成。大学で過ごした4年間、私はずっと、忙しいのが苦手なのだと思っていた。けれど、あとになって気づいた。私はただ、自分のことに追われながら、いつも智也を待つ生活が嫌だったのだ。智也と夕食を食べるために待つ。バスケットボールが終わるのを待つ。晴香の用事を片づけ終えるのを待つ。私と交わした約束を、智也が思い出すのを待つ。今は、誰かを待つ必要がなかった。22時に仕事が終われば、そのまま寮へ戻った。お腹が空けば、自分で食べるものを買った。週末に昼まで眠りたければ、友人の引っ越しを手伝ってほしいと突然呼び出されることもなかった。1か月後。私は初めて、智也からの電話を受けた。以前とは違う番号だった。私は電話に出た。智也は以前のように、いきなり問い詰めてはこなかった。この1か月で、智也も分かったのだろう。怒ったところで、何も変わらないと。電話の向こうは静かだった。最後に、智也は一言だけ告げた。「東都に来た」私は図書館で、インタビューの録音データを整理していた。窓の外には、強い日差しが降り注いでいた。階下へ目を向けると、入口のそばには、確かに見慣れた人が立っていた。智也はキャリーケースを引いていた。足元には紙袋も置かれていた。7年前から、智也が会いに来るたび、私は真っ先に階下へ駆けていった。けれど今回は、手元の録音データを最後まで整理した。ファイルもきちんと保存した。それから30分後、ようやく階下へ向かった。智也はずっと、同じ場所に立っていた。紙袋に入っていたのは、私が昔好きだった店のモンブランだった。地元から持ってきたものだった。高校時代、私の誕生日になると、智也はバスで1時間かけて買いに行ってくれた。大学に入ってからは店が遠くなり、ほとんど食べなくなった。今になって、智也はまた買ってきた。けれど私は胃炎になってから、甘くて脂肪分の多いものを半年以上控えていた。私は紙袋を受け取らなかった。智也は紙袋へ目を落とした。初めて、気
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