手から妊娠検査薬が落ちた。結婚証明書に記された二人の名前を、私はいつまでも見つめていた。何かの見間違いだと思いたかった。だが、その下に重ねられていたものを見て、本当に滑稽だったのは自分のほうだと思い知らされた。妊婦健診の記録、小児科の領収書、粉ミルクやおむつの購入履歴。それに、数枚の写真。写真の中では、湊人が幼い女の子を抱いていた。千紗はソファに腰かけ、うつむいて穏やかに笑っていた。湊人は死んでなどいなかった。それなのに私は、彼の遺影を抱えながら、5年もの歳月を耐えてきた。引き出しの中身を一つずつ元どおりに戻した。床に落ちた妊娠検査薬を拾い、洗面所に入り、ごみ箱へ捨てた。ついさっきまで、これが素敵なサプライズになると思っていた。今となっては、ただの皮肉にしか見えなかった。玄関のドアが開く音がした。「志央」玄関では、朔也が腰をかがめて靴を脱いでいた。手には紙袋を提げていた。私の顔色に気づくと、額に触れようと手を伸ばしてきた。私は反射的に身を引いた。彼の手が宙で止まり、その視線も一瞬揺れた。「どうした。具合でも悪いのか?」「何でもない」朔也はしばらく私を見たあと、靴箱からルームシューズを出し、足元へ置いた。「また靴下も履かずに」以前なら、こんなささやかな気遣いにいつも心を動かされていた。最もつらかった頃、薬をきちんと飲むよう見守り、夜中に悪夢から目覚めさせてくれたのも彼だった。私はそれを救いだと思っていた。けれど今は、その場に立っているだけで全身が冷えていくようだった。「よもぎ餅、買ってきたぞ」彼は紙袋をテーブルに置いた。「一昨日、食べたいって言ってただろ。仕事の帰りに寄ってきた」彼はいつもそうだった。私が何気なく口にしたことを、ずっと覚えていた。目を見ただけで、私がつらいかどうかも察してくれた。以前の私は、それだけ大切に思われているのだと信じていた。彼がくれた温もりにすがるあまり、至るところにあった綻びに気づかなかった。朔也はキッチンで牛乳を温め、ピルケースを取り出した。「今日は薬、飲んだか?」「飲んでない」「じゃあ、今飲もうか」差し出された薬を見ていると、体の芯まで冷えていった。この5年間、いつ症状が悪化し、
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