行きたかったけど、行きたくなかった、大学のサークル、同期会。毎年恒例の、忘年会を兼ねたものだ。 行きたかったのは、友達に会いたかった。久しぶりの子が沢山いる。 行きたくなかったその原因。──彼、翔麿《しょうま》だ。私のハートを木っ端微塵にした男。認めたくなかったけど、私は翔麿をしばらく引きずっていた。 服もメイクも髪も整えた。今の私の、最上級変換。美容院に行ったのなんて、昨日よ、昨日!担当美容師の加護さんには「明日同窓会で。マウント合戦になるの見え見えだから、ツヤッツヤで!お願いします!」なんて言ったら、いつもよりめっちゃ気合い入れて最後のセットをしてくれた。加護さん、過去最高に楽しそうだったな。 「朝比奈《あさひな》さん、ツヤッツヤのサラッサラ。でもね、向こうは大したイケメンになってないからただ朝比奈さんが無双するだけですよ」って悪い顔で言ってくれた。お茶吹くかと思った。 店に到着。集合時間の10分前から近くをうろついて、店のドアを開けたのは5分前。──いた。こちらを見ている。 本当はずっと、会いたかった人。ぼろ切れみたいに捨てられて、それでも忘れられなかった人。もうそれは恋愛の情ではなかったのかもしれない。もはや依存や執着だった。女子だけのテーブルに座る。しばらくは安全。予想通りのマウント大会。誰が一番幸せか選手権。この世でいちばんどうでもいい。でも彼の近くにいるよりは心拍数はきっとマシ。大学生当時、攻撃的だった子が、ちょっと丸くなっていた。そうだよね。長くいたから嫌な面も見せられただけで。短い時間ならいい人ムーブぐらいできるよね。男子テーブルから席替えの提案。跳ね除けるのも空気が悪くなる。私と、近くにいた女子数人は男子テーブルへ。──なんでよりによって、この席なのよ……!女子数人について座った最後のひとつ。それが私の席。目の前、例の彼、翔麿。嬉しくない。顔なんて、直視できない。気まず過ぎる。しばらく横を向いて会話していた。でもそろそろ感じ悪さが限界。笑顔の筋肉だけ動かして、顔を上げた。──へ?この人、こんな顔してたっけ?私、顔面偏差値、平均ちょい下の男に対して、あんなに未練たらたらだったの……?待ってこいつ。まあまあ薄汚いおっさんじゃん。ああ、こんなやつに未練たらたらだったなんて。これを黒歴史と言わずして何と言う。遠くに、乾い
Última actualización : 2026-08-30 Leer más