星の刺繍が施されたそのスリッパを見て、修一の口元の笑みが一瞬引きつった。それでも、彼はまだ言い訳を試みた。「美波がうちで一番悪ふざけの過ぎる学生だって、お前も知ってるだろう。ただのいたずらさ」そう言いながら、彼の指がすっと絡みつき、昔のように私の掌を軽くくすぐってきた。私は何の反応も示さなかった。ただ、聞きたかった。どういう図太い神経をしていれば、一介の学生が、指導教員の家を自由に出入りできるのか。二人は洗面所で何をして、どれだけ長く留まれば、鏡にあれほど無数の痕跡を残せるのか。出かかった言葉を、私はグッと飲み込んだ。絡みつく彼の手も避けた。私は彼を見つめた。「つまり、あなたの学生は、家の暗証番号も、寝室の暗証番号も、挙句の果てには金庫の暗証番号まで知っているってこと?」彼は口を固く結び、何も答えなかった。私を見つめるその瞳には、どこか非難めいた色が滲んでいる。あの金庫は、私が初任給で彼に贈ったプレゼントだった。将来、俺たちの婚姻届受理証明書や家の権利書、家族の通帳、そして子どもの出生届受理証明書をここに入れようと、彼は言っていた。だが今、私の履くスリッパは、この広い家のどこにも置き場所がない。彼の学生のスリッパは、平然と金庫の中に隠されているというのに。「最初はスリッパ、次は暗証番号、今度は金庫の話か?咲希、お前は一体何が言いたいんだ?」痛いところを突かれるたび、彼は決まって話をすり替える。そして、すべての責任を私に押し付ける。私が彼に問い詰めた時だって、そうだった。「いつになったら、この家に堂々と私のスリッパを置けるようになるの?あなたの学生や同僚、友人が遊びに来るたびに、スリッパを捨てられずに済むのはいつなの?」彼はいつも笑って答えた。「俺たちの関係を公表する日が来たらね」「じゃあ、いつ公表するの?」彼は眼鏡を押し上げながら言った。「俺が正教授に昇進するまで待ってくれ。今、自分の教え子と結婚したなんて知られたら、これまでの努力がすべて水の泡になってしまう……」だから私は、歯を食いしばって待ち続けた。彼が遠距離恋愛は嫌だと言うから、私は海外留学のチャンスを諦めた。彼が「胃が痛む」とこぼしたから、私は民間企業で受付の仕事を選んだ。残業も夜更かしもせず、ただ彼
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