疲れたから先に帰ると啓斗にメッセージを送ったが、案の定、返事はなかった。電車に乗ってしばらくすると、勇太のカウンセリングで使っているグループLINEに、澄佳が動画を投稿した。おそろいのうさ耳カチューシャをつけた3人が、カメラに向かってふざけながらピースしていた。そのままトーク履歴を遡ると、澄佳と啓斗が勇太のトレーニングに付き添っている動画がいくつも残っていた。どの動画でも、3人は楽しそうに笑い合っていた。どう見ても、幸せな家族そのものだった。見ているうちに、まるで私だけがその輪の外にいるような気がしてきた。胸が締めつけられるように苦しく、息もうまくできなかった。自嘲めいた笑いがこぼれた。私はスマホの画面を消した。家に着いて間もなく、啓斗から電話がかかってきた。「結愛、雨ひどくなってきた。傘ないから、悪いけどマンションの前まで迎えに来て」「分かった」と返し、傘を持って迎えに出た。それから30分。全身びしょ濡れになっても啓斗たちは現れず、何度電話をかけても出なかった。さすがに不安になって家へ戻ると、啓斗がソファに片膝をつき、澄佳の濡れた髪をタオルで拭いていた。物音に気づいた啓斗は、こちらをちらりと振り返った。「どこ行ってたんだよ?なんでこんな遅くなったんだ?」濡れた指先から、床に水滴が落ちていた。胸が苦しくて、声もうまく出なかった。「どうして……電話、出なかったの?」啓斗は澄佳の髪を拭く手を止めず、こともなげに答えた。「ああ、スマホの充電切れてたみたい。全然気づかなかった」あまりにも軽い返事に、責める言葉は全部、喉の奥で止まった。これ以上責めるのも、なんだか私のほうが心が狭くて、聞き分けがないような気がした。雨の中で私を待たせたことも、電話に出なかったことも、帰ってみれば澄佳の髪を拭いていたことも、啓斗にとってはどれも大したことではないのだろう。そういう小さなことが積み重なって、ふと、この人とはもうやっていけないと思った。部屋の中がしんと静まり返る中、啓斗はようやく私の様子がおかしいことに気づいたのか、こちらを振り向いた。「ぼーっとしてないで、先に風呂入ってこいよ。風邪ひくぞ」そう言って立ち上がると、啓斗はホットココアを持ってきて、私の前に置いた。「飲んどけ。身体、冷
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