塩辛い海の水によって重みを増したエプロンドレスを強引に破り、彼は愛する乙女の太もものあわいへ屹立した自分の分身を摺り寄せる。ずぶ濡れになった状態のまま、ふたりは腰まで海水に浸かった状態で、互いを強く求めあう。 潤んだ銀の瞳に口づけながら、ダヴィデは告げる。「こんなときでも君が欲しくてたまらない」 「――っあ」 大高潮(アックア・アルタ)の到来を退けたばかりの水都ヴェネツィアは、静まり返っている。 多くの市民は高台へと避難したが、波に攫われた人間も少なくないだろう。 雨雲が姿を消し、黄金色の月が周囲を優しく照らしている。水没した街の片隅で、奇しくも生き残ることが叶ったふたりは生きていることを確認するかのように、互いの身体をかき抱き、そのまま愛の行為へ奔る。 かつてそこは温室――テラスだった。 大高潮によって荒らされたそこは硝子の破片や深紅の薔薇の花弁が散らばり、ぷかぷかと波打つ水面に不規則に浮かんでいる。愛する人が足を怪我しないよう障害物を避けながら、ダヴィデは彼女をきつく抱きしめて、器用に下半身の欲望を埋めていく。 高潮の被害を免れた樫の木の棚の上に避難させた鉢植えたちはそんなふたりを揶揄するかのように、深紅、薄紅、真紅、と鮮やかに赤く色づいた満開の花を月の下で鮮やかに咲かせている。「外でするのは初めてだな」 「……もう、ダヴィデってば」 「エーヴァこそ……こんなに濡らして。どうみてもこのぬめり、海水じゃないだろ」 「い、言わないで……!」 羞恥に顔を染める彼女の唇にかぷりと噛みつき、長い舌を侵入させながらダヴィデは冷え切っていた彼女の身体に熱を与えていく。胸元をはだけさせれば、月のひかりが美しく彼女の蕾を照らしだす。片手で両方の乳首を交互に愛撫しながら、ダヴィデは彼女を楽器のように奏で、啼かせていく。「ぁあんっ、ダヴィデ……」 「まるで夢を見ているみたいだ。エーヴァ……消えないでおくれよ」 がっしりした筋肉を持つダヴィデと異なり、すらりとした肢体を持つ儚げなエーヴァはこの場で手放したらすぐに波に流されて消えてしまいそうだ。海の泡になってしまった人魚姫のように。 だから彼女を失いたくないダヴィデは必死になってエーヴァの秘された花園の奥へ楔を打ち込むのだ。火かき棒のように熱い、欲望まみれの楔を。「! ふっ、あぁ……
Last Updated : 2026-09-23 Read more