テーブルを囲んでみんな大笑いした。誰かがテーブルを叩きながら大きな声を出した。「藤崎さん、今年、そこまでやるか?」そしてスマホをあげて、カメラを私たちのほうへ向けてくる人もいた。私は今回の誕生日で初めて顔を曇らせた。一樹はこの時、大皿に盛られたおかずを私の取り皿に分けてくれているところで、その手を空中でピタリと止めた。彼はまさか友香から自分のほうにふられるとは思ってもいなかったようだ。友香はテーブルに肘をつき、頬に手をあてて、私のほうへウインクした。「ね、24時間だけ。前はカメラに車に、いろいろ借りてきたけど一度も嫌がったことないじゃない」私は目の前の、一樹がおかずを盛ってくれた皿を彼のほうへ押しやり、友香のほうを見た。「貸さない」その瞬間、個室の笑い声は突然消えた。友香は少し驚いて、次に口角を上げた。「なによ、独占欲丸出しじゃないの」「彼は人よ、遊びでそんなことできないわ」私は厳しい口調で返した。すると友香は私を通り越して一樹のほうへ視線を向けた。「じゃ、一樹君がいいって言ったら?」私は心が沈んだ。一樹は友香に冗談を言うなと怒ることはなかった。彼は箸を置くと、私を見た。「一日、彼女に付き合うだけだろう」私は聞き間違いかと思った。「今なんて言ったの?」一樹は眉をひそめた。「琴葉、ただの誕生日でやってるゲームなんだろう。そんなこの場が白けるようなこと言うなよ」その言葉に私は頭にきた。「さっき貸さないってはっきり言ったわよね。場が白けようが私にはどうでもいいわ」友香の顔から笑みが少し消えた。「もういい、他のものにする」彼女はそう言うと、テーブルの上に置いてある車の鍵を取ろうと手を伸ばした。それよりも前に、一樹が鍵を手にとり、立ち上がってコートをとった。「行こう」私はその瞬間、勢いよく彼の手首をつかんだ。勢いよく立ち上がったせいで、椅子がガタンッと音をたてて激しく倒れた。「ちょっと一樹、それ、どういう意味?」血の気が引くほど力を込めて握った私の手を彼は見下ろした。「彼女が毎年の誕生日に借りる時は、君も喜んでオッケーしてたじゃないか。今日は彼女の誕生日のお祝いとして付き合うよ」「私と彼女の誕生日は一緒よ」私は声を震わせた。
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