「んっ、ふぅ、ぁ、」 口の中に入れられた指を必要以上に追いかける舌。 「ほら、ちゃんと舌を使わねぇと、食えねぇぞ」 少しだけ楽しげに聞こえる声。それがイラッとするが、この行為自体が自分には必要なことだ。 「んっ、ふぅ、ぁ、ん」 口の中で蠢く指を舌で追いながら吸い付き、舐めれば、喉の奥がこくりとなる。 オメガである篠宮一樹がアルファのフェロモンを食している。これは命を繋ぐためだけの行為。この学園には、アルファ、オメガ、ベータの3種類の性が混在しているため、学園側の配慮で、入学時に番を決める制度があった。 番がいれば問題は起きぬだろうという魂胆だった。番制度を塗り替えることもできるが、それを実行した生徒は誰一人としていなかった。 誰もが、そう認識していただけだった。「これで最後だ。しっかり食えよ」 その言葉に一樹がこくりと頷く。その言葉と共に、口の中に広がる微かなフェロモン。 この男だけができる技。この男だから自分は命を食い繋げられているのだと一樹は思う。 必要以上に舌を動かし、男が与えてくれたフェロモンを取りこぼすことなく食していく。 コクリと喉が鳴った。 「んっ、ぁ、はぁ、ぁ」 口の中を自由奔放に動き、ゆっくりと抜けていく指。一樹は無意識にその指を追いかけ、吸い付こうとする。が、 「ストップ。これ以上はダメだつってんだろ」 容赦なくデコピンがお見舞いされた。 「いっ、っ」 その痛みに、今までとは違う意味で瞳を潤ませた。 「ったく、気をつけろお前は」 呆れながらも、グイッと涎で濡れた口元を拭われた。 目の前の男は、普段からだらしない格好をしているが、これでも一応は副風紀委員長という肩書を身につけている。 ただ、世間から見れば出来損ないのダメ副委員長だ。 そんな男と一樹がなぜこんなことをしているのかと言えば、一樹が死なないためである。「颯斗…もぉ…行け…見つかると…面倒だ…」 一樹は溜め息をつきながら、取り込んだフェロモンが全身に染み込むように、ゆっくりと目を閉じた。 「次に会うときはいつもの会長様に戻ってろよ」 颯斗は静かに立ち上がり、一樹の頭をポンと撫でて部屋を出ていった。 「…っ、はぁ、…これ、鎮めるの…辛いんだけど…」 一樹は顔を赤くしたまま、呟いた。一樹にも、決められた番がいる。だが、一樹は番
Last Updated : 2026-10-29 Read more