LOGIN「んっ」
布団の中で小さな声が上がる。
気配を消し、様子を窺うが、起きたわけではなく、ただ寝返りを打っただけだったようだ。
気配を消したまま、音を立てずに寝室を出た。
「だりぃ…」
自然と漏れた言葉に自分で苦笑を浮かべた。
いろいろと制限をかけ、本来の姿を隠してる以上、反動がくるのはわかってはいるが、それをしなければならない理由もあるので、仕方がないと諦めた。
着替えを持って、バスルームに行き、シャワーを浴びることにした。
シャワーを浴びて、部屋に戻るが、寝室の住人は起きる気配がない。
今日は随分と顔が青白かったのだ。そう簡単には起きるまい。
辛うじて、命は繋いでいるとはいえ、その身体は限界が近い。
もっとも、そうやすやすと死なせるつもりはない。
ソファの背にもたれ、溜め息をつけば、スマホが着信を知らせる。
「どうした?」
『お疲れ様です。委員長』
電話に出れば、聞き慣れた声が耳に届いた。
「イヤ、今の委員長はお前だからな」
そう反論すれば、
『何を言いますか。わざとダメ副委員長をしてるくせに』
呆れ声で言われた。
「そうしとかねぇと、いろいろと問題があるからな。で? どうした?」
わざわざ電話をしてくるということは何かあったということだろう。
『会長の件です』
「今度は何が起きた?」
電話越しの言葉に颯斗は眉をひそめた。
『また、倒れたと噂が広がりました。これはいつものことなので…ただ、他にも噂が広がりました』
副委員長である橘の声は珍しく緊張を帯びていた。
「何が広がった? あー、ダメ副委員長との噂か?」
颯斗は眉間を押さえながら聞いてみる。
『ダメ副委員長との噂は、同情でも引いてるってのが前から流れてるでしょう。それを放置してるのはお二人なんで。そうじゃないです』
橘は呆れながら、自分たちで噂を放置してるだろと言う。少なからず当たっていた。
颯斗はもともと噂など気にしていない。わざと、ダメ副委員長として振る舞っているのだ。
一樹自身も、噂は気にしていない。勝手に言ってろ状態だった。
噂など結局、他人が面白おかしく話してるものに過ぎない。
真実は本人と信頼できる者だけが知っていればいい。
「今度は何が流れた?」
颯斗はもう一度、橘に聞いた。
『会長が副会長の番の座を奪ったと…本当は違う人物が番になるはずだったのに、会長の権力で制度の結果を歪めたと…』
一瞬の躊躇い、それから橘は続けた。スマホを持つ颯斗の手に力が入った。
「ほぅ、あいつがそんな愚かなことをすると思ってるのか…」
低い声が出た。電話越しに息を飲むのが聞こえた。
『さすがにこれは会長の名誉に関わる問題です。どう処理しますか?』
橘の声が震えていた。颯斗は溜め息をつき、己を落ち着かせる。
「橘委員長、その返事は明日にする。あいつが起きた」
微かに聞こえた物音に、颯斗は橘に続きは明日にでもと答える。
『わかりました。ちゃんと来てくださいよ、副委員長どの』
橘は失礼しますと告げて電話を切った。颯斗も通話を切り、スマホをテーブルの上に置いた。
颯斗はもう一度、深く息を吐き、軽く深呼吸をすると立ち上がり、寝室へと向かった。
ベッドの上の住人は起きてるはずなのに動こうとはしない。
「起きてるか?」
そう声をかけてから顔を覗き込めば、
「…死んでる…」
そんな返事が返ってきた。一層、青白くなった顔。
「食うか?」
颯斗はベッドの縁に座り聞いてみる。一瞬の逡巡。それでも一樹はコクリと頷いた。
「なら、頑張んな」
と、颯斗は告げてから、一樹の顔に手をすべらせ、唇をなぞった。
それを合図にするように、チロリと一樹の紅い舌先が現れ、唇をなぞる指先を舐めた。
「んっ、ふぅ、っ、ん、ぁ、はぁ」
一樹の口の中を好き勝手、指で遊びながら、一樹が少しでも食えるようにと最小限に落とし込んだフェロモンを指先に集中していく。
「んっ、ふぁ、ん、とぉ、ぁ、ん」
一樹の瞳が潤み、涙が溜まっていく。完全にヒートが収まっているわけではない。それをお互い理解したうえでの行為。
一樹を、一樹の命を繋ぎ留めておくためだけの行為。
「なぁ、口ん中も性感帯あるみてぇだぞ?」
颯斗はそう言いながら一樹の舌を掴み、ゆっくりと引き出した。その舌を指でなぞり、軽く押しつぶす。
「んっ、ふぅ、ぁ、んん」
一樹が訴えるように颯斗の腕を叩いた。
「イヤか? それとも…食えねぇか?」
颯斗の問いにこくこくと何度も頷く一樹。その瞳からは涙が溢れ出そうになっている。それはヒートによるもの。
「それをうまく食うのがお前の仕事だろ?」
颯斗はそう言いながらも指を口の中に入れ、今度は口の中を触り始める。
「んっ、んん、ん、ふぅ、ぁ」
ただ、口の中で、指が動いてるだけだというのに、ぞくぞくと腰に電気が走る。
その原因を、理由を、お互いにわかっている。それでも、一線を越えないのは別の理由があるため。
「ほら、頑張らねぇと、また貧血起こすぞ」
一樹は颯斗の手を掴むと、それを貪るかのように舌を使い、流れ出ているフェロモンを舐め取った。
こくり、こくりと何度も一樹の喉が鳴る。
「これが最後だ。しっかり食え」
颯斗はこれが最後の給仕だと言わんばかりに、最後に、最小限ではあるが一番濃いものを与える。
それを一樹が舌を使い、指を舐め己に取り込んでいく。最後に喉がこくりと鳴った。
「じゃぁ、これはおまけだ」
颯斗はそう言いながら、一樹の舌を掴み、刺激を与え、口の中も好き勝手に触りまくった。
そして、最後に強く刺激を与えたその瞬間、
「んっ、んんっ、んんんっ」
一樹の身体は一瞬、強張り、小さな痙攣を繰り返し、力なく沈んだ。
颯斗が指を抜こうとすれば、その舌は名残惜しそうに追いかけてくる。
「っ、はぁ、ん、ぁ」
無意識に颯斗の手を掴み、逃さぬようにとしている一樹の息は荒い。その瞳からは涙が流れ落ちていた。
ヒートによって我を忘れ始めている。
「ダメだっつってんだろ」
「いっ」
容赦なく与えられる痛みに一樹は我に返り、手を離した。
「寝てろ、綺麗にしてやるから」
颯斗はくしゃりと一樹の頭を撫でて部屋を出ていった。
「…バカ颯斗…」
その背を見送ってから一樹は呟き、気だるさに身を委ねるようにそっと瞳を閉じた。
「行けるか?」 嫌がる一樹に無理やり朝食を食べさせ、制服に着替えさせて一息ついたころに颯斗が声をかけた。 「…行きたくない…」 一樹は消え入りそうな声でそう呟いた。だが、深呼吸をして、ゆっくりと立ち上がった。 「休んでも大丈夫だと思うが?」 颯斗は一樹の前髪をかき上げて、現れた青白い顔を見て告げる。一樹は小さく首を振り、 「あいつらの…いや…休めないだろ。今日は会議があるんだ…」 言いかけた言葉を飲み込み、会議があるからダメだと告げる。 「お前はホントに変なところで強情だな。まぁ、それこそ、それがお前らしいけどな」 颯斗は一樹が言おうとした言葉を聞かずともわかっていた。だからこそ、手助けしているのだ。 「俺の性格…知ってて言ってるだろ? …颯斗…先に行く」 一樹は自分のカバンを持ち、颯斗に背を向けてゆっくりと歩き出した。 「ちゃんと、鳴らせよ」 そんな一樹の背に向けて言う。一樹は軽く手を振り、そのまま部屋を出ていった。この部屋は颯斗の部屋なのだ。二人で出ればあらぬ噂がまた広がりかねない。 一樹はそれを心配しているのだ。颯斗に迷惑がかかるからと…。 自分の噂は気にはしないが、颯斗は違う。これ以上は巻き込むべきじゃないと思っていた。 だが、一樹は知らない。その噂さえも颯斗は承知の上で一樹を助けていることを…。 利用していることも…。「お前が、どんなに気にしたって…流れるもんは流れるんだよ」 一樹が出ていった後で颯斗が溜め息まじりに呟いた。一樹の部屋と颯斗の部屋は近い。だから誤魔化そうと思えば誤魔化せる。 それをしないのは目的があるから。「はぁ、会議か…。見たくもねぇ顔を拝むのか…」 会議があるのを思い出し、気が滅入った。会いたくもないやつらも出席するからだ。 「橘に任していいかなぁ…ムリか…」 自分でそう呟きながら、その考えをすぐに打ち消した。 自分の立場を考えれば、そうも言ってられないのだ。颯斗は小さく息を吐くと、カバンを持ち部屋を出た。 学園に行けば、新たに色んな噂が広がっていた。「バカらしい」 と颯斗は小さく呟いた。事実を知らない奴らは憶測で物を言う。 人から聞いた話を鵜呑みにし、さも自分が見てきたかのように語る。 なのに、決して本人に確認しようとはしない。 そのくせ、噂が正しいと信じ、非難する。
「んっ」 部屋の中に差し込む日の光で目が覚めた。 ゴソリと動きかけて、隣に人がいることに気がついた。「あぁ、そうか…」 昨夜の出来事を思い出した。あのまま、寝て起きないからとそのまま寝かせておいたのだ。 寝かせたのはいいが…。颯斗は溜め息をつく。 自分の腕を枕に寝てる人物を起こさぬように気を付けながら、腕を引き抜いた。 寝ているその顔は昨夜の青白さよりは幾分かマシになっていた。 颯斗は小さく息を吐き、 「ホント…面倒なんだよ…こんなこと…だけど…」 ボソボソと寝ている一樹の耳元で囁くと、その唇をそっと親指でなぞった。一瞬だけ溢れかえるアルファのフェロモン。 寝ているはずの一樹の喉がこくりと鳴った。「さて、あと何日あのバカたちがバカを繰り返すかねぇ」 ググっと颯斗は背伸びすると、静かにベッドから降り、部屋を出た…。 颯斗が出てから少ししたころ、ゴソリとベッドで寝ている一樹が頬を赤く染めて寝返りを打った。 「…バカ颯斗…」 布団に顔を隠しながら呟いた言葉はくぐもっていた。起きているとわかった上で囁かれた言葉。自分だけが許された行為。 それが、自分と颯斗の間にある秘密だったりもする。 己の命を繋ぐためだけに行われる行為。本来それは番がいれば解決できる問題なのだ。己の番となる男は他のオメガと逢瀬を繰り返している。学園内で噂になっていようがいまいがお構いなしに…。 所詮、学園が決めた番制度。その相手が死のうがどうしようが気にしないのであろう。 オメガがヒートで、番のアルファのフェロモンを摂取しなければ弱って死んでしまうというのに、だ。「…ほぅ…」 と、一樹の口から小さな吐息が零れた。自然と唇に指がいってしまう。 颯斗から与えられるフェロモンは決して濃いものではない。 本当に命を繋ぐためだけの薄いもの。それでも…それでも身体が喜んでいる。 颯斗のフェロモンを与えられ、飲み込み、全身に染みこんでいく。それは一樹の身体に深く刻まれていった。 まるで、それが当たり前のように、身体は喜ぶのだ。 だが、一樹にはその理由がわからなかった。なぜ、そこまで、身体が喜ぶのかを…。「ホント…あいつ…面倒見いいんだよ…普段はダメ男してるくせに…」 一樹は枕に顔を押し付けて、後悔した。颯斗の香りが広がる部屋。寝具、衣類。薄い香りだとして
「んっ」布団の中で小さな声が上がる。気配を消し、様子を窺うが、起きたわけではなく、ただ寝返りを打っただけだったようだ。気配を消したまま、音を立てずに寝室を出た。「だりぃ…」自然と漏れた言葉に自分で苦笑を浮かべた。いろいろと制限をかけ、本来の姿を隠してる以上、反動がくるのはわかってはいるが、それをしなければならない理由もあるので、仕方がないと諦めた。着替えを持って、バスルームに行き、シャワーを浴びることにした。シャワーを浴びて、部屋に戻るが、寝室の住人は起きる気配がない。今日は随分と顔が青白かったのだ。そう簡単には起きるまい。辛うじて、命は繋いでいるとはいえ、その身体は限界が近い。もっとも、そうやすやすと死なせるつもりはない。ソファの背にもたれ、溜め息をつけば、スマホが着信を知らせる。「どうした?」『お疲れ様です。委員長』電話に出れば、聞き慣れた声が耳に届いた。「イヤ、今の委員長はお前だからな」そう反論すれば、『何を言いますか。わざとダメ副委員長をしてるくせに』呆れ声で言われた。「そうしとかねぇと、いろいろと問題があるからな。で? どうした?」わざわざ電話をしてくるということは何かあったということだろう。『会長の件です』「今度は何が起きた?」電話越しの言葉に颯斗は眉をひそめた。『また、倒れたと噂が広がりました。これはいつものことなので…ただ、他にも噂が広がりました』副委員長である橘の声は珍しく緊張を帯びていた。「何が広がった? あー、ダメ副委員長との噂か?」颯斗は眉間を押さえながら聞いてみる。『ダメ副委員長との噂は、同情でも引いてるってのが前から流れてるでしょう。それを放置してるのはお二人なんで。そうじゃないです』橘は呆れながら、自分たちで噂を放置してるだろと言う。少なからず当たっていた。颯斗はもともと噂など気にしていない。わざと、ダメ副委員長として振る舞っているのだ。一樹自身も、噂は気にしていない。勝手に言ってろ状態だった。噂など結局、他人が面白おかしく話してるものに過ぎない。真実は本人と信頼できる者だけが知っていればいい。「今度は何が流れた?」颯斗はもう一度、橘に聞いた。『会長が副会長の番の座を奪ったと…本当は違う人物が番になるはずだったのに、会長の権力で制度の結果を歪めたと…』一瞬の躊
クスクスと、笑い合う声が薄暗い部屋の中に響いている。 「また、倒れたみたいだよ彼」 「そう」 自分の腕の中で告げてくる言葉に男はつまらなそうに返事をした。「ふふ、耕司、気にならないの?」 腕の中の恋人が顔を上げて、耕司の頬に触れる。 「どうして? 今、自分の腕の中に最愛の恋人がいるのに、あのクソを心配しなきゃいけないんだ?」 「耕司ってば酷いなぁ。あれでも一応は番でしょ?」 耕司の言葉にクスクスと笑いながら告げる。だが、決して、本気で心配してるわけではない。なぜならば、この2人にはとある計画があるのだから…。「俊、あいつの話はいい。気分が悪くなる。だから、お前を感じさせろ」 耕司は腕の中にいる恋人、俊の返事を聞くこともなくその唇を奪った。クスクスと、笑い合い、薄暗い部屋の中で、ふたりは肌を重ねる。 本来の番同士ではないというのに…。 今宵も裏切りの行為を続けるのだった。「クソが…。よくもまぁ、毎夜、毎夜、裏切りを続けられるもんだ…」 と、吐き捨てるように颯斗が呟く。 「今更…だろ?」 と、静かに、けれどどこか投げやりに近い言葉で一樹が返した。 裏切り行為をしている相手は自分たちの番たち。だが、決して望んだ番ではない。学園が決めた番制度での番である。 だが、それでも決められた番と交わらなければフェロモンはもらえず、オメガは死ぬことになる。一樹の身体はすでに限界が来ていた。あと1、2回ヒートを迎えれば確実に死ぬだろう。 そんな状態にまで追い詰められているのだ。そんな状態をわずかながら繋ぎとめているのは、今自分を部屋まで運んでくれている男だった。「自分の部屋でいいのか? 隣から変な声が響くが?」 「……嬉しくない……耳障りで寝れないんだが…」 颯斗の言葉に一樹の眉間にしわが寄る。 「めんどくせぇ…。なんで番の部屋を隣にしやがんだ…。俺の部屋でいいか?」 確かにと思いながら、一樹は頷いた。 「ホントは…避けたいんだがな…」 颯斗の呟きを一樹は聞こえないフリをした。颯斗は自室に入ると、一樹をソファに座らせた。 「ちょっと待ってろ」 そう言い残し、寝室へ入っていく。一樹はそのままソファに倒れて横になる。 微かに香る、アルファの香り。濃くはない僅かな香り。指で摂取しているときと同じ香りが部屋の中には広がって
「んっ、ふぅ、ぁ、」 口の中に入れられた指を必要以上に追いかける舌。 「ほら、ちゃんと舌を使わねぇと、食えねぇぞ」 少しだけ楽しげに聞こえる声。それがイラッとするが、この行為自体が自分には必要なことだ。 「んっ、ふぅ、ぁ、ん」 口の中で蠢く指を舌で追いながら吸い付き、舐めれば、喉の奥がこくりとなる。 オメガである篠宮一樹がアルファのフェロモンを食している。これは命を繋ぐためだけの行為。この学園には、アルファ、オメガ、ベータの3種類の性が混在しているため、学園側の配慮で、入学時に番を決める制度があった。 番がいれば問題は起きぬだろうという魂胆だった。番制度を塗り替えることもできるが、それを実行した生徒は誰一人としていなかった。 誰もが、そう認識していただけだった。「これで最後だ。しっかり食えよ」 その言葉に一樹がこくりと頷く。その言葉と共に、口の中に広がる微かなフェロモン。 この男だけができる技。この男だから自分は命を食い繋げられているのだと一樹は思う。 必要以上に舌を動かし、男が与えてくれたフェロモンを取りこぼすことなく食していく。 コクリと喉が鳴った。 「んっ、ぁ、はぁ、ぁ」 口の中を自由奔放に動き、ゆっくりと抜けていく指。一樹は無意識にその指を追いかけ、吸い付こうとする。が、 「ストップ。これ以上はダメだつってんだろ」 容赦なくデコピンがお見舞いされた。 「いっ、っ」 その痛みに、今までとは違う意味で瞳を潤ませた。 「ったく、気をつけろお前は」 呆れながらも、グイッと涎で濡れた口元を拭われた。 目の前の男は、普段からだらしない格好をしているが、これでも一応は副風紀委員長という肩書を身につけている。 ただ、世間から見れば出来損ないのダメ副委員長だ。 そんな男と一樹がなぜこんなことをしているのかと言えば、一樹が死なないためである。「颯斗…もぉ…行け…見つかると…面倒だ…」 一樹は溜め息をつきながら、取り込んだフェロモンが全身に染み込むように、ゆっくりと目を閉じた。 「次に会うときはいつもの会長様に戻ってろよ」 颯斗は静かに立ち上がり、一樹の頭をポンと撫でて部屋を出ていった。 「…っ、はぁ、…これ、鎮めるの…辛いんだけど…」 一樹は顔を赤くしたまま、呟いた。一樹にも、決められた番がいる。だが、一樹は番